4月17日朝、揃って現役引退を発表したフィギュアスケート三浦璃来選手と木原龍一選手の“りくりゅう”ペア。
ミラノ・コルティナオリンピック後の会見で2人は…、
〈2月25日会見より〉
三浦璃来選手(24):
本当にひと滑りひと滑りがすごく伸びると言いますか、いつも私たちの滑りを支えてくださって本当に感謝しております。
木原龍一選手(33):
やっぱりこのブレードがなければ自分たちは、今回このような結果を残すことができなかったと思うので、本当に心から感謝したいなと思っています。
スケートに欠かせないもの…その一つがスケート靴の底に取り付けられている「ブレード」。
『ノンストップ!』は、2人のスケート靴のブレードを作っている工場がある名古屋へ。金属加工会社「山一ハガネ」を取材しました。
りくりゅうペアを金メダルへと導いた、世界唯一の技術で生み出されたブレードの秘密に迫ります。
「ブレードが折れる」木原選手の悩み救った山一ハガネ
山一ハガネ・石川貴規さん:
よろしくお願いします!石川でございます!
この人こそ、りくりゅうペアの滑りを支えている石川貴規さん。フィギュアスケートのブレードを作ること13年。
りくりゅうペア以外にも、フィギュアスケート男子シングルで、北京オリンピック銅メダル、平昌オリンピック銀メダルの宇野昌磨選手、ミラノ・コルティナオリンピックで2大会連続の銀メダルを獲得した鍵山優真選手のブレードも作っている、トップスケーター御用達のブレード職人なんです。
実はこの取材の5時間前にりくりゅうペアが引退を発表。
この一報を受け石川さんは…、
石川貴規さん:
個人的には何も変わらなくて、サポートしてお付き合いしていけたらなと思っています。
りくりゅうペアと山一ハガネの出会いは、りくりゅうペア結成前の2018年、知り合いの紹介で木原選手が相談にきたことが始まりでした。
石川貴規さん:
木原さんはペアの方で、パートナーを持ち上げたりするということもありますし、体格も大きい方なので、このベースの部分(靴底と接する部分)が曲がってしまうと。
フィギュアスケートのブレードは通常、縦と横のパーツを手作業で溶接しています。
そのためペアの代名詞でもあるリフトや、回転ジャンプなどの大技を出すと、その溶接部分に負担がかかり、曲がったり折れたりしてしまい、体格の大きい木原選手は、ブレードの破損が頻繁に起こり、思うような練習ができていなかったといいます。
たった2週間でブレードが破損してしまったことも。
そこで石川さんが思いついた方法が…
石川貴規さん:
実際にこちらがブレードを削っている機械になりまして、こういった形で10kgのブロックを削り出して、最終的には300gぐらいのブレードに削り出します。
手作業ではなく機械で全てを制作。10kgの特殊な鋼の塊を少しずつ削り、溶接部分がないブレードに。
これまで自動車をはじめ様々な形のパーツを作ってきたノウハウを活用したという石川さん。この機械によるブレード作りは、世界で山一ハガネだけの技術なんです。
これによって強度が格段にアップ。従来のものの3倍の強度となったそうです。
木原選手は破損を気にせず、リフトや回転ジャンプなど大技に挑めるようになったといい、さらに手作業ではなく機械で作ることで、ミリ単位で同じものが作れるのも強みだといいます。
〈2月25日会見より〉
木原龍一選手:
以前私はブレードの問題を抱えていたんですけれども、山一ハガネさんにブレードを提供していただけるようになりまして、そうなってからブレードの問題というのは解消されましたし、ワンプッシュでの伸びが圧倒的に違いますので。もともと自分たちはスピードを出すのが得意だったんですけれども、よりそのブレードを提供していただけるようになってから2人の強さというのが際立つようになったかなと思います。
そして、木原選手はこのブレードに出会った翌年に、三浦選手とペアを組むことになります。
当初、違うブレードを使用していた三浦選手に、木原選手は山一ハガネのブレードをすすめました。
不安がる三浦選手に、木原選手は「絶対落とさないから」と約束。
金メダルの陰には、互いを信じ“同じブレード”を選んだ2人の決断がありました。
