5月20日(木)、「第46回菊田一夫演劇賞」表彰式が都内で開催され、大賞に風間杜夫、演劇賞に加藤和樹、海宝直人、咲妃みゆ、高畑充希、特別賞に鳳蘭が選出された。

風間は「セールスマンの死」のウィリー・ローマン役、「女の一生」の堤章介役、「白昼夢」の高橋清役の演技で受賞。

「思いもかけない大きなご褒美をいただきまして、大変恐縮しております」とやや緊張をのぞかせながらも、「舞台を観ることを楽しみに、それを糧となさってくださるお客様、足を運んでくださるお客様に僕たちはどれほど救われているかわかりません。この場をお借りして、演劇の今を支えてくださっているお客様に感謝の意を表したい。役者人生50年という節目に?咤激励のお言葉をうけたこと、演劇の生命力を信じてこれからも精進していきたい」と喜びを表した。

そして、多くの作品でタッグを組んだ恩師・つかこうへい氏が「今回の受賞を知ったら、何と言ったと思う?」という質問に「『いいんじゃないか?風間、もらっておけよ。遠慮することないぞ』とおっしゃったんじゃないですかね」と笑顔を浮かべ、「つかさんが亡くなって10年以上経ちますが、つかさんに報告したかったという気持ちがあります。体が動く限り舞台に立ち続けて、あっちに行っているつかさんに褒めてもらいたい」とコメントした。

また、4月3日に逝去していたことが明らかになった田村正和さんに対し、「『古畑任三郎』というドラマで多く接する時間がございましたが、僕もシャイで人見知りなので、打ち解けてお話することができなかったのですが、本番が終わるとモニターの前にどっかりとイスを置いて、ご自分のお芝居に真摯に向き合っている姿を覚えております」と思い出を回顧。

続けて、「生涯をスターとして過ごされた先輩。あの方のようにはなれませんが、私も役者として最後には褒められる一生を送りたい。お亡くなりになったことは残念に思いますが、俳優としての生き方は素晴らしかったと、うらやましく思っている」と故人を偲んだ。

特別賞の鳳は「屋根の上のヴァイオリン弾き」をはじめとする、演劇界への功績に対しての受賞。「私は舞台に立っている時が幸せ。お客様の喜びと感動が私の喜びと感動で、あっという間にここまできました」とコメント。

そして、「菊田先生とは宝塚の初舞台の頃に演出にいらして、群衆の中にいる私を見た時、演出助手の先生に『あの子が将来、宝塚を背負って立つよ』とおっしゃったそうです。思えば私の人生はいつも、菊田先生に見守られてきた気がします。いつの日か先生のいらっしゃる世界へ旅立った時、先生をお探ししてお礼を申し上げたい」と涙声で感謝した。

加藤は「ローマの休日」のジョー・ブラッドレー役、「BARNUM/バーナム」のフィニアス・テイラー・バーナム役の演技が認められての受賞。「受賞の知らせを聞いた時、実感がわかなかったんですけど、今日この場に立つことで素晴らしい賞を受賞したのだと実感がわいてきました」とコメント。

「『やればできる』という言葉が大好きで、座右の銘にしているのですが、この言葉がなければこういった賞は受賞できなかったと思う。途中で心が折れそうになり、諦めそうになったこともありましたが、それでもその言葉を胸に歩み続け、たくさんの人に出会い、支えられてたどり着いた賞だと思っております。まだまだ未熟者ではありますが、初心と感謝の気持ちを忘れることなく、これからも精進していきたい」と意気込んだ。

海宝は「アリージャンス~忠誠~」のサミー役、「TOHO MUSICAL LAB.『Happily Ever After』」の男役の演技で受賞。「昨年は素晴らしい作品に恵まれながらも、乗り越えなければならない壁や困難がたくさんあった年でもありました。その中で素晴らしいカンパニーの皆さんと支え合い、心の中で堅く手を結びながら千秋楽まで走ってきました。皆さんのお力がなければ、今ここには立っていないと思います。心から感謝しております」と受賞の喜びをにじませた。

また、「アリージャンス」で海宝の父親役を演じた渡辺徹は、急性気管支炎のために同作の名古屋公演・大阪公演を休演。先月、大動脈弁狭窄(きょうさく)症との診断をうけ、現在は治療にあたっている。

そんな渡辺について、海宝は「ときに面白いことを言ってキャストを笑わせたり、ときにみんなが迷っている時には『もっとこうしたほうがいいんじゃないか』などアドバイスをくださったり、カンパニーを支えていただきました。千秋楽はご一緒できませんでしたが、作品をともにつくり上げたという思いが強い」とコメントした。

咲妃は「NINE」のルイザ役、「GHOST」のモリー役の演技で受賞となり、表彰式には艶やかな振袖で登壇。「これは20歳の時に両親から頂戴した振袖です。当時、宝塚歌劇団に在団しておりまして、成人式に出席することはかないませんでしたが、地元・宮崎の写真屋さんで両親が見守ってくれる中、写真だけ撮らせていただきました」と説明。

そして、「今日のこの日を迎えるにあたって、初心を忘れないという意味でも、家族へ感謝の気持ちを届けたいという意味でも、お着物を着させていただきました」と装いに込めた思いを明かした。

高畑は「ウェイトレス」のジェナ役の演技が認められての受賞。「『ウェイトレス』という作品は3、4年前にニューヨークで観劇して、『なんてポップで素晴らしいミュージカルなんだろう』と夢中になり、その後にニューヨークとロンドンへおかわり観劇に行ったほど大好きな作品」と説明。

「いつか日本でやる時は何かの形で参加できたらいいなと思っていたので、こうやって参加できたうえに素敵な賞をいただけて、これはご褒美だと思っております」と感激した。

また、NHKの音楽番組『おげんさんといっしょ』で共演している星野源が、新垣結衣との結婚を発表したことに、「絶対聞かれると思った」と苦笑い。

そして、「おめでたいですよね。私は(星野と)夫婦役をやっていて、旦那さんとして奥さんに『おめでとう』と言うのはシュールだなと思うのですが、私自身としてはハッピー。楽しいニュースが少ない中でとてもうれしく、幸せな気分になります」と祝福した。