<大島優子 インタビュー>

ーー約1年ぶり、3回目となる『丁稚物語』を読み終えていかがですか?

3年にわたって、秋山木工の丁稚のみなさんの成長を見てきて、当時、丁稚だった人が職人になっていたり、一方で辞めてしまっていたり…。

成長を見届けられてうれしい気持ちとちょっと寂しい気持ちがあるという、不思議な立場で見守っているような感じでした。

ーー昨年は、VTRを事前に見た際に、母親のような目線が入り、「号泣した」と話していましたが、今回はどうでしたか?

今回はまたちょっと違う、秋山木工を応援するような気持ちで見ていました。

秋山木工には、これまで守ってきた伝統がたくさんありますが、それを時代の移り変わりに合わせて変革していこうとしている。

秋山社長が80歳でそれをやろうとするのは、難しくて、勇気のいることだと思うんです。

でも、人が(応募して)来る会社に変えなきゃいけない、と思い動いている。志があるといいますか、野望が大きいといいますか、80歳にして若さがあるし、すごくエネルギーのある方だというのを感じて、応援したい気持ちになりました。

ーー伝統の継承は大事でも、効率も求められるのが現代ですね。そのあたりのせめぎ合いを大島さんはどう感じますか?

私はギリギリ昭和生まれということもあって(笑)、昭和の考え方のほうが近いといいますか、今の10代、20代の人たちの考え方には追い付けないな、と感じることもあります。

例えば、秋山木工の伝統だった丸刈りも、今までは“覚悟を決めさせる”ためのものでしたけど、今の若い世代は、丸刈りにならなくても、覚悟できる人はちゃんと覚悟を決められる。

そうやって、自分の物差しでやっていけるのはいいことで、だから、(年長者は)怒れないというか、怒らずにやさしく接するのが今の風潮ですよね。

秋山社長もそうですし、先輩や兄弟子たちもみなさん、若い世代に寄り添っている。そういうところは、私にも染(し)みるくらいのものがありました。

今の若い世代は、精神的に成熟するのが早いと思います。それは、情報があふれるようにあって、自分で自由に入手できるから。

一方で、批判されたときに乗り越える力が弱いとか、メンタル面での弱点はあっても、それさえも、「そっちがダメなら違う方へいこう」と視点を変えたり、迂回したり、逃げたりすることができる人も多いのかなって。

そういったところは、もう全然違う生き物だなと感じますね。

<大島優子 “語り”の一部を先行公開>

<予告動画>

YouTube「FUJITV GLOBAL CHANNEL」で、『ザ・ノンフィクション』の予告動画を配信中!3月24日(日)14時~「ボクらの丁稚物語 前編」特別予告