3月30日(火) 25時35分より、フジテレビでは『村上信五∞情熱の鼓動』(関東ローカル)が放送される。

今回は、番組初の2時間スペシャル。第一部は、昨年12月13日に行われた、阿部一二三と丸山城志郎によるワンマッチ決戦「東京オリンピック柔道66kg級日本代表決定戦」を徹底回顧。

「24分間の真実」を、両選手、関係者の証言からひもとく

日本柔道界史上初となったこのワンマッチは、異例となる24分の激闘の末、阿部が代表権を勝ち取った。番組では初めて、阿部・丸山両選手からこの決戦に対するロングインタビューを撮ることに成功。誰も知り得ることのできない「24分間の真実」を、両選手、関係者の証言からひもとく。

柔道66kg級の東京オリンピック代表権を争ってきた2人は、ともに世界選手権の優勝経験があり、阿部は2017年、18年王者、丸山は2019年大会を制し、世界の中でも1、2位を争う実力者同士。2016年のリオオリンピック以降の戦績は、丸山の3勝2敗と代表争いの状況は互角の中、日本柔道界史上初となるワンマッチ決戦が行われることとなった。

番組は、決定戦が行われた舞台、柔道の聖地「講道館」を村上信五、宮司愛海アナが訪れる場面から始まる。静寂に包まれた畳の上で、村上は「試合前には(恐れ多くて)畳の上にあがることができなかったと思う。(当時は)画面を通じて見ながらも、講道館の中にいるような緊張感があった」と語る。

宮司アナが「どちらが勝っても負けても、見ている側にとっても複雑な感情でしたね」と話を向けると、「複雑以上の表現が出てこない。24分続くと思っていなかったし、終わりが来ないのではとも思った」と村上が答えるほど、白熱した試合。村上は、緊張した面持ちで阿部、丸山それぞれのインタビューに臨んだ。

丸山は決戦に際して、「お風呂に入っている時、ご飯食べている時、寝る前にYouTubeを見ている時とか、ずっと阿部選手が頭のどこかにいる感じでした。何回も試合のシミュレーションをした」という。

数々の対策を経て決戦へ。しかし、勝負は自分の思いとは逆に決することとなる。丸山は勝負を決したポイントは、2回目のインターバルの間に瞬間的に出た「ある気持ち」だと分析した。また、インタビューで丸山が繰り返していた言葉は「これまでにたくさんの人に支えられてここまで来た」ということ。時には柔道をやめようと思ったこともあったが、そんな中、支えてくれたのは妻だったという。

そして試合直前まで一緒にいた同じ大学の先輩であり、リオオリンピック73㎏級・金メダリストの大野将平。彼らが節目で丸山にかけた言葉とは。そしてその言葉が彼自身にもたらしたこととは――。

オリンピックの舞台で「美しい柔道を体現する」のが目標だと語っていた丸山。見つめる先は、すでに2024年のパリオリンピック。4月4日(日)に行われる全日本選抜柔道体重別選手権で、再スタートをきる。

初めてインタビューをした村上も「男として聞けたらうれしい出来事が山のようにあった。柔道家丸山選手を見せていただきましたが、人間・丸山城志郎の温かさに触れさせていただいた」と振り返る。

一方の阿部も、決戦までの間、自分を磨いていたという。柔道の技の幅を広げ、スケールアップを図っていた。阿部も丸山と同じで、「ワンマッチが初めてだし、対戦相手が決まっている状態。大一番なので、考えてしまいますね」と相手のことを考えていたという。

何度も対戦した相手だったが、「会場自体が広く感じた。静かだなって。確実に緊張していたと思います」と語り、大一番に感覚もいつもと違ったようだ。しかし、いざ始まると「身体の調子もすごく良かったですし、しっかり相手の技も見えているなという感覚。コンディションはすごく良いなと思っていました」と語る。

阿部・丸山ともに「指導(反則勝ち)では決まらないと思っていた」というように、見ている人にはどこまで続くのかわからない延長戦に突入。その途中、阿部は不思議な感覚を覚えたという。2回目のインターバルで「もうすぐ試合が決まりそうだなというふうに感じて、前に出続けるしかないと思いました」と本能的に勝利を感じていたという。

その後、勝負が決した場面は、見ている人の想像を超える、2人の柔道家の技と駆け引きがあった。番組では、2人の証言を基に詳しく解説する。

北京冬季オリンピックを目指す、髙木美帆、鍵山優真を直撃

第二部では、2022年の北京冬季オリンピックに挑む、2人のアスリートを直撃。村上がウィンタースポーツの選手をインタビューするのは、この番組では初めてとなる。

1人目は、2018年の平昌オリンピックで金・銀・銅メダルを獲得した、名実ともに日本スピードスケート界のエース、髙木美帆。北京オリンピックでもメダル獲得が有力視される彼女が、ここまでどのような進化を遂げてきたのかを、競技人生のグラフを使って村上が徹底取材。そこから見えてきたのは、劇的な成長を促したある人物の存在や、村上が「超感覚」と例えた、レース時の身体の使い方にあった。

そして、村上が北京オリンピックについて尋ねると、「自分にとっては、(平昌とは)全然違う大会になるだろうなとは思います。どう表現するかっていうのが自分の中ではまだ見つかっていない状態です」。その上で「たぶんもう一つ、こう皮が剥(む)けるというか、一皮剥けたいなって思っています」とコメント。

村上は「求道者ですやん。言うてること。ここから一皮剥けてってもう。でも、それを感覚で感じてらっしゃるってことですから、もう我々にもほんとに見えてない世界ですよ、そんなのは」と、感心しきり。

最後には、髙木が「インタビューで、こんなに笑ったのは初めてかもしれない」と語るほど、リラックスした表情を見せる。

そしてもう1人は、フィギュアスケートの次世代エース、17歳の鍵山優真。今シーズン、シニアデビューすると、11月の「NHK杯」で初優勝を飾り、12月の「全日本選手権」では羽生結弦、宇野昌磨に続く3位入賞。3月の「世界選手権」初出場を果たした。

鍵山の最大の武器は、羽生結弦も「あれだけ勢いを使ってジャンプを飛べるのは本当にすごいこと」と絶賛する4回転ジャンプ。

2度のオリンピックに出場した父・鍵山正和さんの指導の下、15歳ですでにトリプルアクセルを成功させていた鍵山。急激な成長を遂げる17歳は、北京オリンピック出場も夢ではなくなってきた。

鍵山は、「前は夢で、『オリンピックに出たいなー』とか思っていただけなんですけど、今はちゃんと自分の目指すべきものとしてそこにオリンピックがある」と語る。