2月8日(土)よりBunkamuraシアターコクーンと森ノ宮ピロティホールにて上演される舞台「泣くロミオと怒(いか)るジュリエット」のマスコミ向けフォトコールが行われ、その後の会見に、桐山照史(ジャニーズWEST)、柄本時生、八嶋智人、段田安則らキャストと、作・演出を務める鄭義信が登場。
物語の舞台となるのは、戦後5年が経った港町ヴェローナ。立ち並ぶ工場から出る黒い煙と煤(すす)に覆われ、鉛色となった街の空気をさらに不穏にしているのは、敵対する2つの愚連隊“モンタギュー”と“キャピレット”だった。
桐山演じるロミオは、モンタギューの元メンバーながら、今は更生し、粗悪な密造酒を扱う屋台で働く奥手でまじめな青年。日々の憂さ晴らしに友人と出かけたダンスホールで、田舎から出てきたばかりのジュリエット(柄本)に出会い、ロミオは人生で初めての恋に落ちる。しかしジュリエットはなんと、キャピレットのリーダー・ティボルトの妹だったのだ。禁断ともいえる2人の恋は果たして…。
シェイクスピアの代表作「ロミオとジュリエット」が原案となっていることは言うまでもないが、着目すべきは、出演者は全員男性であるということ、そして、全編“関西弁”で繰り広げられるということ。
関西弁の弾むような響きが、悲恋物語にテンポ感を生み出し、笑いも随所に盛り込まれた舞台に仕上がっている。
会見序盤に八嶋から「一応ジャニーズ」と揶揄された桐山だが、「さすがジャニーズ!」な表情の数々が明かされる一幕も。
桐山:“初めまして”のときの一発目の写真撮影で、「恋人同士って設定なので、見つめ合ってもらっていいですか?」って言われたんですよ。
柄本:男同士で見つめ合うのか〜と思ってたら、(桐山が)「どっちの目見る?」って。
桐山:目って2つあるから、「どっちの目見るタイプ?」って…
柄本:言われて、「えっ、あぁ…右…(照)」とかいって。
一同爆笑
柄本:もう見させられてるんですよ!こっちが!桐山を!「カッコイイ…!!」って思って。
続けて八嶋が「現場で見てても、時生くんのことをすごくちゃんと女性として扱ってるなって思いますよ。手をパッと差し伸べたり」と話すと「例えばどんなときに?」と具体例を求める記者。
それに対して桐山が「(柄本と)見つめ合うシーンの後、暗転したときに僕、クセで肩をポンポンってしてるらしいんです。それを“口説きに行ってるやん!”ってずっと言われてます(笑)」と自らエピソードを披露すると、話を振った八嶋は「今までモテてきた男のやり口だなって思いますよ」と、どこか不満げな顔を見せた。
そんな八嶋に関して桐山は「実家帰ったときに母ちゃんと喋ってる感覚」と、すっかり親しくなった関係性を覗かせつつ、「先輩がこうやってムードメーカーで、現場を明るくしてくださってるので、喧嘩もなくピリッとすることもなく、ここまで無事に来れてます!」と、しっかり先輩を立てる場面も。
また、段田は柄本を「最初は大丈夫かいなって思ったんだけどね、キチンと化粧してカツラ被った姿をふと見たら、私の大好きな竹内まりやさん(に似てる)」と絶賛し一同爆笑。
八嶋は「僕ら男が女性の役やっているってことが、観てるうちにどんどん気にならなくなって、むしろ、話の核心がよくわかるようになってくる」と、全キャスト男性という、本作の見どころともいえる特徴をアピールした。
“男ばかりのロミオとジュリエット”を作り上げた張本人・鄭は「最初は僕も違和感を感じました。なんか、部室の匂いがするなって(笑)」と言いながらも、「男ばっかりだからこそのパワーが感じられたり、(ロミオとジュリエット)2人の愛情交換がかえって切なかったり、むしろすごく面白い作品になるんじゃないかなというのを感じています」と、作品への自信を明らかにした。
もう一つの見どころともいえる関西弁だが、メインキャストで唯一、関西出身ではない柄本は、そのイントネーションに未だ苦戦しているという。それを受けた八嶋が唐突に「柄本時生さんはですね、男である女である、関西弁である関西弁でない、そんなことは気にならない、超越した気持ち悪さがある!」と、とてもフォローとは言えない語りを始めたかと思いきや、「うわー!なんだこのジュリエットは!と思って最後まで見たら、皆さん絶対泣いてますよ!切なくて可愛くて」と熱弁を展開。
最後に代表して桐山が「“世界一不器用なロミオとジュリエット”をぜひ、皆さん観に来てください」とアピール。去り際の八嶋のまるで貴婦人のような上品な一礼も光った。