<松重豊 インタビュー>

――撮影の感想を聞かせてください。

自分自身の役を含めて、9つのキャラクターを1日に演じ分けることはなかなかないので、それに合わせてメイクさんや衣装さんがてんてこまいで、今は祭のあとのような気分。ちょっとした放心状態です。

――さまざまな役柄を演じる企画を聞いたときの印象は?

前回が羊のキャラクターで、自分自身でも気に入っていたので、動物が変化していくのかなと思っていたら、人間の変化球だったので「こっちに来たか」と思いました。

しかも、1球(の変化球)じゃなくて8球。自分を含めて9球。どんな感じになるのかなと思いましたが、次から次へ別のキャラクターになっていくので、一つ一つを忘れてしまい、「今日やったことを全部すぐに言え」と言われても、思い出せないぐらいに慌ただしかった。でも、面白かったです。

――撮影ではさまざまな姿に扮しましたが、松重さん的にどのキャラクターが一番ハマり役だと思いますか?

僕からすると、異性を演じることのほうが乗り越えなきゃいけないものがいろいろとあるんですけど、「昭和のお母さん」というのが一番印象に残っています。

――では、役になりきるのが一番難しかった役柄は?

時代劇はよくやっているのですが、振袖を着たことがなかったので、帯があそこまで長いというのにちょっと気を失いそうになりました。

男の帯はだいたい腰骨の下なので、「下に下に」というところが、(振袖姿で)初めて「上に上に」という感覚に驚きました。

――松重さんにとっての最高のおつまみは何ですか?

よく作るおつまみだと鶏皮ですね。鶏皮って、スーパーでだいたい安く売っているんですよ。100g数十円ぐらい。それを買ってきて、ちゃっと茹でて、酢とごま油とラー油とポン酢もちょっと入れて。

それを冷蔵庫で1、2時間冷やしておくと味がなじみまして。「鶏皮ポン酢」というやつです。簡単だし、財布に響かないし、家にあると幸せな気持ちになるんじゃないかな。

――CMのキャッチコピーにちなんで、最近発見したグルメがあれば教えてください。

この間、仕事で長崎県の五島列島に行ってきたんです。最近、トビウオの出汁とか、五島の食文化がとり上げられることが多いと思うんですけど、五島牛というのも美味しいです。

そして、さつま揚げ。「さつま揚げ」というと北部九州の人は「なんで薩摩なんだ」と怒りますが、五島のさつま揚げ的なものが非常に美味しい。五島の魚は東京でなかなか味わうことができないけど、あのさつま揚げはちょっと炙るだけで魚より美味しいと思います。

――春といえば卒業シーズンですが、松重さんが卒業したいなぁと思うことはありますか?

この年で卒業というと、引退とか番組を降りるだとか俳優業を辞めるとか、そっちのほうに結びつけられそうなのですが、卒業って寂しいイメージがありますね。

いろんなことを卒業してもいいけど、その次は入学したいです。3月は卒業シーズンですけど、4月からまた新しい何か挑戦が始まるというイメージで、卒業したいと思います。