佐久間みなみフジテレビアナウンサーが主演を務めるホラー映画「かわって」が、FODアナマガ「フジアナのいろイロ」にて、配信されている。
メガホンを取ったのは、鑑賞作品数は年間150本という映画好き・立本信吾フジテレビアナウンサー。劇中のホラー部分については、立本アナ自ら絵コンテを描き、カット割りなどもこだわって作り上げたという。
今回フジテレビュー!!は、立本アナと佐久間アナにインタビューを実施。演技や監督をしてみての感想や難しさ、撮影中の裏話などについても聞いた。また、お互いの“女優ぶり”、“監督ぶり”を評価してもらうと…。
<立本信吾アナ・佐久間みなみアナ インタビュー>
──今回、佐久間アナは主演を務めましたが、演技の経験はありますか?
佐久間:演技自体は、入社する前に少しだけ。事務所に入っていたので、ワークショップに行ったり、自主制作の映画に少しだけ携わらせていただいたことはあるんですけど、主演はもちろん初めてですし、ここまでがっつり演技、というのはやったことなかったです。
──立本アナは初監督ですか?今回、どのような経緯でこの映画が実現したのでしょうか?
立本:初です!以前から、FODでアナウンサー企画をいろいろやっているんですが、そのスタッフさんと男性アナ数人で焼肉を食べに行ったときに「なんでもいいから、何かやりたいことありますか?」と聞かれたことがあって。酔っ払いながら「監督やってみたいですね」という話をしたんですが、そこから一切連絡はなく…。1年半くらい経った頃、急に「立本さん、監督企画通りました」って(笑)。なので、“寝耳に水”というか、“青天の霹靂”というか…。
佐久間:それって、急に思い出したんですかね?それとも、その間ずっとあたためて…。
立本:多分、そのスタッフさんの中では相当あたためていたのではないか、と。僕自身はもはや忘れているくらいだったんですけど。今だから言いますけど、話がきたときは「無理でしょ、多分」と思っていました。映画やドラマは好きですが、撮ったことはないですし、経験者がサポートしてくれるわけでもないですから。
「これは難しい戦いになるぞ」と思っていたんですが、いざやってみると、「意外とできたかな」と。目も当てられないレベルのものができてしまう可能性も、ちょっと感じてはいたんです。でも、そこまでひどくはならなかったかなと。「こんなもの見ていられるか!」って、キレて途中で止められるほどではないと思います。
佐久間:結構皆さんから「見たよ〜」って言っていただけていますよ。
立本:意外と、最後まで見てくださっているみたいです。
──なぜホラーを撮ることに?
立本:「名監督と言われる人たち、ホラーでデビューしている人が多い」説があるんですよ。僕の好きな監督も、ホラーから入っている方が多くて。僕はそれを勝手に「お金がなくても暗さでごまかせるから」だと思っているんですけど。なので、「初監督作はやっぱりホラーでしょ!」という考えはなんとなくあったんです。
佐久間:そういうことだったんですね!確かにホラーって、お金がなくてもできるっていうのはよく言いますよね。いろいろ隠せちゃいますもんね。
立本:でも、そう思っていざやってみると…まぁまぁ隠せないよね(笑)。結構難しくて。アングルもそうですし、演技のタイミングとか、ちょっとしたことがズレると一気に怖くなくなっちゃったりして。だいぶ舐めていましたね、ホラーを。
佐久間:アングルにもすごくこだわりがあるなと感じましたね。“民子”(劇中のキャラクター)がいつどこで、どう現れるかっていう部分にこだわって、何テイクも撮ったこともあったので。「突然パッと現れてほしいから、佐久間が体で隠しておかないと」みたいな指示もあったりして。そういうのも、監督だからこそわかることですし、すごいなと思いました。
──実際に撮ってみて、演じてみて、難しかった点は?
立本:人が怖がるタイミングって結構難しくて。自分がホラーを見ているときは何気なく怖がっていますけど、実はその一瞬しかないタイミングを突かれているんだという発見がありました。
佐久間:「ここで来るんだ」とわかっているんですけど、わかっていて叫ぶのと、本当に怖くて叫ぶのって、絶対にタイミングが違うんですよね。「このタイミングで叫んだらちょっと違和感あるんじゃないか」と思ったりして、叫ぶシーンでは毎回緊張していました。「どうやったら素のリアクションで叫べるのか」というのがずっと課題でした。本当のリアルだと、私は声出ないと思うんですよね(笑)。
立本:でも、佐久間さんの演技、すごかったですよ。一番そう感じたエピソードがあるんですけど。劇中、佐久間さんに泣いてもらいたいシーンがあったんです。結果的に目薬を使ったんですけど、そのとき、本人は泣けないことをめちゃめちゃ悔しがっていて(笑)。なんならその悔しさで泣くんじゃないかってくらい!
佐久間:悔しかったですね〜!「なんでここで泣けないんだ!」って。練習しているときはかろうじて涙が出ていたんですけど、実際にカメラがまわると、「(涙が)もうここまできているのに!」って(笑)。
立本:いや、でもあそこで泣けちゃっていたら、むしろ怖いですよ!例えば今後、僕が佐久間さんに何か強く注意したとして、涙を流されたり…しても、絶対その涙を信じられなくなりますからね!「涙でその場を収めようとしている」としか思えなくなっちゃう。
──そのシーンでは、どんなことを考えて涙を出そうとしたんですか?
佐久間:よく、「悲しいことを考えて…」って言うじゃないですか。でも私の場合は、そうするとセリフが出てこなくなってしまいそうだったので、本当にキャラに入り込んで、気持ちを作り込みました。でも…足りなかった…!
立本:あはは、「足りなかった」!アナウンサーのセリフじゃないって(笑)!
佐久間:いや〜、演技、極めたいですねぇ(笑)。
──今回のキャスティングは立本アナが?
立本:基本的には僕が考えました。スタッフさんと話し合いつつ、スケジュールを考えながら。佐久間アナ主演というところだけはしっかり決めていました。他の配役は…まぁ、適当です(笑)。実は佐久間アナの先輩役には候補が3人いたんです。上中(勇樹)アナと、黒瀬(翔生)アナ、実際に演じた谷岡(慎一)アナ。佐久間アナに「先輩役、誰がいい?誰がやりやすい?」と聞いたら、「谷岡先輩ですかね」って即答でした。あれはどうしてだったの?
佐久間:谷岡さんが一番お話しやすいかな〜…って…(笑)。
立本:だってよ、上中、黒瀬(笑)!でも、谷岡の演技は超自然というか…上手くはないんですけど、本人そのまま、という感じで。僕はあれが演技じゃないって知っているけど、僕以外の監督だったら、大絶賛しているかもしれません(笑)。
佐久間:緊張している感じもなくて、自然体でしたよね。
──立本アナご自身も出演されていましたよね。
立本:本当は、もう少し出ようかなと思っていたんです。でも、実際に自分が映っている姿を見たときに、「ちょっと…顔がうるさいな」と思って。演技経験がないせいか、どうしても“うるさい演技”になっちゃうんです。なので、あまりいらないなと思って。シャマラン監督(※1)ほどは出ないけど、タランティーノ監督(※2)くらいは出る、程度でいいかなと(笑)。
※1:M・ナイト・シャマラン監督。代表作に「シックスセンス」「サイン」などがある。
※2:クエンティン・タランティーノ監督。代表作に「レザボア・ドッグス」「キル・ビル」などがある。
──いい味を出されていましたよね。
佐久間:出演部分、謎の余韻を残していましたよね(笑)!
立本:「もしかしたら、キーマン?」と思わせかねないような(笑)。人によっては、「どこに伏線があるかわからない」という目線で見てくださるかもしれない。(出演している)德田(聡一朗)アナも、伏線かもしれない(笑)!
──お互いの監督ぶり・女優ぶりに点数をつけるなら、100点満点中何点ですか?
立本:泣いてくれなかったので0点ですかね(笑)!
佐久間:厳しい〜!!私、100点って言おうと思ったんですけど(笑)!
立本:嘘です、嘘です!もちろん100点ですよ。いやむしろ、僕がなんとなくイメージしていた演技で100点だとするなら、佐久間アナの演技は、リアルに400点くらいです。アナウンサーではないです、もはや。
佐久間:「アナウンサーではない」…それはいいのかどうなのか(笑)。私から見ても、立本アナの監督っぷりは、本業アナウンサーであることを考えると…400点ですかね。
立本:おっ、400点コンビ!?
佐久間:さっき話したアングルもそうですけど、民子の声に関しても、何回も「もうちょっとこうして」っていうこだわりが強くて。正直、私は違いがわからなかった…(笑)。でも、やっぱりそれでやり直すと、より良いものになっているので、さすがだなと。
立本:でも、あれってちょっと自分に酔っているところがありますよね。よくあるじゃないですか、監督が「う〜ん…」「もうちょっと…」みたいなの。やってみて思ったけど、“こうやっている自分”みたいな(笑)。
佐久間:…ちょっと、やっぱり400点から100点にしていいですか?
立本:うわぁ〜!下がったぁ!
──また次回作でこの黄金コンビが見られるのを楽しみにしていますね。
立本:次は…カンフーかな!
佐久間:カンフー!?
「かわって」 あらすじ
念願のアナウンサーとなった主人公のみなみ(佐久間)は、毎晩おかしな夢に悩まされていた。異変を感じたみなみは、同じ番組を担当する先輩・谷岡慎一に相談するも相手にされない。そんな彼女を心配した上司・西山喜久恵の口から語られた衝撃の内容とは…。
詳細はFODアナマガ「フジアナのいろイロ」にて確認を。