芸人として体を張ってきた3人が、それぞれの思いを語りました。
7月24日(日)の『ボクらの時代』は、春日俊彰(オードリー)さん、尾形貴弘(パンサー)さん、あばれる君が登場しました。
春日俊彰 若林正恭と「やってることは20数年変わらない」
今回は、春日さんがラジオ番組で「『ボクらの時代』に、この3人で出られたら最高だな」と話したところ、「翌週にはオファーがきた」という形で鼎談が実現。
この3人の共通点は…。
春日:同じようなことやってるもんね。
尾形:そうです、そうです。
春日:ドロドロになってさ。
あばれる君:ドロドロになって。熱い、痛い、辛い系のね。
春日:うん。
尾形:(うなずいて)やってますね。
そして、3人は、芸人になったきっかけを語りました。
あばれる君:(春日さんに)明るかったんですか?高校とか、学校では。
尾形:アメフト部っすよね?
春日:そうそう。明るくはないね。仲間内では、なんかこういろいろ…。あんまり変わらない。今とやってること。
春日さんは、「そのときから体を張っている」と、相方・若林正恭さんとの学生時代を振り返りました。
春日:「1日、誰とも話さなかったら、ジュースがもらえる」みたいなので…。
あばれる君:ちょっと待って。自分の意志では、動いてなかったんですか?
春日:ああ、そういう企画するの、若林さん多かったのよ。
あばれる君:あー、課されて。
春日:そう。だから変わんない、今と。20数年。
尾形:そのときから、若林さんは、春日さんはどうしたら面白くなるかって、たぶん見えてたんですね。
春日:そうそう。「これできる?」って、できるかできないかわからないくらいの、そそられるお題を振られるのよ。
あばれる君:はいはい。
春日:こっちも「おう、やってやろうじゃないか」みたいになるじゃない。
あばれる君:はい。
春日:だから、「1日誰とも話さない…」みたいなことをやったのよ。それは結局、1ヵ月半くらい誰とも話さなくて。
尾形&あばれる君:ええ!?
尾形:1ヵ月半!?
春日:うん。そうしたらもう、周りが怖くなってきて。「頼むから話してくれ」って言ってさ。それで終わったんだけどね。
春日さんは「そのころも、自分からはギブアップしなかった」と、現在の芸風に通じるエピソードを語り、尾形さん、あばれる君を「怖いっすよ!」と驚嘆させました。
尾形貴弘「若く見られなくなったら終わる」
それぞれのキャリアを語るなか、ピン芸人で芸歴をスタートし、その後パンサーを結成した尾形さんの年齢と芸歴について、春日さんが質問しました。
春日:尾形さんは、どこからスタートになってるの?養成所入ったところから?芸歴は?何年くらい?
尾形:芸歴とか…(どうでも)よくないですか?
あばれる君:それ、嫌がりますよね。
春日:はっきりさせたい。(自分より)後輩な感じだけど、先輩…。
尾形:いやいや、先輩じゃないですよ!
春日:先輩の世代だから。年は完全に上だから。
尾形:年はもういいじゃないですか。年の話、します?俺、年の話、一番嫌いですよ!
春日さんより、1歳(1学年)年上の尾形さん。あばれる君から「スタッフから若く見られたいがために、(食事会で)ご飯を3杯も食べていた」と暴露されると、「若く見られてなかったら、俺ら終わるよ?」と持論を展開しました。
尾形:もう「かわいそう」って思われちゃったら、見てられないですよね?笑えないですよね?
春日:そうね。「ジジイが、ひどい目に遭ってる」ってね。
尾形:そう!
あばれる君:ああ、確かに。
春日:ドロドロになっても「かわいそうだな」って見られちゃって、ウケなくなったら、もうね。
尾形:そうっすよね。そこはだから、見た目もそうですけど、精神的にも強くやっていかないと。
春日:いや、そうよ。若いというかね、「大丈夫なんだぞ」って。
春日さんは「だから、尾形さんは若く見られたいんだね」と納得の様子でした。
体を張る仕事、いつまでもやっていたい?
3人は「キツかった仕事」を振り返り、「そういうのどう?いつまでもやってたい?」(春日)という話題に。
尾形:俺は、全然やりたいですね。
春日:もうなんか、世代交代じゃないけど…。
尾形:いやいやいや、何を言ってるんですか!
春日:そういうことになってくるじゃない、どの業界でもさ。下から、だんだん押し上げられて。
尾形:僕は、考えないようにしています。下のことは。
春日:ああ、そう。
尾形さんは、後輩がMCの番組で「(自分が)体を張るロケに出たVTRを、スタジオで後輩たちが見る」ということが多くなったそうですが「それはそれで、いいじゃないですか。見てくれるのうれしいし、そいつらの番組だし、面白くしたいっていう気持ちがありますから」と熱弁。
すると、あばれる君も「目の前のことをやるだけだと思ってます」と、仕事について語り出しました。
あばれる君:明日のことは考えず、ここ(目の前)にあることを、今やる。
春日:うんうん。
あばれる君:そうすれば、振り返ったときに、いつの間にか、景色が良いところに着いてるかもしれない。そしてまた続ければ、景色が変わっていく。
春日:やっぱ、山岳部だからね、もともと。
あばれる君:そうです。山に登って、それは教えてもらいましたね。
春日:上は見ないんだ?山を登るとき。
あばれる君:上を見るよりも、足元を見て、今をしっかり歩く!
あばれる君は、元山岳部ならではの表現で自分のスタイルを語りました。
「笑わせている」「笑われている」問題
その流れで、あばれる君は「仕事への信念や、大事にしていることを聞きたい」と問いかけました。
尾形:僕は「笑い」は、笑われてもいい。「笑い」は一緒!
春日:言うよね。「笑われてる」のか「笑わせてる」のか、みたいな。
尾形:「笑われてる」「笑わせてる」問題。俺はもう、全部一緒だと思ってます。そう思わなきゃ、やってられない。
あばれる君:全部が「笑い」ってことですね。「笑い」を作ろうとした時点で、それはもう「笑い」っていうくくりに含まれてるから、別にこっちが負い目とか感じなくていいんですよね。
尾形:そうだよ!負い目なんていらないよ、そんなの。
春日:ウケればいいわけだからね。どういう形であれ。
尾形:ウケればいい!
春日:センス見せて、ウケるか…。
尾形:かっこいいけどね、センスも、かっこいいけど。
春日:ボロボロになってね…。
尾形:ボロボロになって、笑われたって!
3人が盛り上がるなか、ヒートアップしたあばれる君は、「究極をいえば、笑い声の大小もないっすよね!」と同意を求めましたが、春日さんから「大小はあるんじゃない?やっぱり、ややウケよりも大爆笑の方が…」と冷静な切り返しを受けてしまいました。
また、尾形さんは、自分の中でのリアクションに関するルールを語りました。
尾形:「つらい」けど我慢して「全然つらくないよ」とか。
春日:ああ。
尾形:何年かやってると…。
春日:なんか、ひねるというか。
尾形:ひねるのがまた、ポーンとウケるじゃないですか。
春日:パターンとしてはね。
尾形:俺はそっちでは絶対にないから。「つらい」ものは「つらい」、「痛い」ものは「痛い」。それで…。
あばれる君:俺も、まったく…(と、大声で強引にカットイン)。
尾形:俺が、しゃべってっから、今!絶対、入ってくんな。
あばれる君:いや、俺も本当にそれなんですよ!「熱い」ものは「熱い」。「痛い」ものは「痛い」。
尾形:俺が、言ってんだよ…(そして、無言に…)。
春日:おい、尾形が黙っちゃったよ。
あばれる君:いや、本当にそれ一緒だったので…いてもたってもいられなくなりました。
妙な空気を作ってしまった、尾形さんとあばれる君を、春日さんが「確かに、完全に奪った形になってるけども…さぁ、切り替えていこうよ(笑)」と、とりなしました。
子どもとの関係、家族への思い、そして…
また、家庭や子どもを持ったことでの変化も話題に。
春日:(あばれる君の長男は)6歳でしょ?あばちゃんのお仕事とか見るでしょ?
あばれる君:見てくれますけど。
春日:感想とか言われるの?6歳くらいになるとどうなの?
あばれる君:僕が、聞きすぎちゃって…。
春日:聞くんだ。
あばれる君:はい。「今の面白かった?」って。「どこが?」とか、「マジで?」とか。
春日:(笑)。ああそう。
あばれる君:それで、嫌になっちゃったみたいですね。感想言うのが。一言でも「面白い」っていうと、パパが食いついちゃうんで。
春日:ほう、やっぱうれしい?息子に言われるの。
あばれる君:うれしいですね、それは。子どもって、ケラケラケラケラって笑うじゃないですか。
あばれる君が、子どもと遊ぶときも、笑ってくれるのがうれしくて「リアクションを全力でやってしまう」と語ると、尾形さんも「子どもは、リアクション好きだよね」と共感。
春日:尾形さんもするんでしょ、それは。
尾形:俺もめっちゃしますね。遊ぶときは全力で。家事しない代わりに、遊ぶときは全力で遊んであげてっていうのを、嫁さんに言われてるんで。
春日:なるほどね。
尾形:どうですか?遊びますか?
春日:遊ぶけどね。
尾形:だって、溺愛ですもんね。
春日:うん、まぁまぁ、そうだね。娘にさえ好かれていれば、どんな目に遭ってもいいみたいな。仕事とか。
あばれる君:うわー、それはいい。かっこいいわ。
尾形:それは、でもそうじゃない?そうなってきません?
春日:そうだね。
尾形:誰に何言われても、子どもにさえ好かれていればいい感じしません?
春日:する!でも、子ができてさ。我々は体を張るじゃない?そのときに、「これでえらいことになったら、家族が困るな」みたいな…。
あばれる君:ああ。
尾形:俺は、絶対に電話します。「パパに何かあったら、保険金も入るから、しっかり、楽しく生きろ。悩まずに楽しく生きろ、人生一回きりなんだから」って。で、俺は(家を)飛び出しますけどね。
春日:ほお。
尾形:それはもう、絶対してますね。ちょっとでも危ない仕事は。
あばれる君:僕は、家を出るときに、強めに「行ってきます」って言いますね。
春日:無人島に行くときとか?
あばれる君:(力を込めて)「行ってきます!」
尾形:そこに、全部が集約されているわけだ。
そして3人は、最後に自分たちのこれからに、気合いを込めました。
春日:いつまでもね、「痛い」とか「熱い」とか。
尾形:元気で行きましょう!もう、ホント、元気だけは負けずに!
あばれる君:声張って!体張って!
春日:汗かいて。
あばれる君:汗かいて!
一同は「笑われたっていい!それも『笑い』の形!」と声をそろえ、鼎談は終了しました。