明日への活力とトキメキを与えてくれるようなイケメンを紹介する「眼福♡男子」Vol.48は、舞台をメインに活動する伊崎龍次郎(いざき・りゅうじろう)が登場。
大きな瞳と人懐っこい笑顔が印象的な彼が今回挑むのは、2009年に初めて上演され、2012年に再演。2013年にスピンオフ作品「零」、そして、2014年に再々演された人気舞台「双牙~ソウガ~」。
「『双牙~ソウガ~』新炎」として上演される本作に、主人公のひとり・ツムギ役で出演する伊崎がどんな思いをもって臨むのか、そして、彼のプライベートを支える存在についてもインタビューした。
キレ者であるがゆえ、周りから理解されないツムギを魅力的に演じたい
――スピンオフを含め、5度目の上演となる人気シリーズですが、これまで観劇したことはありましたか?
生で観たことはないのですが、出演が決まってからDVDで観ました。シンプルなテーマで、とても熱くなれる作品だと感じました。
――まだ稽古に入ったばかりだそうですが、こう演じたいという演技プランはありますか?
ツムギは頭の回転が速いぶん、周りが思いつかないようなことを考え、誰よりも先を見越しているんですね。その行動は人から理解されないことも多いのですが、そんな部分こそがツムギの面白さだと思うので、どう振る舞って魅力的にみせていこうかと試行錯誤を重ねているところです。
さらに、序盤のツムギと中盤のツムギ、そして、最後のツムギと印象が変わると思うので、その変化を楽しんでいただけるよう、丁寧に段階を踏みながらつくり上げていきたいです。
――もう一人の主人公・オウカを演じる猪野広樹さんとは1、2月に上演された「GHOST WRITER」から連続での共演ですね。
広樹くん演じるオウカが直情的で感情型。一方、僕が演じるツムギは賢くて思慮深い。オウカには腕力があるけど、ツムギにはない。すべてが対照的な2人ですが、稽古を重ねる中で僕たちならではの空気が生まれてくると思うので、どんなコンビになるのか僕自身も楽しみです。
――猪野さんといえば、舞台上でみせる殺陣のスピードは若手俳優の中でもトップクラスと言われています。
初めて見た時に「この人、うまいな」とかなりの衝撃をうけました。僕は以前、早乙女友貴くんと共演したことがあって、その時も相当な衝撃をうけたんですけど、広樹くんの殺陣はそれ以来の驚きでしたね。
――今回は殺陣に加え、パルクールをとり入れることもあり、より見ごたえのあるものになりそうですね。そして、本能で動くオウカに対し、ツムギは軍師ならではの冷静さをもち合わせているキャラクター。伊崎さん自身は直情型、慎重派のどちらですか?
うーん、物事によりけりですが、なんだかんだ考えて動くタイプなのかも。どちらかというとツムギ派ですね。
――ゲームで想定するとしたら、綿密に作戦をたてる策士のようなタイプ?
そんな面ももち合わせているんですが、「行っちゃえ!」というスイッチがどこかにあって、そのスイッチが入ると完全に感覚型になってしまいます。
――また、今回のトピックの一つとして、かつてオウカ役を務めた町田慎吾さんが演出を担当されることも話題です。
演者としての正解をもっている方がそれから7年の時を経て、客観的な視点を持ちながら作品をつくろうとしていて、僕たちはその方のもとで新しい「双牙」をつくり上げる。町田さんもそうだと思いますが、僕たちにとっても闘いなんですよね。かつてのキャストの皆さんが完成させたものを、僕たちがどのように壊し、どのように再構築していくのか…。「町田さん、見ていてください」と気合が入ります。
こういう状況だからこそ、お客様には日常を忘れられる時間をお届けしたい
――オウカとツムギが「最強の盾と矛」と言われるように、これなら自分は最強だと言えるものはありますか?
障害物があるところでの鬼ごっこでしょうか。どんな鬼にも負けない、逃げ切れる自信があります(笑)。
――激しい鬼ごっこになりそう(笑)。例年以上に健康管理や体調管理が大切な時期を過ごしていると思いますが、どんなことに気を付けていますか?
昨年からとても気を使うようになったのですが、まず、朝、起きたらうがいをして、水を飲む。毎日、お味噌汁を飲む。そして、朝ではなく、夜にヨーグルトを食べる。そのほうが、寝ている間に腸をきれいにしてくれると聞いて「夜ヨーグルト」を実践するようになりました。あとはしっかり睡眠をとることですね。心の健康に関しては、疲れたら無理をしないことを心がけています。
――食事のほうはいかがですか?
時間がある時は鍋をつくって、それができない時は午後6時以降食べないようにしています。稽古の後など、どうしてもお腹が空いてしまった時は極力栄養のあるものを摂るんですが、そうでなかったら何も食べないほうが胃にはいいと聞いたので、それを信じてやっています。作品に携わっている時は健康第一なので。
――ストイックすぎる姿勢に頭が下がります。では、パワーの源は?
朝の散歩で、20~30分歩いています。心のモチベーションを保つ意味でいうと、猫の動画と、友人に教えてもらった爬虫類の動画を見ることです。トカゲがウズラの卵を食べる動画があるんですけど、それを見ては癒やされています。卵がパリッと割れる音が聞こえてきて、たまらなく愛おしくなります。
――コーナー名「眼福♡男子」にちなんで、伊崎さんの“眼福”な存在は何ですか?
大泉洋さんが出演している番組『水曜どうでしょう』です。何に対して僕はこんなにも心惹かれているのかと考えてみたんですけど、その人の素が垣間見えること、そして、笑顔の尊さだと気づいて。
この番組を見てから、より人の笑顔を見ることが好きになりました。笑顔が見たいから、好んでお笑いの番組ばかりを見ているんだと思います。あとは猫が僕にとっての眼福ですね。
――猫を飼ってるんですか?
今は飼っていないんですが、いつか必ず飼うぞと決めています。ほしいのは、毛足が長くて手足が短く、モフモフしている子がいいですね。猫だけじゃなく犬も好きで、犬ならポメラニアンとプードルのミックス犬・ポメプーという犬種が飼いたいです。ワンちゃんと朝の散歩ができたら最高ですね。憧れます。
――昨年から、コロナ禍においてエンターテインメントがもつ意味について考える機会もあったと思うのですが、そんな部分への思いを聞かせてください。
想像もしていなかったことを経験して、思ったより脆い部分があるなと感じた反面、エンタメ界にいる人の気合を感じ、「表現することを諦めない」という強い意志を目の当たりにしました。こういう状況だからこそ、演劇がもつ底力を再認識しましたし、こういう状況だからこそ、お客様には日常を忘れて没頭できる世界をお届けしたいと思いました。
救いとまではいかなくても、仕事や家事などを頑張れるスイッチが入るちょっとしたきっかけになればうれしいなって。僕自身もお芝居というものに救われた人間なので、エンターテインメントはなくてはならないもの。でも、中にはそうじゃないという人はいることもきちんと理解しています。
――2021年をどんなふうに過ごしたいですか?
出会いの年にしたいです。プライベートでも仕事でもそうですけど、出会いって自分の道を1本増やしてくれる大切なものだと思うんです。現在27歳ですが、30代へ向けてたくさんの人に出会い、魅力的な年齢の重ね方をしていきたいです。
――公演を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします。
「『双牙~ソウガ~』新炎」という作品が観てくださる方にとって、生きる活力や背中を押してくれるもの、重い腰を上げてくれるものになれるよう、舞台上でツムギとして精いっぱい生きたいと思います。楽しみにしていてください。
<あらすじ>
領土は小さいが豊かな経済力をもち、他国の侵略を許さない椎名家で「椎名の矛」と呼ばれる武将・オウカ(猪野広樹)と、「椎名の盾」と呼ばれる軍師・ツムギ(伊崎龍次郎)。2人がいる限りは安泰と思われた椎名家に、日本の3分の1を手中に収めたゲンシュウ軍が襲来。城内が混乱に陥る中、オウカとツムギはバラバラになってしまう。1ヵ月後に再会した2人は、敵同士となっていた。
「『双牙~ソウガ~』新炎」
3月5日(金)~14日(日)シアター1010
演出:町田慎吾/脚本:羽仁修
公式サイト 公式Twitter:@souga_2021
撮影:河井彩美