前作から約20年ぶりとなるアニメ『魔術師オーフェンはぐれ旅』のプレミアム上映会が11月26日、都内で行われ、2020年1月7日からBSフジ他でスタートする放映に先駆けて、第1話から第3話までが先行上映された。

上映会終了後には、主人公のオーフェンを演じた森久保祥太郎や、クリーオウ役の大久保瑠美、ドーチン役の渕上舞、チャイルドマン役の浪川大輔によるトークショーが行われ、原作のライトノベル第一巻の刊行から25年周年を迎えた今、キャスト陣がこの作品にかける思いを語った。

©秋田禎信・草河遊也・TO ブックス/魔術士オーフェンはぐれ旅製作委員会

秋田禎信によるライトノベル『魔術師オーフェン』は、1994年から2003年にかけて、『はぐれ旅』全20巻『無謀編』全13巻の33巻が刊行され、電子書籍を含め累計1400万部を突破。2011年に『はぐれ旅』の続編となる新シリーズが再スタートした人気シリーズだ。

大陸最高峰の魔術師養成機関《牙の塔》で、エリート魔術師として将来を嘱望されていたキリランシェロ。彼の義姉のアザリーが、ある実験によって異形の姿となってしまったのをきっかけに、彼は過去を捨てオーフェンと名乗り、仲間と共にアザリーを救う旅に出る、というストーリー。

アニメ、CD、ゲームなど大規模なメディアミックスが行われ、90年代当時はまだ一般的ではなかった「ライトノベル」というジャンルそのものを定義させた、金字塔的な作品だ。

(左から)浪川大輔、森久保祥太郎、大久保瑠美、渕上舞

前作に引き続き、約20年ぶりにオーフェンを演じた森久保は、「当時、20年前のアニメを見ていたという方は?」と観客に呼びかけると、大勢の手が上がり「お久しぶりです!お互い歳を取りました」と早速年齢の話に。

当時10代だったという観客に森久保が「もう30すぎたか」と語りかけると、浪川に「親戚のおじさんみたい」といじられる場面も。森久保は「僕が24歳とかでしたから、今は、45歳になりました」と感慨深げだった。

アニメの放映当時9歳だったという大久保は、共演者から「瑠美ぺディア」と呼ばれるほど、オーフェンのファン。今作の魅力について聞かれると、「キャラクターが個性的で世界観が作り込まれていて、魔術も一人一人使う内容が違ったり、得意分野が違ったり…」と語り出すと止まらなくなり、「ほんとごめんなさい、誰か止めてー!」と自ら悲鳴をあげ、「関われたことが嬉しすぎて、ここまで喋っておいて、なんて言っていいかわからない」と出演の喜びを爆発させた。

チャイルドマンを演じた浪川は、「オーフェンの師匠、つまり森久保さんの師匠として演じられてみてどうでしたか?」と、司会者に尋ねられ、「ちょっと待ってください。質問の角度が僕だけ違いません?『森久保さんの師匠を演じてどう思うか』ですか?」と質問内容を確認した上で「とっても気持ちよかったです」と満足げな表情を浮かべると会場は笑いの渦に包まれた。

「でも、やっぱり、新しいオーフェンではありますけど、ずっと昔からのアニメや原作を支えてくださっている(ファンの)みなさんがいる以上ですね、(前作でチャイルドマンを演じた)中田譲治さんがよぎるわけですよ。あのようにはできない」と、先代キャストへ尊敬の念が滲んだ。

渕上は、「私自身は幼い頃にオーフェンに触れてこなかった人間だったので、改めてこの機会にオーフェンに触れて、王道なお話が刺さるというか、わかりやすくかっこいい」と、『魔術師オーフェン』に対して新鮮な印象を語った。

大久保からもいろんな情報を仕入れていたそうで、「青春時代をオーフェンで過ごしてきた人、私と同じようにここから入る人、多分いろんな方がいたと思うんですけど、毎回毎回、楽しいアフレコ現場でした」と収録の様子を話した。

そして、トークショーの最後に森久保は、「一つだけ個人的な思いをこの場を借りて、お話しさせていただきます」とし、「声優という仕事をしていて、これほど嬉しいことはありません。本当に続けてこれてよかった。オーフェンという作品に出られてよかった。本当にこんなに感極まる出来事は僕にってございません」と、改めて20年ぶりの出演の喜びを語り、「僕はひとつだけ欲張るとすれば、まだまだ演じたいです。オーフェンを」と、さらなる続編に期待を寄せた。

森久保が「我は放つ光の白刃!」という、オーフェンお馴染みの決め台詞を放ち、壇上を後にすると、会場からは大きな歓声が上がった。