「身近な材料でこんなにもおいしい」と新鮮な驚きを与えてくれるレシピ本が話題を呼んでいます。
フジテレビュー!!で「肉loverの感覚レシピ」を連載中の料理家・今井真実さんが、初のレシピ本「毎日のあたらしい料理 いつもの食材に「驚き」をひとさじ」を上梓しました。
2人の子どものお母さんでもある今井さんの家庭での料理、子どもの偏食にまつわるヒント、そして料理家としての今後の目標とは?新生活にもぴったりな旬の食材を使ったレシピも紹介してもらいました。
<いつもの食材がこんなにおいしくなる「あたらしい料理」料理家・今井真実インタビュー>
コロナ禍での料理教室閉鎖からSNSでバズるまで
――今井さんが「料理家」になった経緯を教えてください。
もともと10年以上料理教室を開催していました。仕事として表舞台には立っていないんですが、企業のレシピ開発やフードスタイリングにも携わっていました。名刺には「料理家」と書いてはありましたが、自分の名前で本を出したりレシピを発表したりということはまったく考えていなかったんです。
「料理教室も楽しいし、ずっとこのままの生活でいいかな」と思っていたんですが、2020年にコロナ禍になり料理教室も閉鎖せざるをえなくなって、いつ再開できるか分からない状態になりました。 教室のお知らせ用のSNSアカウントに自分の夜ご飯の献立を紹介したりはしていたんですが、そこにレシピを公開するということは考えていなかったんです。
なぜかというと、料理教室では赤ちゃんがいる人が多いから離乳食に使えるレシピを多くするグループ、晩酌をするのでおつまみのレシピが多いグループというように、グループごとにレシピを書いていました。
コロナ禍で外出が思うようにできなくなり、料理をする機会が増えて献立に困っている人が多いとか、お料理をするのがしんどいというお話もよく聞くようになりました。それで自分ができることってなんだろうと考えて、教室の生徒さんたちから快諾してもらったこともありレシピを公開するようになったんです。
――今井さんがSNSで発表したレシピはすぐにバズって大きな反響がありましたね。
自分ではあまりバズったと思ったこともないですし、作ってくれた人に喜んでもらえたのならよかったという気持ちしかないです。「楽しく作れました」とか「すごくおいしかったです」というコメントをいただいて、「良かったと思ってくれるなら良かったなぁ」って。その反響を見て、私自身もレシピのブラッシュアップができるのですごく勉強になります。
偏食の子どもが「おいしい!」と言うなら、間違いなくおいしい
――家庭での今井さんはどんなお母さんですか?
我が家は4人家族で、13歳の女の子と6歳の男の子がいます。料理家ということもあって、“良いお母さん”風に思われがちですが、全然そんなことはないです(笑)。私が朝が弱いので朝ご飯もお弁当も夫が作りますし、子どもの幼稚園の提出物とか行事についてはいつもすっぽり抜け落ちてしまって、周りのお母さんたちに助けられています(笑)。
子どもに料理を手伝ってもらうこともありますが、自分の心に余裕のあるときだけですね(笑)。雨で公園に出かけられない日には、息子と簡単なおやつを作ったりもします。
上のお姉ちゃんは、私たちが出かけるときにはもう自分1人でご飯を作ったりしていますね。親の目がない方が逆にお料理をしやすいんじゃないかな。自分のための料理なので「ひと口だけちょうだいよー」って言ったらしぶしぶくれる感じです(笑)。
――「やっとたどり着いたカルボナーラ」といった料理のタイトルからも、今井さんの研究熱心な姿勢がうかがえます。レシピについて常に試行錯誤しているのでしょうか。
料理に関しては自分に厳しいというか、「これはおいしいけれど、すごくおいしいわけではないな」と、もっとおいしくできるんじゃないかといつも考えていますね。例えば調味料を足すのか、何か素材を足すのか、調味料の割合を変えるのか…。家族がオッケーを出しても、私だけが味に納得いかなければボツにすることもあります。
たまに家族が全員一致で「おいしい!」となるときがあります。そのレシピを載せるとやっぱり反応が良いんです。あと、下の子がすごく偏食なので、この子がおいしいと言ったら間違いなくおいしいんだろうなって(笑)。
――偏食のお子さんへの対処方法は?
お子さんの好き嫌いって皆さん悩まれるんですけれども、子どもが小さいときは、「いろいろな食べ物の味を知る」というだけでいいと思うんですね。
毎日の夜ご飯は私が食べたいもので献立を決めていくので、子どもからしたら「これ食べたくないのにな」というものもあるでしょう。それを食べないと怒られるっていうのは、かわいそうだなって思うんです。
簡単にできることとして、例えばお鍋料理で自分で味付けをさせるのをおすすめしています。「お塩がいい」とか「ニンニクをちょっとかけてみたい」とか、そうやって自分で工夫して好きな味を見つけていくっていうことも大切なので。
あとは、食事の時間にこだわらなくてもいいと思っています。自分が料理してるときに、お行儀が悪い感じがしちゃうんですが、「ちょっと味見してみて」と言ってつまませることもあります。爪の先の量だけでもいいからと、頼るふりをして食べさせてトータルで野菜が摂れるようにしています(笑)。
実は、私自身、小さい頃は、野菜も魚も大嫌いだったんです。でも今は全部食べられます。自分の好きな味を知ったり、自分でお料理をするようになったりすると、結構食べれるようになるんじゃないかなと思います。
――それでは、今井さんの今後の目標を教えてください。
今のライフスタイルに合わせて、どうやって日々の中で料理の時間を確保していくのかとか、単純にレシピを考えるだけではなく、「ライフスタイルの中で料理をしていくこと」というのを伝えていければいいなと思っています。
また、3月28日に新刊「いい日だった、と眠れるように 私のための私のごはん」(左右社)が出ます。旬の食材をテーマにしたレシピとエッセイなんですけれども、子どもの好き嫌い問題、忙しいときにどういうふうに過ごしているか、疲れているときにどうやってご飯を作っていくか…そういうことをテーマに書いています。
料理によって自分のマインドが変わっていくということはすごくあると思うので、今後もそういうことを言語化していきたいです。
あと1品に助かる「素焼き大根」&幸せ溢れる「じゃがバタご飯」
――本書では4章立てでレシピが紹介されています。旬の食材を使用したおすすめの料理を紹介してください。
3章の「あと1品の副菜は『1食材』をぜいたくに生かして」から、「焼いた大根の味の濃さに驚き 素焼き大根」を紹介します。これはもう大根を切って焼くだけなので、コンロがごちゃごちゃなときにちょうどいいレシピです(笑)。
汁ものを作ったり炒め物を作ったり、コンロがいっぱいになってしまったときに、トースターや魚焼きグリルを使って作ってもらえれば、忘れた頃にもう1品できているみたいなレシピです。大根の甘みを楽しめるので、旬のいま作ってもらいたいですね。
4章の「何度だって作りたい、楽しくて嬉しい麺とご飯」からは、「バターがふわっ、じゃがいもがしゅわっ じゃがバタご飯」を紹介します。
これもびっくりするぐらいおいしいので、食べ過ぎ注意です(笑)。おいしいので何も考えずにどんどん食べてしまいます。「じゃがいも、バター、昆布、酒、塩だけでこんなにおいしいんだ!」と作るたびに驚きます。是非、新じゃがでも試してみてほしいです。
写真/今井裕治
フジテレビュー!!で連載中の今井さんの連載「肉loverの感覚レシピ」では動画でもレシピを紹介しています。
書籍「毎日のあたらしい料理 いつもの食材に「驚き」をひとさじ」の詳細は公式サイトまで。

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