ずっと炭治郎を演じられるのは「自分の心の支え」

――ここまで炭治郎を演じてきて、大人から子どもまで幅広い年齢のファンがいる『鬼滅の刃』の魅力をどのように感じますか?

『鬼滅の刃』には、炭治郎と禰󠄀豆子、実弥と玄弥(CV:岡本信彦)、(胡蝶)しのぶ(CV:早見沙織)と(栗花落)カナヲ(CV:上田麗奈)といった、きょうだいや家族の絆が描かれています。

家族への思いは普遍的ですし、誰にでも子ども時代があって、親になってわかる気持ちもあると思います。きょうだい、家族の絆の大切さや尊さが物語に込められているから共感できて、幅広く支持していただいているのかなと。

僕もそういう気持ちを忘れないようにしなくちゃと思いますし、『鬼滅の刃』では、元気や一歩踏み出す勇気、力をもらえるようなセリフがとても多いです。

――花江さんご自身も、炭治郎を演じることで勇気をもらっているのでしょうか?

演じていて「炭治郎がこんなに頑張っているんだから、自分ももっと頑張れるんじゃないか」と思いますし、「それぐらいの気持ちでやらないと届けられない」と常に思いながらやっています。

――『鬼滅の刃』のように長いシリーズに携わることのやりがいをどのように感じていますか?

同じ人物をずっと演じられることって、そんなに多くないと思うんです。これだけ継続的にアニメから、ゲーム、いろんなコラボレーションのアナウンスを担当してきて、ずっと炭治郎ができることは自分の心の支えになります。

演じていくにつれて「もっとこういう表現ができるんじゃないか」「このセリフはこうしたほうがいいんじゃないか」と、始まった当初よりも迷いがなくなって、どう演じるかがすっと浮かんでくるようになっていて、そこは長くやっている良さだと思います。

あと、これだけいろんな方に注目していただけているからこそ、ほんのわずかなセリフも気が抜けないなと。プレッシャーもありますが、それが原動力にもなっています。

 

――ご自身でこの作品を観るときは、どんな気持ちになりますか?

なぜか『鬼滅の刃』を観るときは、自分がやっているという感覚がないんですよね。自分がやったアニメを観るときって大体、「こうすればよかったかな」と、反省会しているような気持ちになっちゃうんですけど『鬼滅』は、そういうことがなく観られるので、炭治郎って僕にとっては、ちょっと不思議な存在ですね。

――それは作品の力なのでしょうか?

もちろんそうですし、あとは炭治郎がすごくいい子で、僕が『鬼滅の刃』がめちゃくちゃ好きだし、長くやっているからなじんできたからじゃないかと。