<粗品 コメント>
長いお笑いの歴史の中で、芸人におけるボケとツッコミの役割は、なんとなく“ツッコミの方が下”という感覚があったと思うんです。でも今は、もうそんな時代じゃない。コンビでツッコミがネタを書くこともありますし、近年のツッコミ芸人の活躍は目まぐるしい。それは単に、MCをやるとか司会業に進出するとか、そういう話を超えて、ツッコミ芸人自身が面白いことを言って笑いを生む“腕力”を持っているということ。その剛腕な力を、もっとみんなで面白がるべきなんじゃないかという、ツッコミへのリスペクトがあります。
もともとYouTubeで『ツッコミマン』をやっていたなかで、「この面白い後輩たちをもっと多くの人に知ってもらいたい」という思いがありました。そんななかで、フジテレビさんから土曜21時という最高の枠をいただいたので「ぜひやらせてください」という気持ちでした。
今回の大会は、明確なボケに対して正解のツッコミをする大会ではありません。何でもないものや、ボケていないものに対してツッコミを入れて笑いを生むという、かなり高度なことをやっています。
ツッコミって、すごく想像力のいる仕事だと思っているんです。色や数字を見ただけで、それをどう解釈するか、どう面白く仕立て上げるか。そういう“笑いを生む腕力”や、ツッコミ芸人それぞれの個性が、普段の大喜利以上に色濃く出ると思っています。今回は、ツッコミ芸人の頭の中をのぞけるようなお題にしました。
自分が一番面白くて、自分が一番笑えることをわかっていて、自分が一番このツッコミのことを理解しているので、それに則った基準です。なので、みなさんが面白いと感じても、それが禁忌の技であればノットスターになるし、みなさんは面白くないと感じても、僕が面白いと思ったものはスターをつけています。この番組を見て、僕の判定と感覚が違った人は、自分は面白くないんだって落ち込んだ方がいいです。
お題を作る段階で、ある程度「こういうツッコミが来るかな」という想定はしていたんですが、その想像を超えるツッコミが何度もありました。「そんな見方するんや」という瞬間が本当に面白かったです。
今回のプレーヤー12人の特徴は、知名度の差がかなりあること。『M-1』王者や『M-1』ファイナリスト常連組もいれば、まったく無名の大阪でやっている芸人、お笑い好きでもあんまり知らないような芸人もいる。
でも、僕の前では全員が平等で、“ツッコミ”だけで戦う。本当に面白い芸人は知名度関係なくウケるし、もちろん知名度がある芸人も現状にあぐらをかかず、しっかりこのツッコミという競技でお笑いをとっていく。この構図がすごく印象に残っています。
お笑い界が前に進む瞬間を、ぜひご覧ください。
