伊藤さんが「圧巻でした!」と語る、山田裕貴さんや佐藤二朗さんの演技。対峙した伊藤さんの思いとは…?意外な(?)撮影の舞台裏についても明かしてくれました。
――取調室での類家とタゴサクの緊迫したやり取りを見た感想は?
もう圧巻でした!時間を忘れて見入ってしまいました。爆弾がいつ爆発するかわからない緊張感がある中で、タゴサクが繰り出す言葉に「次は何のヒントだろう?」と、自分も謎解きに参加しているような没入感がありました。でも、ある種の職業病もあって、「すごいなこの役者さんたち」とも思いましたし、
畳みかけるようにしゃべるので、「いつ息継ぎしているんだろう?」ということもすごく気になりました(笑)。自分がまだチャレンジしていない表現のような気がして勉強になりましたし、一観客としてもかなり引き込まれました。タゴサクも類家も、キャラクターを相当落とし込んでいないとブレてしまうと思うんです。類家のあっけらかんとした言い回しとか、タゴサクに詰められても全く動じない強さみたいなところは、「そこにいる」という軸が定まってないとブレてしまう。
タゴサクはどちらかというと劇的にしゃべっているので、それを人間味のあるキャラクターに落とし込める二朗さんは本当に素敵でした。キャラクターが1人歩きしていなくて、2人ともかっこよかったです。
――倖田がタゴサクと対峙するシーンも緊張感にあふれています。タゴサクを演じる佐藤さんと向き合った印象を教えてください。
取調室という空間で、かなり狂気を感じて恐ろしかったです。異様な空気でタゴサクがそこにいて、一つひとつの動きや言葉を発する音と目線、そのすべてが凶悪犯というだけではなく。いろいろなものが入り混じっているタゴサクという人物を、二朗さんがすごく的確に演じていました。
――演じるうえで「負けない」という気持ちで挑まれたのでしょうか?
勝負しようという気持ちはなかったです。どちらかというと、私が「二朗さんに負けないように」という気持ちでした。二朗さんの圧というか、狂気に怖気づかないようにしないと、「負けちゃう」と感じていたのかもしれません。
――熱量のこもった演技合戦が繰り広げられていますが、撮影の舞台裏はどのような雰囲気でしたか?
「用意、スタート!」までは、みんなニコニコとしゃべっている印象で、とても楽しい現場でした。坂東くんがとんでもなく明るいハッピーボーイなので、常に緊迫感を保っている現場ではなかった印象です。スタッフさんも、みんなで楽しくワイワイしゃべっていましたし、永井聡監督が突然マジックを見せてくれたり(笑)。オンとオフの差がありました。私は集中力を長く保てるタイプではないので、現場のあり方としてはとてもありがたかったです。
撮影:今井裕治
映画『爆弾』
公開日:10月31日全国ロードショー
(C)呉勝浩/講談社 (C)2025映画『爆弾』製作委員会
