井上芳雄さんが、開幕の喜びを語りました。

劇作家であり、演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチさんによる新作、KERA・MAP#010「しびれ雲」が11月12日に東京・下北沢の本多劇場で開幕しました。

本作は、2016年、2019年に上演されたKERA・MAP「キネマと恋人」の舞台となった梟島(ふくろうじま)を舞台に描かれる、まったく新たなストーリー。当初は11月6日に開幕予定だったものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となり、準備期間を経て12日に改めての初日を迎えました。

物語は、ある地方の小さな島が舞台。独特の方言で話す小さなコミュニティには、未亡人の波子(緒川たまき)や妹の千夏(ともさかりえ)、その夫の文吉(萩原聖人)らが暮らしており、それぞれに人間関係を育みながら日常が繰り広げられているところへある日、忽然と謎の男(井上芳雄)が現れ…というストーリーです。

演劇の聖地・本多劇場初登場となった井上さんからコメントが届きました。

<井上芳雄 コメント>

新作ですし、通常でもギリギリの状態でドキドキしながら迎える初日――今回、開幕が少し延びてしまい、お客様には申し訳なかったのですが、ついに迎えることができた初日は最高のものでした。

今回は大爆笑を狙うような芝居ではありませんが、最初にお客様がどっと笑ったとき、感動して少し涙が出ました。

ここまでの道のりを経て初日の幕が開き、良い芝居をやらせてもらって心底うれしいです。

左から)富田望生、井上芳雄、松尾諭

また、僕は本多劇場に立つのが初めてですが、客席との距離感や温度感を感じながら、お客様がしっかり観て反応してくださっていることが伝わってきて、教えていただくことだらけです。

KERAさんと前回ご一緒した「陥没」、そしてコロナ禍で本番ができなかった「桜の園」以来、KERAさんの作品で芝居をするのはやっぱり楽しいな、と改めて感じました。

「しびれ雲」は演じながら、笑いながらも心に染みるものがあり、そして、KERAさんは「作りたい」と仰っていた通りのものを作られ、本当にすごいなと思っています。

「また明日やるのが楽しみだ」と思えるのが幸せなことですし、お客様には胸をはって「良い作品ができました」とお伝えしたいです。

最後まで無事にできるようにと祈りつつ、皆様の健康も祈っています。  

公式サイト:https://www.cubeinc.co.jp/archives/theater/shibiregumo

撮影:引地信彦