ビューして10年、女優にモデルとめざましい活躍をしている岡崎紗絵さん。ドラマや雑誌で見せるクールな表情も魅力的ですが、素顔はよく笑うかわいらしい女性です。
<岡崎紗絵 仕事で譲れないのは雰囲気作り「空気が良ければ、だいたいうまくいく」>
そのキュートな笑顔が見られるのが、浜辺美波さん主演の『ドクターホワイト』。謎多き主人公・白夜(浜辺)の正体を探っていく医療雑誌の記者・狩岡将貴(柄本佑)の妹・晴汝(はるな)を演じています。
晴汝は、将貴と白夜と暮らしながら、社会性のない白夜にさまざまなことを教え込む、明るくポジティブな女性。一方、頭に脳動脈瘤を抱えるという役どころでもあります。
金髪ショートヘアにして本作に臨む岡崎さんに、役柄や、作品の魅力、自身が思う女優としての成長、また、ストレス発散法などを聞きました。
<岡崎紗絵 インタビュー>
晴汝が金髪ショートにしたワケは?
――ミステリー作品に初出演の感想はいかがですか?
私は、もともとミステリーが大好きで、オファーをいただいてから樹林伸先生の原作「ドクター・ホワイト 千里眼のカルテ」と「ドクター・ホワイト 神の診断」を読んだのですが、ものすごくおもしろくて、あっという間に読み終わってしまいました。
その中に、自分が登場人物として参加させていただけるというのは、すごくうれしい。お兄ちゃん(将貴)が白夜の謎に関わっていることから、この先、晴汝も巻き込まれていくかもしれないのでドキドキします。
――原作の晴汝は“長い髪”と書かれています。どういういきさつで金髪ショートにしたのですか?
初めから金髪ショートというわけではなかったんです。役作りをする上で、晴汝は脳動脈瘤という、いつ爆発してもおかしくない病気を抱えているから、自分の人生に未練を残さないように、やりたいことは全部やっておこうと思っているんじゃないかなって。
その1つが金髪だと解釈しました。金髪でもどういう色味なのか、長さはどうなのかなど、プロデューサーさんや監督と相談しながら決めていきました。
私自身も金髪にするのが楽しみだったので、ブリーチする時には気合いが入りました(笑)。髪も15センチカットして、すごく新鮮でした。
周囲から「疲れてるのかな」って思われたくない
――外見を変えたことで、役柄に対して今までとは違う感覚はありましたか?
今まで落ち着いた色味のロングヘアが多かったので、視覚から役に入れるのはわかりやすかったですね。
人生を楽しむという気持ちが、髪型だけでなくファッションにも表れているので、晴汝の覚悟みたいなものを感じ取ることができました。
晴汝は、もともと明るくて元気。でも、それ以上に、病気のことで周りに心配をかけたくないという思いがあって、自分の弱い部分を見せたくないから金髪やポップなファッションで覆い隠しているのかなという気もします。
晴汝を演じていると、根がすごくやさしい子だなと感じるんです。元気に見せて、がんばっているんですけど、そこが切なかったりもしますね。
――自身と重なる部分はありますか?
ちょっとレベルは違いますけど、周りの人たちから「疲れてるのかな」って思われたくないところはあります(笑)。晴汝も落ち込んだ姿を見せたくないという面があるので、そこは似ているかもしれません。
それは、その場の空気をよくしたいという気持ちからだと思います。私も空気が一番大事だと思っているので、そこら辺も似ていると思います。
――尊敬する部分はありますか?
晴汝は、周りに対しての愛がものすごく強いんです。白夜という謎だらけの女の子が家に来た時も、躊躇なく受け入れて、逆に、妹ができたような気持ちで、そこから彼女を人間らしくすることが生きがいになっていきます。
そういう愛があるところが尊敬できるし、しかも、その愛というのは、なんでも「いいよ、いいよ」と受け入れることではなくて、間違っている時はちゃんと指摘する。
一般常識や人の感情が理解できない白夜に対して、「わからないもんね」で終わらせるのではなくて、「それは違うよ」と言ってあげることが家族だと思っているからです。
普段の生活でも、揉めるのが面倒くさくて、何かあっても、うやむやにしたくなることってあるじゃないですか。でも、晴汝は、ちゃんとぶつかって、解決して、その人とまた歩んでいく。
すごくエネルギーが必要なことですが、愛情を持って人と向き合う晴汝の姿勢は、とても勉強になります。
――どうして、晴汝は白夜を家族として受け入れられたのでしょうか?
お兄ちゃんと晴汝は、両親を事故で亡くして、その後、高森総合病院の院長である高森巌おじさん(石坂浩二)のところに引き取ってもらったんです。
おじさんの家族…今は内科医になっている麻里亜さん(瀧本美織)や、麻里亜の兄の勇気さん(毎熊克哉)は、すごく温かくて、他人なのに家族みたいに接してくれた。
そのうれしさや感謝の気持ちを、自分もまた白夜につないで、温かく迎え入れてあげようと思ったのだと思います。
晴汝は、身寄りも知り合いもいない白夜が自分と重なったのかもしれません。それもあって、「もう家族だ」と思えたのだと思います。
浜辺美波には話をしやすい雰囲気がある「一緒にコタツでぬくぬくしながら…」
――浜辺さんとの共演はいかがですか?
実年齢は、美波ちゃんは4つくらい年下なんです。でも、彼女はしっかりしているので、普通にお話できるんですよね(笑)。
いつもニコニコして、やさしい雰囲気で、お話しやすい空気感を持っているので、一緒にコタツでぬくぬくしながらおしゃべりしています。
――ちなみに、もしご自身が晴汝と同じ境遇だったらどうしますか?
まずは、自分と関わった人たち、会いたい人たちに会いに行きます。父が転勤族だったので、いろいろなところにいる友達に会いに行きますね。あとは、地元・名古屋の友達とか。
その後は、旅に出たいです。旅行するのが好きなので、海外もいいですね。
私も、絶対に悔いは残したくないと思うし、いつ頭の病気が爆発してしまうのかわからないとなると、早いうちに行動を起こさないといけないと思うでしょうね。
ほっこり感が心地いい!白夜、将貴、晴汝のお家チーム
――白夜と将貴と晴汝の3人のシーンは、とてもほっこりしますが、現場の雰囲気はいかがですか?
白夜とお兄ちゃん、晴汝のお家チームでいると、本当にほっこりしていて、その雰囲気のままお話しているような感じです。佑さんが、とても気さくでやわらかい雰囲気の方なので、ツッコミを入れても返してくれそうという安心感があって(笑)。
ある時、お兄ちゃんが話している最中に電話がかかってくるというシーンで、スマホに表示された日付がまたまた佑さんの誕生日だったんです。それを、すっごくうれしそうに、「見て!オレの誕生日だよ、ほら~!」って、突然少年みたいに見せてきて。
あまりにも無邪気だったので、美波ちゃんと私が引き気味にリアクションしたら、佑さんは恥ずかしそうに、「なんか、家にいる時みたいなこと言っちゃってごめんね」って(笑)。それくらいリラックスした3人の空気感は、すごく心地いいなって思います。
――俳優としての柄本さんはいかがですか?
本当に自然体で、お芝居という感じがまったくしないんです。目線などの細かいところまで作り込まれているのでしょうが、それが自然にできているのが素敵だし、勉強になります。
近くにいると、とても高度なことをやられているのが感じられます。真似したらやけどするなって思いますけど(笑)。
デビュー10年「自分らしくいられる瞬間が増えて、ちょっとは成長したかな」
――モデルでデビューされて10年。振り返るとどんな10年でしたか?
10年って聞くと、ズシッときますね。でも、自分としては10年経ったという感じはしていなくて、あっという間でした。
お芝居を始めたのは20歳くらいからで、まだ10年は経っていないのですが、最初のころと比べると、ちょっとは成長したかなと思います。
初めは何もわからないから、怖くて仕方なかったし、緊張して何も話せなかったので、それに比べたら考えられることも増えて、自分らしくいられる瞬間が増えたことは、成長かなって。
モデルでもお芝居でも、どの現場でも空気感が大事だと思っていて、自分らしくお話できたり、コミュニケーションが取れるようになったことは、すごくいいことだと思っています。
いろいろな現場を経て、先輩方から教わったいいところを吸収して、さらに成長していければと思います。
――今後、挑戦してみたい作品はありますか?
ハードルは高いのですが、いつかは時代物を経験したいです。私、最初に憧れたのが『大奥』なんです。自分の身に降りかかったら嫌ですけど、水面下でドロドロした女の闘いが繰り広げられているのが好きで(笑)。
――ストレス発散法はありますか?
絶対に毎日やるのは、大音量で音楽を流しながら、お風呂に入ること。お風呂の中で歌ったり踊ったりしています(笑)。
音楽は何でも聴きます。ミュージカルとかもやります(笑)。癒やされるためのお風呂なのに、逆に汗かくくらいやっちゃうんです。のぼせてクタクタなんですけど、それがストレス発散になっているみたいです(笑)。
――最後に、視聴者へのメッセージをお願いします。
とにかく最大の謎は白夜の存在なので、「この子、何者なんだ?」というのを楽しんでいただきたいです。そして、その裏に巨大なものが隠されているので、それもお楽しみに。
また、人間の感情が理解できない白夜に、私たちきょうだいが“家族とはどういうものか”“人間の距離感や温かさはどういうものなのか”を教えてあげることで、白夜が成長していく姿を見守っていただければと思います。
晴汝が白夜にとって、いい影響を与える存在になればいいなと思っているので、そこもぜひご覧ください。
<撮影メイキング&メッセージ>
公式サイト:https://www.ktv.jp/dr_white/
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公式Instagram:https://www.instagram.com/dr_white2022/
ヘアメイク:百地優里子 スタイリスト:岡島千景
撮影:島田香