誰もが知っている大ヒット商品に隠された秘話を特集した、2月19日(水)放送の『林修のニッポンドリル』。番組では、発想の転換で大勝利を収めた4つの企業の転機を紹介した。
釣り糸メーカーが生んだ大人気マットレス
まず登場したのは、倒産寸前の状態から奇跡の大逆転を果たした、愛知県のある企業の物語だ。
その企業とは、釣り糸機械メーカーの「中部化学機械製作所」。全盛期は社員100人を抱えていたが経営難に陥り、5億円もの負債を抱えるに至って、社長の高岡栄一氏は甥の高岡本州氏に経営を託す。
苦しい経営が続く中、新商品を作る道を模索していた高岡社長は、弾力性のある釣り糸を利用してマットレスを作ろうと思いつく。自身がむち打ちを患った経験から、体が沈み込まないマットレスなら寝返りの際に体に負荷がかからないのではないかと思ったのだ。
そして2007年、高反発マットレスが完成。しかし、時を同じくして海外から輸入された低反発マットが大ブームに。寝具業界は新規参入が難しかったこともあり、高反発マットレスは発売後2年を経ても売上がほぼゼロという危機的状況にあった。
最悪の経営状態を前に、商品をアンケートと共に無償で提供した結果、高反発マットレスがスポーツ選手に需要があることを確信した高岡社長。ターゲットをスポーツ関係者に絞り込んで地道な営業努力を続けた結果、浅田真央の手にマットレスが渡り…。
海外遠征から帰国した際の会見時に、浅田の手に「マットレス」と書かれていたことから、彼女が海外まで持参するほど愛用していると注目を集め、高反発マットレス「エアウィーヴ」は大ヒット!
2019年には売上160億円以上を記録し、今年、東京オリンピック・パラリンピックの選手村でも採用されるという快挙を成し遂げた。
アドバルーンの技術が子どもに大人気の遊具に!
大正時代に生まれ、1950年代に大流行した宣伝アイテム“アドバルーン”。1970年の建築基準法の改正の影響などで、令和の時代に目にすることはほとんどなくなった。しかし現在、“アドバルーン”を作っていた企業は、遊園地やテーマパークに欠かせないあるモノの生産で、急成長中だという。
アドバルーンの技術を使って、新たな商品を生み出したのは「中部アド」。その商品を生み出した技術は、万博記念公園で開催された「大くじら博」をきっかけに生まれた。
「大くじら博」のPRのために、実物大のシロナガスクジラのバルーンを作って欲しいと依頼された「中部アド」。しかし、従来のアドバルーンの製法通りにバルーンの布を接着してしまうと、巨大バルーンの強度は保てず、空気が漏れてしまう。
かといって、強度を保つために布を縫っても、縫い目から空気が漏れる。思い悩んだ田中博社長は、送風機を使ってバルーンを膨らませ続けるという方法を取ることに。
その挑戦は大成功。現在、「中部アド」はその技術を応用して、遊園地などに欠かせない“エアートランポリン”やご当地キャラクターの着ぐるみ(従来のものより軽いと全国から製作依頼が殺到)、マラソンのスタート地点などで使われるアーチなどを作っているという。
子どもの水嫌いを克服するシャンプーハット
子どものシャンプー嫌いをなくすために発明された“シャンプーハット”も、思いがけない進化を遂げていた。
初代シャンプーハットが生まれたのは、50年前だ。「藤本株式会社」の矢崎誠一氏は、シャンプーが目に入って痛がる子どもを救うため、シャンプーハットの開発に着手した。
トタン屋根などからヒントを得て生まれたシャンプーハットは、発売と同時に大ヒット。しかし会社が「ピップ株式会社」と社名を変えた後、「子どもの水嫌いを助長する」という理由でシャンプーハットは敬遠されるように。
そんな中、「子どもの水嫌いを“克服”する」シャンプーハットの開発を命じられたのが、当時ベビー用品を担当していた相良裕子氏だ。相良氏は、シャンプーを好きになってもらいつつ、水嫌いにもならない商品を生み出すため、紆余曲折を重ねた。
そして相良氏は、水遊びの水なら子どもが嫌がらないことに着目。シャンプーハットに大小の穴を開けて、ほどよく落ちる水に慣れながら水遊び感覚でシャンプーを楽しむことができる画期的な新商品を生み出したのだ。
地方で再生を遂げた昭和の喫茶店の定番アイテムとは?
昭和の喫茶店には欠かせなかった“ルーレット式おみくじ器”も、現在、地方でブームとなっているという。ルーレットと、星占いが合体した“ルーレット式おみくじ器”は、昭和のキッズの憧れだった。
“ルーレット式おみくじ器”は、昭和の終わりと共に姿を消したかと思われていた。しかし、もともと府中にあった製造メーカー「北多摩製作所」が社長の故郷である岩手県滝沢市に移転し、そこで製造を続けていたところ、市の職員がふるさと納税の返礼品に指定。現在は、密かなブームを巻き起こしているという。