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100均グッズで実践!話題の「プチプラ防災」で備える震災 #知り続ける_site_large

100均グッズで実践!話題の「プチプラ防災」で備える震災 #知り続ける

東日本大震災から11年

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いざという時、いまの備えで大丈夫?

東日本大震災の直後には防災グッズや備蓄食糧を買ったけれど、そのあとは何もしてなくて心配という人もいるのではないでしょうか。

そんな不安を解消してくれると、4万部を超えるベストセラーになっている書籍が「レスキューナースが教える プチプラ防災」(扶桑社)です。

著者は、国際災害レスキューナースの辻直美さん。東日本大震災など国内外の被災地数十件に派遣され、救助活動に携わってきた経験を持っています。

「過酷な被災地で本当に使えた防災術を、多くの人に知ってほしい」と執筆。辻さんのノウハウが存分に詰め込まれています。

百聞は一見に如かず。こちらは震度6を記録した2018年の大阪北部地震直後のときの写真です。左は辻さんの自宅キッチン、右は同じマンションで隣の住人のキッチン。違いは一目瞭然です。

画像ギャラリー【全8枚】を見る 震災後すぐに撮影された辻家のキッチン(左)と、同じ間取りの隣家のキッチン(右)
震災後すぐに撮影された辻家のキッチン(左)と、同じ間取りの隣家のキッチン(右)

隣の家はフロアに物が散乱した一方、辻さんの家のキッチンは調味料が4本しか倒れなかったそう。

キッチンだけでなく、リビングや本棚の写真も、同じマンションの同じフロアのものとは思えません。

画像ギャラリー【全8枚】を見る 辻家と隣家のリビングと本棚の様子からも備えの必要性が一目瞭然
辻家と隣家のリビングと本棚の様子からも備えの必要性が一目瞭然

隣の家では、おばあさんが倒れてきた物に埋もれてしまう事態に。玄関から入れなくなっていたため、窓ガラスを割って助けに入ったということです。

震災への備えのあるなしで、これほどの違いが出ます。

しかも、大きな家具転倒防止器具を設置したりするのではなく、100円ショップに売っているような安くても効果が高い“プチプラグッズ”を揃えるだけで十分に効果があるといいます。

それが辻さんの提唱する“プチプラ防災術”。

「防災と生活を楽しむは両立できる」と語る辻さんに、実際にポイントを教えてもらいました。

100均グッズで実践!プチプラ防災をやってみた

フジテレビュー!!編集部員が自宅でプチプラ防災を実践してみることに。辻さんに教えてもらって、グッズをいくつか揃えました。お値段はどれも100円です。

画像ギャラリー【全8枚】を見る 100均で揃う防災グッズ
(左から)すべり止めシート、家具転倒防止板、防振粘着マット。 全て100円均一ショップで購入

【本棚にすべり止めシート】

まずは本棚。収納されている本が、背の高い本棚から落ちてくると凶器になり得ます。

そこで使用するのが、すべり止めシート。これを敷くだけで本がすべらなくなり、抜群の安定感が生まれました。

すべり止めシートは黒を選択したので、ダークな色合いの本棚でもまったく違和感がありません。

画像ギャラリー【全8枚】を見る すべり止めシートを敷いた本棚

「特にサイズは測らずに敷いてしまって大丈夫です。大まかに敷いて手前をちょっと折り返して高くするとより滑り落ちないし、カットしなくても良いので楽です」(辻さん)

【転倒防止棒の代わりに箱】

本の落下よりもっと怖いのが、本棚そのものの転倒です。ただ、家具の転倒防止用つっぱり棒を棚と天井の間に施すのは見た目の点でちょっと…なんて思っている人もいるはず。

そんな人にオススメなのが、家にある箱と本などを隙間に詰めること。これだけで、転倒防止棒の代わりになるといいます。

スタッフ自宅の本棚は天井までのスペースがかなり空いていたので段ボールを積み重ね、微妙な隙間は本を挟んで調整しました。

画像ギャラリー【全8枚】を見る 本棚の上に箱で転倒防止策

「天井との隙間を埋めることで、棚が倒れてくる率が変わってきます。上に積み上げる箱も段ボールのままだと圧迫感があるので、100均などで売っているリメイクシートを貼るのもおすすめです」(辻さん)

キッチンでも実践!100均グッズが命を救う

家具転倒防止板は家具の間に挟むのはNG

続いては、上下2段に分かれている棚。

揺らしてみたところ、上の棚が不安定で危険を感じました。そこで、地震が起きても前に倒れてこないよう、100円ショップで手に入れた転倒防止板を挟み、少し後ろに倒して壁に寄りかからせてみました。

しかし、辻さんによるとこれはNG。

画像ギャラリー【全8枚】を見る 家具転倒防止板のNG例

ここでも、使うのは「すべり止めシート」の方が良いそうです。

「間に挟むのは余計に安定しないので危険です。分かれている家具の場合は、間にはすべり止めシートを挟むか、DIYが得意であれば家具の背中側でアルミの細長い板を上下がずれないように貼ってビスで止めるなどしてください。両方施すとより強度が増します」(辻さん)

【落ちてきにくい皿の重ね方】

キッチンで気になるのは、割れやすいお皿。皆さんはどのように収納していますか?

スタッフの家では、大きいお皿を一番下に、次に中くらい、その上に小さいお皿と積み重ねていました。

辻さんによると、この並べ方は地震の揺れに弱いそうです。

「大→中→小」と積み重ねがちなお皿ですが、実は下から順に「中→大→小」と重ねると、揺れが相殺されるとのこと。

実際に揺らしてみると、確かに一番上の小皿の揺れが小さい結果になりました。

それだけでなく、高さがコンパクトにまとまり、収納力までアップしました。

画像ギャラリー【全8枚】を見る 揺れに強い皿の重ね方

「実は皿自体が割れることよりも、落ちて割れた皿を片付ける時に心が折れがちです。皿がすべり落ちないように下にすべり止めシートを敷くとより安全です。食器は使用する人ごとに分けて取っ手の付いた収納ケースに入れておくと、管理も取り出しも便利ですよ」(辻さん)

「想定外という言葉はもう聞きたくない」

今回、ちょっとしたグッズや備えで、大きな防災対策になることがわかりました。

プチプラ防災の関連本「レスキューナースが教える 新型コロナ×防災マニュアル」も増刷を重ねるロングセラーに。辻さんは2022年6月にも防災関連の新刊を出版予定です。

そんな辻直美さんに、「理想の防災」についても話を聞きました。

画像ギャラリー【全8枚】を見る

――いつ来るか分からない災害に備えて家を防災仕様にするのは、心にストレスを与える場合もあるのではないでしょうか。

防災術に傾きすぎると生活しづらくなります。防災仕様の家というと、みなさん自衛隊の基地みたいなのをイメージされるらしいんですが、私の家はそうではありません(笑)

動線を考える、そして生活に潤いを入れるのがポイントです。それがないと苦になって元に戻ってしまう。見た目を大きく変えずに「気が付いたら防災できていた」くらいが理想です。

――災害時に起こる不安からの「買い占め問題」についてどう思いますか?

新型コロナウイルスの混乱でも「買い占め問題」が置きました。買い占めは不安からの行動です。冷静でいられるように、常に生活の中で適切な備蓄量をキープしておくことをおすすめします。

私の場合は災害に関わらず常に10日分をキープするために、5日分くらいのストックが減ったら買い足していく。適切量の把握におすすめなのは「ローリングストック」です。

例えば、米10キロ、うどん20食、パスタ(100g)10束、ラーメン10食が、家族3人で6日分食べていける量になります。どのくらいの量を保持しているか把握していないので、恐怖心から慌てて買いだめをしてしまうのかなと思います。

野菜も冷凍しておけば日持ちしますし、繊維がつぶれるので火を通す時間も短くなります。毎日買い物に行かなくても良いということに気付く機会でもありますよね。

――災害に備えて防災グッズや防災リュックを買うことはしますが、「安心を買っている」というだけになってしまっている気もします。

「防災リュックの中身を1回でも出したことがありますか?」と聞くと8割の人が「NO」です。

「1回出してしまったら詰められないから嫌だ」という方が多いですね。 例えば「災害用携帯トイレ」が入っているけれど、使ったことがないという方が多数です。

必要なモノをどこでいつ使うのかを知らない方が多い。この本には被災した際のタイムラインも記してありますし、生き延びるために何をどうするのか、そしてその後の復興までのことについても書きました。

他人の被災は自分の被災だと思って備えてほしいです。「想定外だった」という言葉はもう聞きたくないです。災害を共有してイメージしてみてください。全て想定内でいてほしい。

「災害専門の防災グッズをたくさん買っていれば安心」と言う方もとても多くて。自分の日常が一般の方にとって知らない役に立つ知識なのであればそれをお伝えしたいなと思い、この本を出版しました。

皆、災害時には「助けてもらえるもの」と思いがちですが、助かる努力を自分でしないと命は助からないんです。

厳しい意見だとは言われますが、レスキューや自衛隊や消防も、緊急具合によって優先順位があります。助けを待っているうちに何も備えていない人は当然死ぬ確率が高くなります。

けれど、何かしらの備えをしている人は生き残る確率が高くなる。それに、「助かった」そこからがスタートです。そこから生きていかないといけない。生き延びるために何を準備しておくべきなのかと、モノだけではなく知識と経験を備えることが重要だという意識改革をしたかったんです。

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