主要4 団体の世界チャンピオンや世界ランカーによる真の世界一を決めるトーナメント、「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」がいよいよ決勝を迎える。
バンタム級決勝のカードは、日本が世界に誇る“モンスター”井上尚弥と、世界的にその名を知られる“フィリピーノ・フラッシュ”ノニト・ドネアの激突だ。
さらに、井上の弟・拓真も同じリングに上がる。幼少のころからともに拳の道を歩んできた井上兄弟にとって念願であったダブル世界戦。この注目の試合が生中継される。
井上尚弥は、世界ボクシング協会(WBA)と国際ボクシング連盟(IBF)の世界バンタム級王者で、ニックネームは“モンスター”。2012年のプロデビュー後は、18戦18勝(16KO)と驚異的な強さを誇っている。井上はいまや世界で最もインパクトを与えているボクサーの一人だ。
WBSS初戦を右ストレート一発で初回KO勝ちし、準決勝ではIBF王者、エマヌエル・ロドリゲスを強烈な左フックとボディブローで2回TKOに沈めた。圧勝劇が続くあまり、「井上に勝てるボクサーはいるのか?」という議論が世界のボクシング評論家の間で巻き起こっているほどだ。
そして「井上に勝てる可能性のある選手」こそが、キャリア45戦、世界5階級制覇を達成しているノニト・ドネアだ。一瞬で相手の戦闘能力をゼロにしてしまう左フックはまさにフラッシュ(=閃光)。
井上がこれまでに対戦した選手で、これほど突き抜けた武器を持っている選手はいなかった。井上がドネア対策の第一歩として「ディフェンスの強化」に取り組んでいる事実が、ドネアの爆発的な攻撃力を証明しているといえる。
両者が顔をそろえた8月下旬の記者会見で、井上は「このトーナメントが始まるとき、一番やりたかったのがドネア選手」と対戦を歓迎し、ドネアは「ナオヤは驚くべき、恐るべきファイター」と井上を高く評価した。
26歳の井上が動きながらチャンスをうかがい、数々の修羅場を経験してきた36歳のドネアはゆったりと構えながら閃光さく裂の瞬間を狙うだろう。ともに一撃必殺のパンチを持つだけにKO決着は必至だ。
井上の弟・拓真は、 ノルディーヌ・ウバーリ と対戦
さらに同日、井上の弟・拓真が先陣を切ってリングに上がる。快進撃を続ける兄に続き、昨年12月に世界タイトルを獲得したが、その肩書きには“暫定”の二文字がつく。正規王者のノルディーヌ・ウバーリに勝利し、正真正銘の世界チャンピオンの座を狙う。
ウバーリはアマチュア時代に2度オリンピックに出場し、世界選手権では銅メダルを獲得しているサウスポー。アマチュアで培ったテクニックを土台にプロで攻撃的なスタイルを身につけ、デビュー以来16勝無敗(12KO)の戦績を誇る。
試合発表の記者会見のあと、父である井上真吾トレーナーは「いまのままでは勝てない」と発言しており、拓真はキャリア最大の正念場を迎えたといえる。それでも「スピードは自分のほうがある。いろいろなパターンを想定して練習している」とウバーリ攻略に自信を見せている。
持ち味のスピードを生かしながら、思い切った攻撃でウバーリを崩していきたいところだ。11月7日、尚弥と拓真がそろって勝利を飾れば、井上兄弟が主要4団体のバンタム級王座のうち3団体を制することになり、兄弟で4団体のベルト独占という偉業に王手をかけることになる。
また番組では、井上尚弥とFUJI BOXING応援団長で芸能界屈指のボクシングファンであるビートたけしの特別対談をVTRで放送する。
さらに当日ゲストには、今年7月に世界王座奪還に成功したWBA世界ミドル級王者の村田諒太、熱いボクシングファンである香川照之、MCには中村アンが出演することも決定した 。
<試合カード>
<WBSSバンタム級トーナメント決勝(WBA・IBF世界バンダム級王座統一戦)>
WBA・IBF王者:井上尚弥(大橋)vsWBAスーパー王者:ノニト・ドネア(フィリピン)
<WBC世界バンダム級王座統一戦>
WBC王者:ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)vs WBC暫定王者:井上拓真(大橋)
<ビートたけし コメント>
精神的には井上選手の圧勝でKO勝ちがいいんだけど、4Rか5Rまで打って打たれてを見てみたい。井上選手がパンチをもらったのは見たことないし。全部避けちゃうから。ちょっと怖い気もするけど、ドネア選手の左フックが入って、倒れないまでも効いたって感じが見てみたいなと思うね。でも、井上選手は今まで順調にやって来たんだから、今までどおりの調整の仕方で試合に臨んで欲しいね。今までどおりで勝てると思うし。もしそれで勝ったら新しいパンチの打ち方とか楽しませてくれよ。今で充分強いから 。
<香川照之 コメント>
強さ、パワー、スピード…今の井上尚弥に対して肯定的な側面を並べることはいとも簡単だ。しかし私が今ひたすら思うことは、昨今の流れで、彼を含めた多くの世界王者が、年に2試合しかファイトしないことが何とも残念で仕方がない。井上は知らない間に26歳になっている。その昔、井上と同じく21歳で世界を捉えた具志堅用高は、多い時は年に4試合もして25歳で初黒星、そのまま引退した。井上は果たしてどうか。今後、4階級制覇、5階級制覇と金字塔を打ち立てるかもしれない。あるいは30歳まで無敵を誇るかもしれない。彼にかけている我々の欲望には限りがないのだ。だから願わくは時間が止まって欲しいと思う。今のこの状態の井上に、10試合くらいさせたいとさえ思う。しかし、時間軸と戦って最後まで勝ち続けるスポーツ選手は未だかつていない。いつかは井上もグローブを壁につるす日が来る。そしてその時我々は、「井上のピークはこの試合だったなあ」などと懐かしく振り返るのだ。そう、ノニト・ドネアとの大一番は、果たしてその試合になるのだろうか。ここ3試合、もうずっとピークの内容で相手を粉砕してきているモンスターは、今回もまた前回を超える内容のパフォーマンスを見せるのか。見せて欲しい。ドネアというかつてのレジェンドを簡単に打ち砕くなら、もう拳聖(けんせい)の領域だ。想像してみる。恐らく左フックを両者は幾度となく相打つだろう。神さえもほれぼれする角度から左フックを打った者が勝者となるのだ。何度も何度もビデオを見返したくなるようなインパクトを、今回も激しく期待してしまっている。全国民が、である 。
<中村アン コメント>
ずっと心待ちにしていたWBSS決勝の舞台。初戦は衝撃の70秒KO、準決勝は2回TKOと圧倒的な強さで勝ち進んできた井上尚弥選手が決勝でどんな試合をみせてくれるのか今からとても楽しみです!井上尚弥選手の刺激的な試合を、今回もしっかり目に焼き付けて応援したいです。そして、井上拓真選手もWBC世界バンタム級王座統一戦を制して、兄弟揃って勝利する姿を見られることを願っています 。