──母・里子(石田ひかり)の故郷という設定の、岩手県・陸前高田市を久しぶりに訪れたと聞きました。以前との変化など、感じたことを聞かせてください。
一番変化を感じた出来事は、お祭りが開催されていたこと。以前、今作にも登場する陸前高田の「七夕まつり」に行きたくて、ホテルの予約などもしていたのですが、コロナ禍で中止になってしまって。
今回、8月にドラマの撮影で訪れた時には、大船渡で泊まったホテルに観光客の方もたくさん泊っていらして。夜には花火が上がり、屋台もたくさん出ていて、すごくにぎやかでした。
地の魚とか果物が食べたいなと思ってスーパーに行ったら、お刺身はほとんど売り切れていて。売り切れていたこと自体は残念でしたけど、「みんな楽しもうとしているんだ」と感じ、すごくうれしかったです。
──撮影の一環ではありますが、「七夕まつり」も見たそうですね。
はい。撮影で一瞬ではありましたが、浴衣を着て参加することができてすごく楽しかったです。
山車がぶつかり合う様子を見ることができたのですが、山車の大きさや、何十人もの男性が大きな掛け声を出しながら太鼓を叩いている姿を間近で見ることができて、とても感動しました。
陸前高田の伝統的なお祭りを、ドラマを通じて伝え、それを見てくださった視聴者の方の中に「私も行ってみたい」と訪れてくれる人が増えるといいなと思います。
朝顔から学んだこと「吐き出すこと、心と向き合うことの大事さ」
──久しぶりに『監察医 朝顔』の世界に戻ってきたことで改めて感じた、作品の魅力を聞かせてください。
一つは、昭和の風景がところどころに残っていることでしょうか。ちゃぶ台でご飯を食べているドラマ、今はあまりないですよね(笑)。でも、そんな日本の古き良き風景を残せているのも、魅力の一つかなと思います。
そして、一番の魅力は、陸前高田の“今”を伝えられること。その点においては、ドラマを超えてドキュメンタリーの要素もあると考えています。
東日本大震災から10年以上が経ち、日本でオリンピックが開催されるなど大きなイベントもあり、震災や被災地のことを考える機会が少なくなってきていると感じています。
でも、今もさまざまな思いを抱えて生きている人がいるし、まだまだ復興のための力は必要です。被災地の“今”を伝えられることにもやりがいを強く感じています。
──今作の撮影で大変だったことはありますか?
撮影の期間は2週間弱でした。あっという間じゃないですか、2週間って(笑)。その中で2時間の番組を撮るのですが、連ドラの2時間(2話分)とスペシャルドラマの2時間の濃さは全然違うんです。
連ドラは、起こったことの結果を翌週以降の放送で伝えられるので、演じる側もはっきりと「こうだ」という答えを自分の中で作らずに、ゆとりを持って演じられます。でも、スペシャルドラマでは、「ここで思ったことが次にこうなって、最終的にこうなった」と、しっかりと考えて、ステップを踏まないと、話が成り立たなくなってしまいます。
もちろん、そこだけを頑張ればいいわけでもありませんが、1回の放送の中で物語を成立させなければいけないし、ブランクも感じさせないほうがいいと思うので、監督とは時間を見つけたはたくさん話をしました。
そのうえで、いざ撮影となると、話したときから撮影当日までに生まれた別の意見も出てくるので、さらにチームで話し合って撮影を進めていく。短い時間での撮影は大変でしたが、『監察医 朝顔』のチームワークがあったからこそ無事に撮影を終えられたと思います。
──朝顔を演じる中で、自身の生活でも実践したいと思う“気づき”はありましたか?
日々忙しくしていると、外で刺激を受けて、あれこれ頭で考えることも多いと思いますけど、自分の心と向き合うことが大事だな、と。
「今、自分がどれくらい踏ん張ってるか」、意外と自分は分かってない。それにみんな「頑張らなきゃ」と思わなくても頑張りすぎている。
だから、吐き出すことが大事。吐き出せるときに吐き出して、自分の弱い部分や頑張っている部分を全部認めて、受け入れて、前に進んでいけるといいなと思います。