映画「ブレイブ ‐群青戦記‐」が3月12日(金)より公開となる。

本作はスポーツの名門校で活躍していた高校生たちが、学校ごと戦国時代にタイムスリップし、歴史上の武将たち争う世の中で、生き残るための戦いに挑むアクションエンターテインメントだ。

新田真剣佑が演じる主人公の弓道部員・西野蒼は、自分に自信が持てず、漫然とした日々を過ごしていたが、タイムスリップをしたことで状況が一変。歴史オタクだったことからその知識を求められ、いつしか生徒たちの中心に立つように。そして、徳川家康(三浦春馬)との出会いにより、よりたくましい人間へと成長を遂げていく。

新田はアクション作品の本作において、何よりも蒼の成長を表現することに重きをおいていたという。また、そんな中でのかけがえのない出会いもあり、今は本作の伝えるメッセージと重なるように「恐れずに突っ走っていきたい」と思いを語る。新田がこの作品から感じたものとは―。

いろんなメッセージが込められた深い作品

――本作は漫画「群青戦記 グンジョーセンキ」の実写化作品ではありますが、いい意味で、原作と映画にそれぞれ違った魅力があると感じました。

そうですね。今回は原作と映画はまた別ものなので、僕もそこは違うものだと思ってやっていました。原作も映画もそれぞれに良いところがあり、魅力があるので、お客さんにんはどちらも楽しんでほしいですね。

――新田さんが思う映画の魅力は?

本当にこの2時間の中にいろんなメッセージが込められていて、深い作品になったのかな、と思います。僕が演じた蒼という役は、親友や大切な人たちの思いを受け継いで未来へ託す存在なのですが、そこから命の尊さであったり、一つのことに向かって突っ走っていく勇気や向上心であったり、熱意というものを感じました。

――蒼はなかなか前へ進む一歩を踏み出せない性格ですが、そんな蒼を演じながらどのように感じていましたか?

撮影のときは、その瞬間の蒼の感情を信じて演じているだけなので、他のことは考えていなかったです。やっぱり演じているときは、客観的には見られないんです。それはすごく難しいことです。演じているそのときにしかわからない感情なのかもしれないです。

――蒼が友だちだとしたらどうしますか?

一応、相談には乗ろうとはしますけど、できれば乗りたくはないですよね。「砦を攻めなきゃいけないんだけど、どうしたらいい?」なんて(笑)。僕も「どうしたらいいんだろうね?」って一緒に悩んでしまいます。

――蒼は物語の中で大きく成長していきますが、その部分はどのように演じていましたか?

最初と最後では違う人物かと思うくらい変化するので、最終的なゴールを見据えて組み立てていきました。あとはその時々によって、監督と話し合うこともありました。このお話自体が人間の成長物語でもあるので、そこは本当に大切にして演じていました。

――アクションシーンも見どころの一つだと思いますが、そこについてはどう向き合っていましたか?

日本語でなんて言うんだろうな…この作品においてのPrimary(最も重要なこと)はあくまで人間の中身の方だと思っていたから、まずはそこをしっかりと作っていきたいと思っていて。その上で、アクションやその他のものを完璧にしたいと思っていました。

現場に入る前からモチベーションはマックス

――撮影は真冬に行われていて、環境的には大変なことも多かったものの、現場の雰囲気はとても良かったと聞きました。

とにかく笑いが絶えなかったです。本当にみんなが口をそろえて、また撮影したい、戻りたいと言っているくらいで。そういう現場になれて良かったな、と思っています。

みんなのこの作品にかけるモチベーションがとにかく高かったです。特に僕はもともと知り合いも多かったですし、初主演でもあったので、現場に入る前からモチベーションはマックスでした(笑)。

あとはケータリングで毎日温かいご飯を食べられたことは、意外と積み重ねのことなので、大きかったな、と思います。撮影もほぼ陽が明るいうちに終えられていたので、みんな機嫌も良くて、めちゃくちゃ楽しかったです。

――新田さんからキャスト・スタッフ全員に、お揃いのパーカーをプレゼントしたそうですね。

そういうのがあるといいじゃないですか。少しでもみんなのテンションが上がったらいいな、と思ってやりました。黒地に金で“ブレイブ”って入っていて、デザインも自分で考えました。

――同世代のキャストから受ける刺激はありましたか?

若いエネルギーですかね。10代の方もいたので、朝が早くてもみんな元気で(笑)。

――新田さんもそんなに年齢は変わらないじゃないですか。

そうです。だからホントは僕も同じくらい元気でした(笑)。

――一緒にいると相乗効果のようなものもあるのですかね。

確かにそれはあると思います。というか、僕たち以上にスタッフさんが元気だったんです。本当にみなさんが楽しんで撮影をしてくださってました。これって簡単そうに思えて、難しいことなので、それは、本広監督の現場の作り方が素晴らしいのだと思います。

徳川家康(三浦春馬)とのシーンは、いいシーンだったと思います

――本作はアクションエンターテインメントと言えると思うのですが、その中でもグッとくる瞬間が何度もあって。例えば、生徒たちが集まって涙を流しながらおにぎりを食べているシーンとか。

それをみんなが聞いたら喜ぶな。あそこはみんなすごく気合が入ってましたから。僕は先に帰って焼肉かなんかを食べていましたけど(笑)。

――新田さんが自身のシーンでグッときたところは?

今回はある決意をする(徳川家康/演・三浦春馬との)シーン だったと思います。

――この物語において肝となる場面だったと思うのですが、事前に何か準備はしましたか?

何も準備をしていきませんでした。その場で感じたリアクションをしたいと思っていたので、逆に何かを準備していくと嘘になってしまうとも思って。あれがリハーサル無しの、本番の芝居です。

――リハーサルなしでも挑めたのは、あのシーンに至るまでに新田さんの中に蒼という人が息づいていたからでしょうか。

それはあったかもしれないです。うん、大きかったかもしれないです。まだ役をつかめていないときだったら、不安で芝居に集中できなかったと思います。

――準備をしなかったからこそ、想定外に引き出されたものなどはありましたか?

僕が想定していた以上に良いシーンになりました。自分が出ている作品を見て、いいシーンだったな、とかってあんまり思わないんですけど…客観的には見れないものの、今回はいいシーンだったな、と思えました。

――蒼を演じる上で、過去の経験が役立つことはありましたか?

たぶんこの作品に入る前にやった一つひとつの作品の積み重ねで、蒼という役はできたんだと思います。それは今回に限らず、次の作品は「ブレイブ」をやったからこそできるのだと思うし、その次の作品は、次の作品をやったからこそというふうに、毎回、そのときの役から何かを得ていると思うし、得られるようにしています。

演じているそのときにはわからなかったりもするんですけど、振り返るとあのときのあの感覚が役立っているな、と思うことがたくさんあります。「ブレイブ」に関してはまだ(撮影が終わって)1年くらいしか経っていないので、何がそうなっていくのかわからないですけど、また主演作をやらせていただくときには、きっと思い返すと思います。

これから続く長い役者人生で見れば、まだ学生みたいなもの。僕も恐れずに突っ走っていきたい

――この物語では、自分にとっての大切な人の存在が、頑張るためのモチベーションとなっていますが、今、新田さんにとって、俳優をやる上でのモチベーションは何ですか?

良い作品ですね。それしかないです。作品が良ければどんなに過酷なことでも乗り越えられます。

――新田さんにとっての良い作品とは?

見ていて面白いと思える作品です。ただ面白いという感覚は人それぞれなんですけど…意味のある内容というか、ちゃんと作られているというか、なんて言えばいいんだろう。僕なりのこれがいいというのがあるんですけど、それを具体的に言葉にするのが難しくて…次はちゃんと言えるように勉強したいと思います(笑)。

まだ日本では人気者がたくさん出ていれば、たくさんの人に見てもらえるような傾向があるので、はっきりと面白いと感じていなくても、それについていっている自分もいるとは思います。ただそれをやりすぎてしまうと、自分自身がつまらなくなってしまうので、やっぱり中身のある、面白い作品に出会えたらいいな、と思っていて。この先、どんな作品と出会えるのかものすごく楽しみです。

――“ブレイブ”とは、「勇敢な」「勇ましい」「勇者」などを意味する言葉ですが、新田さんから見て、この人は“勇敢だな”と思う人はどんなことができる人ですか?

失敗を恐れずに挑戦できる人は勇敢だな、と思います。今自分が置かれている状況に甘えず、何事にも挑戦できる人。なかなかそういう人はいないと思うので、僕もそんな人になれたらいいなと思います。

――そのために心がけていることは?

あとに続く人を増やすとか、考え方を変えさせる新しいことをしていくとかが大事だと思います。そうしないと未来のためにならないので。

――ただ新しいことを試すには、正解がないので恐れを感じることもありますよね。

そうですね。でも僕は新しいことをできる楽しみの方が大きいと思います。

――新田さん自身はもう高校生ではないわけですが、この映画に出てくる高校生たちをどんな気持ちで見ていましたか?

若いからこそ何事も恐れずに突っ走っていけるというのは、僕はもう実際には高校生ではないですけど、自分と通じるところがありました。僕なんか、これから続く長い役者人生で見れば、まだ学生みたいなものなので。年齢とか関係なく、僕も恐れずに突っ走っていきたいです。

――では、どんなふうに見てくださる方に届いたらいいな、と思っていますか?

僕はこの映画を〇〇の大切さをたくさん込めた作品だと思っていて。仲間の大切さだったり、命の大切さだったり。だからこそいろんな人が共感できると思うし、それでいてすごく勇気づけられるし、スカッと元気になる作品だとも思っています。

とにかくまずは何も考えずに楽しんでもらいたいです。それでそのあとに友だち2人に見に行ってもらって、その友だちがまた別の2人に見に行ってもらえるようにする。それを27回くらい繰り返すと日本中の皆さんが見られるらしいので(笑)。こういうご時世だからこそ、この作品を見て、元気をもらってほしいです。

撮影:山口真由子 ヘアメイク:カスヤ ユウスケ(ADDICT CASE) スタイリスト:櫻井賢之(casico)

<「ブレイブ ‐群青戦記‐」ストーリー>

退屈な授業と、常勝を義務付けられた部活。“その日”は、彼らにとっていつもと同じ学校生活だった。

自分に自信が持てない弓道部の西野蒼(新田真剣佑)は、部活にも力が入らないでいて、幼なじみの瀬野遥(山崎紘菜)と松本考太(鈴木伸之)も、そんな蒼のことを気にかけていた。

いつもと変わらない日々の中だったが、一本の雷が校庭に落ちて、彼らの日常が一変する。

学校の外の見慣れた風景は見渡す限りの野原となり、校内には刀を持った野武士が襲来して、全校生徒はパニックに!

次々と生徒が倒れていく中、歴史オタクの蒼は学校がまるごと戦国時代、かの有名な「桶狭間の戦い」の直前まで、タイムスリップしてしまったことに気付く。

織田信長(松山ケンイチ)の軍勢に仲間たちを連れ去られ、為す術なく呆然とする蒼たちだったが、後に天下人になる、武将の徳川家康(三浦春馬)と運命的な出会いを果たす。

戦国時代を駆け抜ける家康に導かれ、蒼は各部活のエースたちと一緒に、仲間たちを救出するため立ち上がることを決意する。

映画「ブレイブ ‐群青戦記‐」は2021年3月12日(金)全国東宝系にてロードショー。

©2021「ブレイブ ‐群青戦記‐」製作委員会
©笠原真樹/集英社

最新情報は、「ブレイブ ‐群青戦記‐」公式サイトまで。