<試写室>『あたりのキッチン!』第9話
前回が「清美(桜田ひより)、インターンへ行く!」という、このドラマにとっては大きな展開が用意されていたわけですが、今週の第9話は…
「清美、求婚される!」
という、とてつもない急展開!!
だってこれまでの展開といったら…。清美が善次郎(渡部篤郎)の営む「阿吽」でバイトはじめる!(第1話)だったり、大学の鈴代さん(工藤美桜)とお近づきになる!(第2話)だったり、善次郎の長男・清正くん(窪塚愛流)の決起会を開く!(第3話)はたまた、清美の叔母・明美(原沙知絵)上京する!(第5話)かと思ったら、鈴代さん料理に挑戦する!(第7話)という変化球もあったりやんや…。
総じて言えるのは、何か起こるにしても、特段トピックスとして挙げられるほどの出来事って、そこまでなかったはずなのに、前回の「インターンへ行く!」で大きく動き出したと思ったら、今回は、まさかの「清美、求婚される!」!!!という大トピックス!!
うん、だけど、そうです。もちろんそれは、僕がちょっと飛躍させ過ぎました(おい!)。
いや、求婚されるのは間違いないんですが、これがまた、その求婚のくだりがコミカルな味つけで楽しくって、結局のところいつもの通り、“いいお話”へと決着させてしまうんだから、このドラマ、“とてつもない”んです。
表面的なな出来事をフックに大騒動を起こすのではなく、清美にとって何よりも大きくて大切な部分を、丁寧に掘り下げる
っというわけで第9話のあらすじはというと…。
ある日、超一流料理店「和食おおそね」料理長の息子で、小学生の樹くんが「阿吽」に現れ、そこで食べた清美の料理に大感激!その結果、清美に「結婚してください!」と懇願したかと思ったら、なんでか清正くんは、樹くんに向かって『自分が「おおそね」を超える料理を作る!』とかなんとか、大見得を切ってしまう…という、このドラマ史上最大の怒涛の展開!
とはいえ、そうはいってもさすがの『あたりのキッチン!』。
前回、清美がインターンという大海原(言い方!)へ放たれた物語において、清美の特技である“絶対味覚”とインターン先だった食品開発部との親和性を強調して、キャッチーなドラマに仕上げるでもなく、周りのインターン生から清美のコミュ力(りょく)ゼロ具合を非難されて孤立してしまうという“不穏”でドラマティックを煽(あお)るでもなく、清美自身が「何ができるのか?」ではなく「何がしたいのか?」に気づいていくという、小さいようで壮大な物語に仕立ててしまう…つまり、表面的な出来事をフックにして大騒動を起こすのではなく、清美にとって何よりも大きくて大切な部分を、丁寧に掘り下げていくことが、このドラマのテーマ、なのです。
ってことで、今回もまた、樹くんからの急な求婚と、清正くんの大見得という、大きなトピックスをきっかけにしながらも、前回の「何をしたいのか?」から少し発展させた「誰と働きたいのか?」はたまた「“何を目的に”働きたいのか?」を清美が知っていくという、このドラマらしい、このドラマが描くべき、大きなテーマに向かって丁寧な物語が展開されていきます。
前々回あたりから、鈴代さん(工藤美桜)のランチが…その成長に……感動…(涙)
で、今回圧巻なのが、今週の一膳「スパイシーお子様カレー」への導き方。
これまた前回同様、なぜ“カレー”へと決着するのか?まったく想像がつかないままドラマは進行していくのですが、終盤、清美がこれまで「阿吽」で学んできたこと…お客さまに合わせて料理を作ること…それは、“人を知り”、“人を思う”ということで、それをさりげなく振り返って、突き詰めていった結果、“スパイシー”だけど、“お子様”な、“カレー”という答えが導かれるのです。
今回もそのストーリーラインがとてつもなく美しい!必見です!!
で、前々回から気になってたんですが…。鈴代さんのランチが、栄養バー→コンビニのツナマヨおにぎりだったのが、前々回あたりから、ヘルシーそうな、栄養面も考えられてそうな、何より、食事を楽しんでいるに違いない!そんな、オシャレサンドイッチになってる!!!
…その頬張り方、なんてかわいい!!!…じゃない…鈴代さんのお父さん的な存在の僕としては(勝手にお父さんにすな!)、その成長に……感動…(涙)わざわざ、そんなさりげないとこまで成長描写を施すなんて…そこまで丁寧だなんて…やっぱり、このドラマ、とてつもない!
公式HP:https://www.tokai-tv.com/atarinokitchen/
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/tokaitv_dodra
公式Instagram:https://twitter.com/tokaitv_dodra