毎回さまざまなジャンルで活躍するゲストが集い、多彩な話題や事象を取り上げていくフジテレビのトーク番組『ボクらの時代』。
5月9日(日)は、さだまさし、松本人志、泉谷しげるが登場する後編を放送。
今のテレビに思うことや、SNSやYouTubeの台頭、これから目指すもの、理想の引き際などを熱く語り合った。
「これからのテレビは、面白いことをやることに力を入れていく」(松本)
「昔は、テレビが世の中を変えた時代があった」が、昨今はインターネットやSNSがその役割を担うようになってきたと時代の流れを語り合う中で、「これからのテレビがどうなっていくか」という話題に。
さだ:松本さん、「お金かけないで、テレビで何か番組やって」と言われたらどうします?
松本:やっぱり、ずっとしゃべってるか…あとは、大喜利みたいなことですかね。
さだ:大喜利ね。『笑点』だって、延々と。
松本:延々とですもんね。
さだ:あれは、いいマンネリだよね。
松本:そうですよ。お金かからないですし。
さだ:やっぱり、いいマンネリってのは大事なんだな。
「テレビが好きなんですよ」というさだは、「じっと見られる番組がない。どこも同じようなことをやっている」と嘆く。
泉谷:でも、テレビは昔から面白い部分もあったけど、だいたいが「くだらねぇ」とか「つまんねぇ」とか言われていたわけで。今さら言われてもな、って。ね?
松本:(笑)。そうですね。そういうものなんですけどね。
さだ:これから、テレビはどうなっていきますか、松本さん。
松本:ずっと世帯視聴率を重視でやってきたこのテレビが、最近、少し指標が変わって。個人視聴率とか、コア視聴率を重視するようになってきたので。まぁ、少しは変わるかなと思いますね。
さだ:どんなふうに?
松本:一時、おじいちゃんからお子さんまでみんなで楽しめる番組を世帯視聴率というものでみんな戦ってきたんですけど、それをやると若い人たちは「刺激がないのでテレビが面白くない」と離れて行ってしまった。それを呼び戻したいと、たぶんテレビは頑張ってるんだと思います。たぶん、面白いことをやることに、もうちょっと力を入れて行くんじゃないですかね。
泉谷:なるほど。じいちゃんからばあちゃんまで、みんなが楽しめるって、そんな変な理想やめたらどうだ?って。
松本:それが間違っていたんでしょうね。確実に。
泉谷:間違ってるよ。やめた方がいいよ、そんなものは。
さだ:時代が違ったんだと思う。家族そろってテレビを見る時代は、それでよかったんだと思う。
泉谷:よかったけど、家族そろってどうだ、ってやってたときに、平気で次の番組で女の子が脱いだりしてた時代なんで。やっぱり下品なところで視聴率稼いできてるわけじゃない。
松本:うーん。
さだ:そうか。
泉谷:だから、いいんですよ。何も全部きれいにする必要はなくて。
さだは「それは、その通りですね」と同意し「録画視聴率を重要視してほしい」と続けると、松本も「それは本当にそう」とうなずいた。
また、松本が「マスコミがテレビとYouTubeを対立構造にしたがる」とぼやくと、「関係ない」(さだ)、「意味ないよね」(泉谷)と笑い飛ばした。
親子関係が上手くいかないのは…
さだが、スマートフォンやタブレット端末の普及で「親子の会話が減っているのではないか」と問題提起すると、泉谷は親子関係について「おそらく、親と子がうまくいかないのは、親の古い概念の押しつけだったり、理解力のなさだと思うのよ」と、自身の孫を見てきた経験を交えて持論を展開。
泉谷:(孫が)小さいころは、元気だったの。かわいかったの。ところが中学、高校になるとボーっと黙っちゃって、何の反応もしなくなっちゃったの。親の言うことにも、じいじ(泉谷)の言うことにも。で、ご飯食べるときに「昔あんなにかわいかったのに」って親が言うわけよ。
さだ:うん。
泉谷:「最近は口もきかないで、何を考えてるんだか」って、つまんない話言い出したから、急に、俺が怒り出しちゃって。「バカか!」と。「ボーっとしてるから考えてないわけじゃない。こいつは、頭の中が嵐のように興奮してるかもしれないんだよ。自分の頭が忙しいときは人をかまっていられないじゃん」って。
さだ:いいこと言うねぇ、じいじ!
松本:ボーっとしているように見えているだけだと。
泉谷:そう見えているだけで、(孫に)「お前の頭の中は、嵐のように何かが起きているんだろ?」って聞いたら「うん」って言うわけよ。
さだ:いいこと言うよ、じいじ。それで救われるよ。
泉谷は「そういう評価を、ちゃんと与える親になっているかどうか」が大事と熱弁。これには、松本も「すばらしい」と唸った。
「個性なんてものは、みんなとの都合だよ」(泉谷)
また「個性」についての話題では…。
さだ:個性って、持って生まれたものですか?それとも作り上げたものですか?
泉谷:作り上げていくものに決まってるじゃない。
さだ:作り上げるんだね。
泉谷:人間なんて、何もないんだから。そんなものはさ、概念とか教育とか親との習慣とか、世間を見て「ああなろう」「こうなろう」ってなっていくんで。元々は何もないじゃない。
さだ:そうか。
泉谷:個性なんてものはさ、みんなとの都合だよ。
さだ:みんなとの都合!ポジションがあるわけだ。みんなで集まったときに、三塁手がいないなと思ったら、三塁を守ればいいわけだ。そのうち三塁手が身についてくるみたいな。
松本:そういうことはあるかもしれないですね。
泉谷:だからやっぱり、目指すものは何かというところで。どういう人間になるか、ですよね。
こうした発言を踏まえて泉谷は、自身の今後について「お世話になったお礼をすること。若い芽を摘むことはやめて、最初に俺を出してくれた先輩たちを目指して、場所を欲しがっている人たちに場所を与えるか、応援するか。おだてて乗せりゃ世界に行くかもしれないんだよ。やっぱり、非難と否定は世界になかなか行かなくなるよね。そういう歳なんだと実感している」と語った。
「引き際は、無様でいい」(さだ)
また、さだから「65歳になったら引退するとか?」と問われた松本。
松本:僕はもう、ずっと言ってるんです。引退を…。
さだ:何で?何で?
松本:うーん、何でしょうね。
さだ:早く辞めたいの?今。
松本:僕はでも、もう30歳過ぎあたりから「辞めたい」「辞めたい」って。
泉谷:えぇ!辞めたいの?
松本:「辞めたい」って言いながらも、今日まで来てしまいましたね。
さだ:それは、泉谷と一緒でしょ?「辞めたい」と言いながら辞めない技でしょ?
松本:(笑)。あの、僕の場合、やっぱりどっかにコンビというのがあって。
さだ:ああ、そうか。
松本:ね、勝手に辞められないというのも、何かあるんですよ。
さだ:解散しない限りね。
松本:そうですね。
松本の発言に「もったいない」と口をそろえた、さだと泉谷。さだは「70になったときの松本さんを見てみたいな。松本人志が何に興味を持って何の芸を発掘するか」と声をかけた。
松本は「さださんに、それを言われるとね。やさしーい、パワハラですけどね(笑)」と言いながら、「ありがとうございます」と応じた。
さだ:人生100年時代ですから、松本人志に刺激を受けている一般人を代表して言わせていただくと、どんなジジイになって、どんなくたばり方をするのかというのは、正々堂々と見せてあげてほしいと思いますね。
松本:こわ(笑)!
泉谷:お前、そんな励まし言っていいのかよ(苦笑)!
松本が「さださんはどうなんですか?」と聞き返すと、「僕はもう、前に倒れて死ぬまでやってますよ、今のこと」ときっぱり。「引き際は、無様でいい」と締めくくった。