豊川悦司さんが、色気についての持論を語りました。
豊川さんは、4月7日より第二作が公開される映画「仕掛人・藤枝梅安2」(河毛俊作監督)で、人の命を救う「鍼医者」であり、人を殺める「仕掛人」でもある藤枝梅安を演じます。
池波正太郎のベストセラー時代小説「仕掛人・藤枝梅安」シリーズを、池波正太郎生誕100年となる2023年に二部作で映画化。
かつて名だたる名優たちが演じた梅安に豊川さんを据え、池波氏の世界観や時代劇の伝統に敬意を払いながら“メイド・イン・ジャパン”のエンターテインメント作品として、国内外、幅広い世代にアピールすべく製作された意欲作です。
今回、第二作公開前に、豊川さんに話を聞きました。
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<豊川悦司 インタビュー>
――この作品では、「時代劇、新時代。」というコピーの通り、“伝統と革新”を目指したそうですね。豊川さんが「ここは攻めているな」と感じたのはどんなところですか?
例えば、遊園地でアトラクションに乗ったりすると、最近は、VRとか体験型のアトラクションが多くなっていますが、本作で我々みんなが一番目指したかったのは、スクリーンの中の時代劇、つまり「梅安の世界」とご覧になっているお客さまの「現実の世界」との距離をどう縮めていくかということ。
そこは、かなりうまくいっているのではないかと感じています。
映像的なところで言うと、画面の明るさもそうです。実際に江戸の人たちが暮らしていた夜の明るさや暗さはどのくらいだったのか、リアルを追求していくことにより、一層、梅安の世界に入り込んでもらえるのではないか、ということを大事にしていました。
今までの時代劇は、「時代劇を見ている」というより、どこか「テレビや映画を見ている」という印象のほうが強かったかもしれません。
しかし、本作は「梅安の世界(=江戸の世界)」を体験してもらう、見てもらうということを意識して、画面の明るさもそうですし、フレームという画の構図や、あとは音楽にもみんながすごく気を遣って作っていたような気がします。
――梅安は、人の命を救う「鍼医者」と人を殺める「仕掛人」というふたつの顔を持ちますが、豊川さん自身の「俳優以外の別の顔」といってイメージするのは?
いっぱいあると思います。夫であったり、父親であったり、誰かの子ども、誰かの友人であったり…。俳優・豊川悦司という人間も、そのもうひとつの顔なんだと思います。
それ以外の意外な一面があるとしたら、僕自身ではなく、他人の方が知っているかもしれません。
それがどんなものか…良い一面だったら、聞いてみたいですが、そうでなければ、聞きたくはないですね(笑)。
――「仕掛人・藤枝梅安」第二作は、椎名桔平さん、小林薫さん、石橋蓮司さん、佐藤浩市さんといった男性キャストの方が多く出演していますが、撮影現場でのエピソードがあれば教えてください。
第二作は、特に同世代の俳優さんが揃っていて。しかも、それぞれ共演経験がある方だったので、本当に「おお、久しぶり!」みたいな感じで始まって、すぐに和気あいあいと撮影できました。ただ、男同士の会話というのは、実はとても女性的な話題が多いように思います。
女性からしても「そんな話をして、何が面白いの?」みたいなことがたくさんあるような気がしますね。
冬の京都での撮影だったので、「なにかいい防寒具はない?」「ネット通販であれをポチッたよ」とか、そんな話ばかりしていたので、かわいらしいものですよ(笑)。
――あそこのお店がおいしかった、というグルメ情報なども?
それもありましたね。ただ、残念ながら、まだコロナが厳しかったときでしたので、なかなかみんな一緒に連れ立って食事にいったりすることができなかったのは残念でした。
でも、その分、待ち時間には、いろいろな話ができましたね。
梅安と彦次郎の関係に「久々に誰かを家に泊めたくなった」
――劇中では、梅安と、片岡愛之助さん演じる彦次郎との“相棒”的な関係も印象的です。ふたりの関係をどう見ますか?
うらやましいですね。僕も彦さんほしいなって思います(笑)。彦さんがいたらいいですし、(梅安が彦次郎に言うセリフ)「泊まっていきなよ」なんて、この年になって言える男友だちいるかな?と思ったりします。
あのふたりの関係は、そんなに特別ではないですが、やっぱり生死をともにしているという根本があるので、ちょっと深くて素敵な関係ですよね。
男にとってはうらやましい関係ですし、多分、映画をみた男性の観客は、同じように思ってもらえるんじゃないかと思います。
“梅安さん”は絶対に女の人は(自分の家に)泊めないと思うから、面白いですよね。僕も久しぶりに誰かを家に泊めたくなりました(笑)。
――豊川さん自身には“相棒”的な人はいますか?
仕事のパートナーでいうと、マネージャーさんですね。
現場やロケに行くのも一緒ですし、オファーいただいたお仕事をやるかどうするかというところから、一緒に話し合って答えを出しますし、できあがった作品に対しても、ここからどういうふうに関わっていこうかと相談します。そういう意味では、マネージャーさんですね。
――梅安は、立ち振る舞いの美しさ、色っぽさも印象的です。豊川さんが演じているから、という前提がありますが、ご自身はどんな人に色気を感じますか?
色っぽいな、色気があるなと思う人は…例えば、それを「華がある」と言い換えてもいいですが、男女問わず、スッと立っている人かな、と思います。
簡単に言うと「自分のために立っている人」「自分を持っている人」ということになってしまうのですが、決して硬い印象ではなく、どこかやわらかくて、押しても、ちゃんと押し返されるような人というのかな。
それと、色気のある人は、自分の気持ちや考えを真摯に伝えつつも、基本的に聞き上手な人が多いような気がします。
相手の話に対して、ちゃんと興味を持てる、あるいは興味を持っているということを伝えることができる人というのは、おのずと相手にとっては、色っぽく映るのではないかと思います。
撮影(豊川悦司さん):島田香
公式サイト:https://baian-movie.com/
©「仕掛人・藤枝梅安」時代劇パートナーズ42社