主要4 団体の世界チャンピオンや世界ランカーによる真の世界一を決めるトーナメント、「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」が、11月7日(木)、いよいよ決勝を迎える。
バンタム級決勝のカードは、日本が世界に誇る“モンスター”井上尚弥と、世界的にその名を知られる“フィリピーノ・フラッシュ”ノニト・ドネアの激突 。
さらに、井上の弟・拓真も同じリングに上がる。幼少のころからともに拳の道を歩んできた井上兄弟にとって念願であったダブル世界戦。この注目の試合が生中継される。
世代交代か、立ちはだかる大きな壁か
世紀の一戦を前に、井上、ドネア両選手の記者会見が行われた。
まず、ここまでを振り返っての心境を聞かれたドネアは、「ここまで大変素晴らしい経験をさせてもらったと思っています。そして、決勝まで来られたことはファイターとしての誇りですし、東京で対戦できることをうれしく思っています」とコメント。
WBSSの決勝を迎えることに対しては、「井上尚弥選手と対戦できるという事実が、私を特別な気持ちにさせており、大きなモチベーションになっています。今までたくさんの栄光を手にしましたが、プロとしての活動を続けていく中で、そういったモチベーションは必要なものです。井上選手も、集中力を持ってこの試合に挑んでくると思います。彼は“世代交代”という言葉を使っていますが、自分は“世代交代の前に立ちはだかる大きな壁”だと思っています」と力強く語った。
一方の井上は、「このトーナメントが始まって1年がたちますが、いよいよこの舞台まで来たな、という思いがあります。そしてこの決勝をドネア選手と戦えることは、自分にとって一番望んでいた形なので、楽しみな気持ちでいっぱいです」とコメント。
さらに「自分が日本代表を背負うつもりでやっていますが、この決勝に勝てなければ今後日本人選手がここまで上ることはできないだろうと思っているので、自分が突破口としてトーナメントで優勝し、この先見てみたい景色に向けて頑張りたいです」と決勝への思いを語った。
そして、どんなボクシングを試合で見せてくれるのかという問いに、ドネアは「自分自身の力を最大限に信頼することを今までの経験から学びました。そしてこの試合の鍵となるのは、的確な戦略を立て、それを遂行すること。また、相手の動きに適応していくこと。この適応能力が大切になってくると思います」。
井上は「体調はすごく良いですし、自分の最大のパフォーマンスが発揮できると思っています。準々決勝、準決勝と最高の形で試合ができているので、決勝もそれと変わらないパフォーマンスを見せたいと思います」とコメントした。
また今回の対戦に「ドネア選手のボクシングは、プロに転向する前からずっと見てきたもので、自分にとって憧れの選手の1人でもあります。彼と決勝で戦えることを誇りに思って、“世代交代”を確実に成し遂げるだけです」と語り、「KOでも、判定でも、どちらに転んでもいいように準備をしてきているので、すべてに対応できると思っています」と終始自身に満ちあふれた様子だった。
正規王者か、暫定王者か
また、同日のWBC世界バンタム級王座統一戦で兄と同じリングに上がる井上拓真と、対戦相手でWBC正規王者のノルディーヌ・ウバーリも記者会見に臨んだ。
正規王者として、暫定王者がいることに対する心境を問われたウバーリは、「今回、チャレンジャーとして拓真選手と戦うことになりますが、“やはり自分がWBC世界バンタム級のナンバーワンだ”というところを皆さんに見せたいと思います」と答えた。
一方の拓真は、勝敗を分けるポイントを聞かれ、「いかに自分のボクシングを出せるか、ということが鍵だと思います。試合当日に自分のボクシングを出せれば、間違いなく勝てると思います」とコメント。
「練習も試行錯誤してやってきて、今は自信しかないので、まずは自分がしっかり勝って、兄に良いバトンをつなげたいと思います。初の兄弟ダブル世界戦なので、必ず兄弟でダブル勝利したいと思っています」と勝利への意気込みを語るなど、気合は十分だ。
<試合カード>
<WBSSバンタム級トーナメント決勝(WBA・IBF世界バンダム級王座統一戦)>
WBA・IBF王者:井上尚弥(大橋)vsWBAスーパー王者:ノニト・ドネア(フィリピン)
<WBC世界バンダム級王座統一戦>
WBC王者:ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)vs WBC暫定王者:井上拓真(大橋)