――実際、今回のW杯をきっかけに、世界中で一気に「カーボベルデってどんな国?」と注目が集まりましたね。

彼らのなかに、これまでは「自分たちは知られていない」という思いがあって、だから、海外で自国の名前が呼ばれることがすごくうれしいんだと感じました。

「みんなが友だち」みたいな雰囲気があるし、愛国心がすごく強くて、普通に「アイ・ラブ・カーボベルデ」とプリントされたTシャツを着ているんですよ。特に僕が好きだったのは、国のスローガン(合言葉)が「ノーストレス(No Stress)」だということ。

「ノーストレス」とプリントされたTシャツを着ている人も多かったし、そのスローガンが好きすぎて、僕も思わず「ノーストレス」と書かれた帽子を買っちゃいました。

現地で購入した「NO STRESS」と書かれたキャップ

それと、ヴォジーニャ選手の生家の隣に、彼と同い年くらいの幼なじみが住んでいるんですけど、働いていないそうなんです。聞いたら、「お金が必要なときだけ働く」と。

雇用形態も3ヵ月が多いらしく、その後、辞めるか、続けるか、みたいになるらしい。暑い国だから、日中はのんびりして、涼しくなったら街を歩いて、そうすると友だちに会うからおしゃべりする、みたいな一日なんですって。

――なんともうらやましいライフスタイルですね。

本当に自分とは正反対の人生だな、って。「自分はこの人生のままでいいのか」と考えさせられました。

――結局、何日滞在することになったのですか?

移動に時間がかかるため、当初は3泊6日の予定でしたが、それが5日間延びて8泊11日になりました。

――グループステージの初戦(スペイン戦)、第2戦(ウルグアイ戦)をカーボベルデのみなさんと観戦し、現地での盛り上がりをどう感じましたか?

まず、向こうでは、サッカーというものの存在がとても大きいんだと感じました。子どもたちが裸足でサッカーの練習をしている風景も見ましたけど、ましてやワールドカップなので、ちょっと趣味で応援する、みたいな人はいなくて、とにかく「カーボベルデを世界の人に知ってもらいたい」という熱がすごかったです。

試合後はまるでカーニバル!人々は、朝まで踊りまくる

――7月4日の放送では、MCの浜田雅功さんをモチーフにしたキャラクター「浜田大明神」に喜ぶ現地の方の姿もありました。

持っていたら、みなさんすぐに「これはジャパニーズ・ブッダか?」「ワールドカップのトロフィじゃないか!」と反応してくださって、大人気でした。「浜ちゃん!浜ちゃん!」ってコールも起こっていました(笑)。

スペイン戦でのパブリックビューイング会場の様子。「浜田大明神」の姿も!

過去に「浜田大明神」に祈念してご利益があったアスリートもいたから、「これに願いを伝えたら叶うかもよ」と言ったら、「3対0でスペインに勝ちますように」とか「カーボベルデが世界中に知られますように」とか、何というか、お願いもすごくきれいなんです。「お金持ちになれますように」なんて言う人はいないんです。そういうところも、すごくいい人たちだなと思いました。

「浜田大明神」に勝利を祈る

――大盛り上がりで観戦し、試合後は、どんな雰囲気でしたか?

もう朝までみんなで踊りまくっていました。結婚式のときに、「おめでとう」の意味で、車のクラクションを鳴らすそうなんですが、みんなクラクションを鳴らしっぱなしで走っていました。僕も車に乗っていたら、カーニバルみたいな人だかりにハマってしまい、3時間くらい動けないなんてこともありました。

そして、第2戦のウルグアイ戦では、得点があったじゃないですか。僕は、それをヴォジーニャ選手の生まれ故郷のミンデロで近所の人と一緒に見ていたんですけど、シュートが決まった瞬間、爆音の音楽がかかって(試合そっちのけで)みんなが踊り出すという。いや、試合再開してるよ、って(笑)。

――そういったみなさんの思いが、選手の背中を押したのだろうと、その戦いぶりから感じられました。

カーボベルデでは18歳になると、多くの人が出稼ぎで島を出ることになるそうなんです。現地ではあまり仕事がないので。そういうなかで、サッカーで海外に行けるというのは、子どもたちからしても、ものすごい憧れなんだと思います。

だから、選手たちも「サッカーを楽しむ」というより、「背負ってる」んですよね。そのプレッシャーは、僕らにはとうてい想像できないもの。試合後に、ヴォジーニャ選手が泣いているのを見ても感じました。