2月29日(土)の『週刊フジテレビ批評』は、東日本大震災からまもなく丸9年となる宮城・気仙沼で、カフェを営みながら被災者と寄り添い続ける俳優・渡辺謙に話を聞く「The批評対談」の特別企画(後編)が放送される。
インタビューは渡辺謙が作ったカフェ「K-port」で行われ、聞き手は渡辺和洋フジテレビアナウンサーが務めた。
渡辺アナ:(福島第一原発事故を描いた渡辺謙の最新作)映画「Fukushima 50」(フクシマフィフティ) が公開になります。この映画を引き受けようと思ったポイントはどういうところでしたか?
渡辺謙:忘却するということは、ある意味前に進むことでもあると思うんですけど、やっぱり忘れ去ってはいけない事実、歴史っていうのは絶対あるんだと思うんですよ。
この話を聞いたときに、事故だけを描いても、お客様は見てくださらない。言ってみれば、負の遺産なので。
でも、そこに、どんな人間たちが、どんな風に向き合って、どんな風に何と戦ったのか、ということをドラマとしてちゃんと見せたなら、もっと裾野が広がって、それはエンターテインメントとして、たくさんの人に見ていただける。
その中にある核心的なテーマというのは、ちゃんと伝わるだろうなという。エンターテインメントとしてのフィクションの強みが、この作品にはあるというふうに確信したんですよね。
渡辺謙は、自身が演じる(当時の福島第一原子力発電所の)吉田昌郎所長(故人)について、自ら「リサーチした」と語る。
渡辺謙:「あのときはどうだったんですか?」「あのとき、吉田さんはどんなふうに対処されたんですか?」。そういうことは、かなり克明に(さまざまな人を)捕まえてお話うかがったんですけど。
渡辺アナ: その方々曰く、本当に謙さんの後姿が吉田所長に見えたという言葉もあります。
渡辺謙:それは、本当に…お世辞半分としても非常に嬉しいですね。
また、震災報道についても「やっぱり、5年目以降ぐらい、ちょっとかゆいところには手が届いてないという気がする」と、メディアへの正直な印象を語り、海外と日本のニュースの報じ方の違いなどについても言及。
さらには、「復興オリンピック」とも言われている、東京2020オリンピックに対する思い、俳優・渡辺謙としての今後についても語られる。