原稿に「音符をメモ」声優の仕事で見つけた解決法
――陽子さんは今まで仕事と子育てに全力で、子育てが終わって初めて、自分のやりたいことをやろうと思ったのかもしれません。
“自分のために生きる”となったら、私なら「クルーズ船に乗りたい」とか「世界旅行をしたい」とか考えてしまいそうですが。そうではなく、自分のためではあっても、誰かのサポートになるご職業を選んでいて、素敵だなと思いました。
私の家族、特に母も、人を支えることが生きるエネルギーになるタイプだと思います。外食したり、服や好きなものを買ったり、お化粧をしたりと、“自分のために贅沢をする”ことがほぼない。
陽子さんを見ていて「私の母にちょっと似ているかもしれない」と、シンパシーを感じました。
映像で「ご遺族が『良かった』って言ってくださるのって、(納棺師の)仕事をしている人は何にも代え難いと思う」とおっしゃっていた陽子さんを、母に重ね合わせて見ていました。
――ナレーションを読む際に意識したことはありますか?
『ザ・ノンフィクション』は、取材対象者を見守る力と俯瞰で捉える力、そのバランスが絶妙だと感じていたので、私もそこを意識しました。
感情に寄り添いすぎないように、できるだけ距離はとりつつも、身近な物語に感じていただけるようにと思いながら読みました。
――ナレーション原稿に、音符で何かメモを書いていたそうですね。
書きながら声に出ていたみたいで、知られると恥ずかしいですね(苦笑)。
たとえば 「もっと低い声で読んで」と指示されたときに、「低い」のレベルがわからなくなってしまうので、自分なりの基準として音符をメモしようと。音符なら音の高さが決まっているので、「今指示された『低い声』は、もっと低くしていいんだ」と、わかるんです。
――原稿に音符を書くのは、過去のナレーションや声優の仕事でも実践していたのですか?
実は、アニメーション映画『竜とそばかすの姫』(2021年)で主人公の声を担当させていただいたときに見つけた方法なんです。
その時は、台本の見方も持ち方もわからなくて、見よう見まねで挑みました。初日にご一緒した声優さんが台本にいろいろとメモを書き込んでいらっしゃるのを見て、「私もやらなきゃ」とたくさん書いて。でも翌日ご一緒した方は台本が真っ白で、「あれ?」と思ったり。
いろいろ探して見つけた、自分に合った解決法の1つが“音符を書く”でした。「音楽のように取り組もう」と思い始めたら、一気にやりやすくなって。このときの経験が今回の“語り”にも生きたと思います。
予告動画
YouTube「FUJITV GLOBAL CHANNEL」で、『ザ・ノンフィクション』の予告動画を配信中!6月23日(日)14時~「おくりびとになりたくて ~大切な誰かと別れるとき~」予告。