緊急事態宣言が解除されたとはいえ、いまだ自宅で過ごす時間は長い。そんな“おうち時間”を「少しでも心潤う時間にできないか」というフジテレビアナウンサーらの発案で、昨年5月に始動した、おうち応援プロジェクト「デジタル紙芝居」。

これまで、ベテランから若手まで、総勢28人のアナウンサーが朗読に参加。名作童話の数々を、絵と音声で仕上げてYouTube にて紹介してきたが、本日4月5日(月)、7作目となる最新作「シンデレラ」の配信がスタート。4つの物語の中から、Twitterの人気投票により選ばれた作品を、朗読初挑戦となる内田嶺衣奈アナウンサー&井上清華アナウンサーを中心に、総勢10名のアナウンサーが心を込めて読み上げた。

フジテレビュー!!では、2日間に渡って行われた収録現場を取材。和気あいあいとしながらも、セリフへの感情の乗せ方、細かな抑揚のつけ方など、“言葉で伝えるプロ”ならではのこだわりが随所に見られた。

収録初日に密着した様子はこちら

「魔法のキラキラに変化を」先輩のハイレベルな要望に…

2日目となるこの日は、大川立樹アナ(王子様)、佐久間みなみアナ(シンデレラ)、梅津弥英子アナ(魔法使いの乳母)、小澤陽子アナ(姉B)、内田アナ(ナレーター)の収録が行われた。

今作でプロジェクトリーダーと物語の前半部分のナレーターを務める内田アナは、自分の番になると録音用のスマホを持ってブースへ。ナレーター役は前半と後半パートに分けられており、井上アナと分担する内田アナは、前半部分を担当する。

物語の前半は、虐げられながらも健気に働くシンデレラが、魔法によって王子様のいる舞踏会へ向かうシーンがメイン。魔法を目の当たりにしたシンデレラのキラキラとした気持ちの高ぶりをナレーションでも表現していく。

登場人物のセリフとセリフを繋ぐ「~と言いました」などの言葉も、淀みないトーンで読み上げていくと、佐々木恭子アナ、梅津アナ、そして“見届け人”として参加している奥寺健アナから、「落ち着いていていいよ、ちゃんと練習してきたね」と声があがった。

途中で「おなかが鳴った音が入ったかも…」と録音を止めて聞き直し、
「大丈夫でした!」と笑顔でほっとする一幕も

魔法でカボチャの馬車が登場するシーンのナレーションでは、佐々木アナから「魔法のキラキラ度合いにも変化がほしい」と、読み方に微妙な変化をつけるようにと、難しい指示が飛んだ。

内田アナは、同じセリフをニュアンスを変えては録音し、聴き返すという作業を納得がいくまで繰り返す。すると10テイク近く録ったところで梅津アナから「さっきよりずっとキラキラしてた!魔法の余韻が伝わってきた」と拍手が送られ、小澤アナからは「魂が乗ってた!うるっときちゃった」と称賛の声があがった。

「トーンを一気に変える練習を」(内田嶺衣奈アナ)

「次は、思いっきり楽しい役や普段言わないセリフを言う役をやってみたい」と語る内田嶺衣奈アナ

――SNSでの一般投票で「シンデレラ」に決定しましたが、感想は?

もともとすごく好きな物語でした。夢があって芯のある女性が出てきて、登場人物が魅力的でキラキラしていて。このワクワク感やキラキラした感じをそのまま物語として出せたらいいなと思って臨みました。

――オンラインの読み合わせ、収録もスマホのアプリを使用するということで手作り感があふれていますね?

アプリで録音したとは思えないほどしっかり録れていて驚きました。読み合わせの練習もオンラインでしかできなかったので、そんな中でもこれだけ世界観が共有できたというのは大きな収穫でした。

――今回のプロジェクトのリーダーを務めた感想は?

まったくリーダーキャラではないのですが(笑)。皆さんに助けてもらいながら「とにかく楽しんでください」ということだけを一生懸命伝え続けました。メンバーには全幅の信頼があったので、それを見守るだけでした(笑)。

――ナレーター役で心がけたことは?

ナレーターは地の文を読み続けるところが多く、明るいところと抑えるところのメリハリをつけて飽きられないようにと思っていたのと、場面転換のところでトーンを一気に変えるということをかなり練習しました。オンライン練習時にもアドバイスをいただいたので助かりました。

――どんなアドバイスを?

佐々木アナと梅津アナは、「ここのトーンを高いところから入るともっと良くなるよ」など、的確なアドバイスをしてくださいました。実践してみると、自分でも分かるくらい、そのテイクと前のテイクを聞き比べてほしいくらい変わりました。

――今回発見したメンバーの新たな一面はありましたか?

たくさんありました!三田(友梨佳)アナの「姉A」の意地悪さが絶妙だったり、井上(清華)アナのナレーションが本当に子どもに読み聞かせをしているように温かくて優しかったり。あとは佐野(瑞樹)アナの王様がお妃さまにささやくところがとても甘くて素敵でした。

――この作品をどんな人に見てもらいたいですか?

多くの方に見てもらいたいのですが、私の周りには子育てをしている友人も多いので、おうちで子どもと一緒に見てもらえたらいいなと思います。

「ちょっとのニュアンスで変わる」収録現場に密着!

リーダーの内田嶺衣奈アナと、サポートを担当する佐々木恭子アナ

続いては、王子役の大川アナの収録。やや緊張しながらも「一緒にダンスをしましょう」と、シンデレラをダンスに誘うセリフを繰り返し練習してから録音ブースへ。

大川アナは「シンデレラと2人きりだと思って読んでいます」と演技に熱が入っている様子だったが、佐々木アナからは「もっと甘く!2人の距離を縮めて言ってみて」とオーダーが入った。

すると…最高に甘い「一緒にダンスをしましょう」が繰り出され、その王子様ぶりに「ちょっとトキメキますね♡」と、女性陣がキュンとしていた。

王子様になり切る大川立樹アナ

その後も、シンデレラ役の佐久間アナ、魔法使いの乳母役の梅津アナ、意地悪だけどどこか憎めない姉役の小澤アナと、収録は順調に進んでいく。

佐久間アナ演じるシンデレラが、魔法使いの乳母からパーティへ誘われたときに戸惑いながらも発する「はい」というひと言だけでも、「戸惑いよりも喜びのほうが勝っている感じで」「“い”の部分をもう少し強い感じで」など、先輩たちから細かい指示が。

シンデレラが涙を流すシーンでは、「言葉に感情が乗ってるのよね、泣いちゃう~!」(佐々木アナ)、「ちょっとのニュアンスで変わるからすごいね」(梅津アナ)、「涙腺刺激される」(内田アナ)と、そろって興奮状態に。

収録したテイクを聞いて選ぶ作業を繰り返す
左から)内田嶺衣奈アナ、梅津弥英子アナ、佐々木恭子アナ、奥寺健アナ、佐久間みなみアナ

そして、納得のいくテイクが収録できると、録音したものを聴き直してOKテイクを決定していく。その地道な作業を繰り返して「シンデレラ」の物語に命を吹き込んでいった。

参加したアナウンサーたちの感想は…?

大川立樹アナ(王子様役)

「これまで地蔵Bなど脇役しかやったことがなかった」と初の王子役に意気込む大川立樹アナ

役になりきるというのは普段の生活ではなかなかできないことなので、とても楽しかったです。イメージがしやすかったので、自分の思っている王子像になれたのではないかと思っています。今後は悪役をやってみたいですね、犯人役とか(笑)。

■佐久間みなみアナ(シンデレラ役)

「素敵なシンデレラ!」と絶賛された佐久間みなみアナ

とっても楽しかったです!キャラクターを演じるときは、その人が何を考えて、どういう状況にいるのかをしっかり理解して演じないと、声に感情が乗ってこないんだなと痛感しました。今後は、普段言えないことを言う役、いろいろな感情を表現する役をやってみたいなと思います。

■梅津弥英子アナ(魔法使いの乳母役)

「オーダーに応えていくのが楽しい!」と笑顔の梅津弥英子アナ

もともと、このプロジェクトを事務局としてお手伝いしていましたが、今回初めて読み手として参加しました。やっぱり読み手は楽しいですね!内田リーダーが演出をしてくれて頼もしくもあり、うれしくもありました。今後は、物語を支えられるような安定感のある語りをやってみたいですね。

■小澤陽子アナ(姉B役)

「意地悪な役を演じられて楽しかったです」と笑顔の小澤陽子アナ

普段こういう“演じること”をしないので、楽しかったです。姉Bは、意地悪なんだけど無邪気さを出したくて、そのバランスを意識しましたが、難しかったです。自宅で大げさに練習してから挑んだらちょうどよかったみたいで、褒めてもらえてうれしかったです(笑)。


フジテレビおうち応援プロジェクト「デジタル紙芝居」では、これまでのアーカイブも公開中!詳しくは公式サイトにて!