<コラム>フジテレビ『知ってるワイフ』第8話

津山(松下洸平)、ゴーーーーーーーーール!!!

じゃねーーー!

いつだって劇的なドラマチックを演出し、“あぁ、今週も終わりか…”なんて郷愁を誘うエンディングの、関ジャニ∞さんが歌うミディアムバラード「キミトミタイセカイ」に乗せて…

“幸せって何か?って~♪”

の瞬間、津山、ゴーーーーーーーーール!!!

じゃねーーー!

爽やかにゴールテープ切ってる場合かっつーの!!

マラソン会場に来た瞬間から元春(大倉忠義)を探し、そっからすでに気が気じゃないし、元春が体調悪そうにしてるのを見るや、余計気が気じゃなくなってる澪(広瀬アリス)だってのに、そんな澪なんだから、澪だけ見てりゃいいのに、ここへ来て魅力爆発し出した“あおい銀行世田谷支店”のみなさまの寸劇に、わざわざ、笑顔で、めんどくさがりもせず真摯に受け答えをし、よぅし!マラソン大会張り切っちゃうぞ!てな雰囲気まで醸し、だけどマラソンの最中はってーと、言わんでもええのに、チラチラ元春を気にする澪に、“離婚届書いたんだって”なんて、まったく…、またしても余計なことを…、そりゃもう、元春のこと、気にしてろってことじゃねーか!という“なんかこの先ある感”出しまくりな伏線を張り、「このままだと優勝できないぞ!」(できるわけねーだろ!)とか言って先を行く課長(マギー)へ従順についていき、澪を残し、やべぇぞ!誰かが後ろで倒れてたぞ!、心肺停止!?まだ若いのにさ…急に立ち止まる澪…もしかして…剣崎主任?…剣崎主任ッ!!…いい感じのイントロ流れ出す…振り返り走り出す俺のアリス…じゃない、澪(またフォームが美しいんだ!)…救護隊発見!…倒れた青年へ駆け寄る…剣崎主任?…剣崎主任じゃない!!(またこの人、髪の毛のサラサラ具合とか似すぎよね?紛らわしいわ!!)…ゆっくり回転するカメラ…澪の後ろ…木陰に座る男…ピントは合っていない…ピントは合ってないんだけど、あからさまな王子感!…「建石さん?」…振り返る…剣崎主任?…「(倒れてた人は)知り合い?」…剣崎主任!!…泣き崩れる澪…王子感半端ない元春、澪に駆け寄る…「どうした?大丈夫?」…大粒の涙をこぼす澪…その時…

津山、ゴーーーーーーーーール!!!

じゃねーーー!

大変失礼いたしました。ラスト5分で繰り広げられた、それぞれの思いが交錯しまくる三角関係ラブバトルin第58回あおい銀行マラソン大会(伝統すぎる)があまりにも熾烈だったもんで、興奮しすぎたもんで、僕の心の声、余すことなくすべて、お届けさせていただきました。

なんなら、本日オンエアだってのに、今日締め切りだってのに、ラスト5分、15回ほど繰り返し見返してしまい、関ジャニ∞さんの新曲「キミトミタイセカイ」をリピートし、歌詞まで熟読してしまい、現在オンエア8時間前…原稿は、まだ…序盤です。

とまぁ、そんなこたぁどうだっていいわけですが、元春と澪があまりにも劇的ドラマチックを展開してるってのに、イケメン地獄津山は、何事もなく、爽やかに、ゴールテープ切っちゃったもんだから、「じゃねーーー!」ってあの瞬間、視聴者全員叫びましたよね?だもんだから、ゴール直後のイケメン地獄津山、こっち振り返ったもんね?「え?なに?」って。うん、それは、冗談なんだけど、そんな爽やかフィニッシュを決めたその裏で、元春と澪に劇的ドラマチックが起こっていること…気付いてんの?気付いてんのか!?な顔してる津山のBGMが、“すれ違う表情の向こう~♪”だったの、完璧すぎたよね。

あそこにちょうどその歌詞が来るように、尺調整したに違いないよね?あの“爽やかフィニッシュ”が起点の編集っすよね?そうっすよね?(誰に)

っというわけで、前回まであんなに沙也佳(瀧本美織)にお熱だった僕も、今回ばかりは津山に同情しまくりでしたよ。あの前回チラッとだけ登場し、あまりのイケメンっぷりに僕を少しイラっとさせた、“津山のイケメンオシャレ部屋”は、次回、元春が家を追い出された際に用いるため“だけ”のチラ見せだった…前回のあのシーン、実は今回のために“だけ”に、とってつけたものだったんだ…そのせいで津山は後輩にラブメールを誤送信しちゃうっていうおっちょこちょいが足されたんだ…どこまでも元春に振り回される津山!!…なーんて、作劇の部分にまで思いをめぐらせて同情しちゃったりなんかして、そのため“だけ”に、用意された“イケメンオシャレ部屋”に、僕は、イラっとしてたんだ…ああ、津山が忍びねぇ!!ってもう、考えすぎ、自分。

うん、だけど、やっぱ、津山は、心もフェイスもイケメンだし、加えて銀行マンっていう、何から何まで自分には太刀打ちできるとこ、一切何もない…だけど、そこは、同性として?ちょっと?悔しさもあり?(悔しさしかない)、年上だってのもあり?(何歳かは知らんけど)、ドラマの中の津山を?一生懸命に見てきた者として?アドバイス…ちょっと…、しとくとな!!(急に)津山はさ、自分がイケメンだってこと、もっと自覚したほうがいいと思うぜ?津山って、客観的に見て、どうしたって、どう切り取ったってイケメン…つまりイケメン地獄なわけだけど、そんな自分のイケメン具合に無自覚なんだよね。イケメンはイケメンなんだけど、そんなイケメンの中でも辿り着く者は少ないとされる(?)、やっかいでもあるとされる、自らのイケメン具合をひけらかさないからこそのイケメンっていう、沼にはまっちゃってるんだよ…つまり、それはイケメン地獄沼にはまっちゃってるってことなんだよッ!!!(もうイケメン言いたいだけ)。

だってその証拠にさ、第5話、元春と澪の回想…澪「私と先生はどういう関係なの?」からの元春抱き寄せキッス!と対比するように、“沙也佳お嬢様in庶民キャンプ”での車内密室で、津山が澪にギリギリ顔近づけてんのに…結局しないんかーーーい!そして、今回第8話の冒頭、沙也佳に対して、スケボー乗ってんのに花屋っていうハイブリッド王子(小関裕太)が、「(遠くへ連れてってとか)それどういう意味で言ってんの?」からの脈絡すっ飛ばしキッス!(未遂)もういっちょ、あおい銀行内でのポップン恋愛劇、ゆとりで草食を絵にかいたようだった篠原くん(末澤誠也)が、素直になれない樋口さん(安藤ニコ)に対し「今から3秒後にキスをする!嫌ならよけて…1・2・3 」というギャップ萌え!強引キッス!!(こちらも未遂)、そして一方、今回も津山はってーと、澪を家の前まで送って「まだ帰したくないけど…」っていうイケメンまではいいけど、“頭”引き寄せておいて…おでこに、キッス!っておいーーーーー!!どこまでどうしてそんなにイケメンやねん!!家の前だから濃厚キッスは避けたかったのかなんなのか知らんけど、おでこにキッスって、もうぅ!!じれったすぎるわ!!そういうとこだぞ!津山!!元春は当然、もちろんのこと、ぽっと出のハイブリッド王子も、突然頭角を現したギャップ萌え篠原くんも、少なくとも津山よりはイケメンを自覚してるぜ?だからこそ、もう真っ先に、イケメンだっつってんだろ!しゃらくせぇ!!ってな具合に、脈略なく、強引に唇奪うんだよ?津山はさー、なんかその辺の押しの部分?イケメン地獄沼に引き戻されちゃってるよね?だから、イケメン地獄のその先へ、まだ到達できてないよね?そうすれば幸せになれるってのにさー(意味不明)。

うんだけど、そら今回はね、澪はね、“頭”引き寄せておいて…の“頭”の部分。元春と津山の“頭ポンポン”を比較して、津山が頭ポンってして、プラトニックイケメンを演出しようが何しようが、澪にはまっっったく響いてない、1ミクロンも響いてないの、こっちは嫌と言うほどわかるんだけどさ、そういうドラマチック運命!!な部分、こっちも身震いしながら感じちゃってはいたけどさ、だけどさ、そういう運命だってなんだって、強引に情熱的に唇を奪うことでさ、拭い去ること、できたんだぜ!!??津山!?聞いてるか!!??(僕、何言ってんの)

っというわけで、津山ばかりに字数を費やしてしまいました。なので最後に“今週の沙也佳物語”。さっき、ちょっと、流しちゃったけど、ほんとはその時、猛烈に、ツッコミたかったんだけど、ハイブリッド王子の脈略すっ飛ばしキッス!を張り倒す沙也佳、最高だったね。それでこそ沙也佳!決して、王子の甘くて強引な誘いには乗らない、その場の空気には流されない、鉄壁ガードの沙也佳!ネットには弱いけど(第7話「検索履歴は残しちゃうの巻」)、捜査能力には長けていて(第6話「ドライブレコーダー確認するの巻」)、荷物はバイク便で会社に送りつける(←new!)!それでこそ俺の沙也佳!!!だけど…。そんなハイブリッド王子…、あいつ(あいつとか言うよ?)、やりおるな、やりおる=プレイボーイってだけじゃない、“何か”を持ってる…想像以上にやりおるよな!!

「沙也佳さんの中に、違う自分がいるんじゃない?」「見たいな…本当の沙也佳さん」…本当の…沙也佳?…本当の沙也佳って…何?…毎回、こうして沙也佳関連を茶化してばかりで、自分が誰よりも沙也佳を気にかけてる…、知っているかのようだった自分…本当の沙也佳、僕は知っていたんだろうか…沙也佳の心の奥底にある、本当の沙也佳って…一体なんだろう…自分は本当に、本当の沙也佳を見ていたんだろうか…って、ハイブリッド王子の何気ない一言に、ちょっとその思考に、吸い寄せられちゃったよね…。いや、待てよ、だけど、危ねぇ、危ねぇ!そんなんじゃ騙されねぇぞ!!密室の車内で脈略すっ飛ばしキッスとかしちゃうような男、俺は信用しない!!やっぱ、信用できるのはイケメン地獄津山だけ!!(一体どっちやねん)

text by 大石 庸平 (テレビ視聴しつ 室長)