便利でおいしい冷凍食品と、不便利だけど味は絶品の料理には、それぞれに作り手のこだわりと思いがありました。

6月14日(火)放送の『所JAPAN』(カンテレ・フジテレビ系)では、気軽に食べられておいしい“便利シャス(便利+デリシャス)”な冷凍食品と、手に入れるまでに大変な手間がかかるものの、味は絶品の“不便利シャス”グルメを紹介。

スタジオには、所ジョージさん、佐々木希さん、カズレーザー(メイプル超合金)さん、田中直樹(ココリコ)さん、バカリズムさん、若槻千夏さんが登場。また、VTRでギャル曽根さんが出演しました。

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ゴロゴロ食感にこだわった“便利シャス”シュウマイ

「おかず系冷凍食品 購買数ランキング」(CCCマーケティング全国男女のTカード購買シェア 2021年2月~2022年1月)で、ランキング1位の「ギョーザ」(味の素冷凍食品)を追い上げ、3位にランクインしているのが、「ザ☆®シュウマイ」(味の素冷凍食品)です。

袋のまま4分20秒(600W)チンするだけで完成する手軽さで、6年前の発売以来、売り上げを右肩上がりで伸ばしています。

開発を担当した朴泰洪さんは、「従来(の冷凍シュウマイ)は小ぶりで、お弁当の隙間埋めに使われそうな(ものでした)。中具も、ゴロッとしない、肉シュウマイが主流でしたが、(シュウマイは)肉肉しい、おかずになるメニューだと思っています」と語りました。

「ザ☆®シュウマイ」を製造している、「味の素冷凍食品 関東工場」を訪ねると、専用の機械でシュウマイの具材(豚肉・たけのこ)を大きくサイコロ状にカットしている様子が。

さらに、ゴロゴロ食感を演出するために、1年かけて開発した薄い皮を使用して、具材を包んでいました。

そんな、食感にこだわった「ザ☆®シュウマイ」は、1日50万個製造。東京をはじめ、全国のスーパーへ配送されています。

標高2400m食べ応え100点マウンテンな“不便利シャス”シュウマイ

一方、標高およそ2400m、山梨県と長野県にまたがる八ヶ岳で60年以上続く「青年小屋」。

ご主人の竹内敬一さんが、先代のオーナーから40年前に譲り受け、家族経営をしています。

こちらの朝食に出てくるのが、巨大でゴロッゴロのシュウマイ。

このシュウマイは、山のふもとにある竹内さんの自宅のキッチンで、妻の直子さんがすべて手でこねて、一つひとつ作っています。

具材の玉ねぎやエビは、ぶつ切りにして、食感を感じられるようにカット。

直子さんは「玉ねぎは大きめの方が、甘みを感じられて、おいしいかなと思います。一度、エビをミンチにしたこともあったのですが、ゴロゴロしてたほうが、おいしいかなと思って、今はぶつ切りに」と説明。

また、大きなシュウマイを作るために、シュウマイの皮より、縦横1.5cm大きく厚いワンタン用の皮で包んでいます。

4時間かけて、1週間分となる200個以上のシュウマイを作ったら、冷凍をして、夫婦2人で30キロ以上の荷物を背負い山小屋まで運んでいきます。

そして、山小屋から15分ほど離れたところにある湧水を使い、シュウマイの蒸し作業を行います。

標高2000mでは、水が沸く沸点は90℃以下。そのため、通常10分程度の蒸し時間が、その3倍の30分かかって完成します。

敬一さんは、山梨県北杜市の山岳救助隊長として、救助や捜索活動に30年以上、貢献してきました。長年、登山客をそばで見守り続けてきたことが、朝にシュウマイを出すきっかけになったといいます。

「登山は、エネルギーを大量に使うので、朝ごはんはちゃんと食べてほしい。昔の山小屋は、ごはんがまずいのが当たり前だったんです」と敬一さん。

そして、「昔はソーセージをゆでて出したりしていました。でも、年配の方は残す方が多くて。(食べてもらうために)工夫して、シュウマイにたどり着いた。残す人はほぼいないです」と、巨大なシュウマイを作ることへの思いを、明かしました。

「こういう生活、不便だなと思うことないですか?」と聞かれた敬一さんは、「不便って言うの?僕にとって、楽しいことばっかり」とほほ笑みました。

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フワフワ食感の“便利シャス”な冷凍パン

そして、最近、冷凍食品界に革命を起こしているというのが、冷凍パン。

一般的なパンは、時間が経つと、もう一度温めても水分が失われパサパサですが、冷凍パンはしっとりと、やわらかです。

その冷凍パンの中で、今人気なのが、50~60種類ほどを展開している「Pan&」(パンド)。

もともと、一流ホテルに提供されていた冷凍パンですが、自宅で手軽に楽しめるように、4年前からスーパーやコンビニなどで販売を開始しました。

「Pan&」を販売する、「スタイルブレッド」代表取締役の田中知さんは、「一番おいしいパンを食べようと思ったら、『パン屋さんで窯から出てくるのを待つ』か、『冷凍パンを食べる』かの2択しかない」と豪語します。

冷凍パンは、トースターで2~3分温め、余熱で6~8分ほど温めるだけで、フワフワ食感を味わえます。

パンを膨らませる酵母に、独自開発した特殊なものを使い、冷蔵室で18時間寝かせ、水分を深くしみこませることで、フワフワ食感を実現しています。

スタジオで、「Pan&」の「モッツァレラとトマトの包み焼きカルツォーネ(2個入)」を試食した佐々木さんは、「すごい“もっちりシャス”。おいしシャスですね!」とうっとり。

フワフワではなく、硬いパンが好みだという所さんは、「コンプレ・ノア(4個入)」を食べ、「焼きたての感じでおいしい」と語りました。

予約17年待ちの“不便利シャス”な天使のパン

一方、神奈川県鎌倉市でパンのネット販売を行っている「ガトー・ダンジュ」。

天使のパンと呼ばれる食パンが一番人気で、2万人以上からの予約が入っており、今予約しても届くのは、なんと17年後という人気ぶり。

ご主人の多以良泉己(たいら・みずき)さんに、パンづくりの様子を見せてもらうと、作業は、夜中の1時から。

生地のフワフワ感を出すには「室温と仕込み水の温度を合わせる必要がある」ため、気温が安定している深夜の方がいいのだそう。

仕込み水と材料(雪塩、きび糖、強力粉、発酵バター)を混ぜ合わせる中で、特にこだわっているのが、ミネラルが豊富な「雪塩」と呼ばれる食塩。

粒子が細かく、普通の塩と比べ4分の1で、パンの口当たりがなめらかになり、よりフワフワを感じられるといいます。

そして、最も重要な工程が「手ごね」。

一般的なパンづくりでは、こねると成形を同時に行う機械を使いますが、多以良さんの場合は、手作業でたっぷりと時間をかけて、叩き、こねて、弾力のある生地に仕上げています。

生地の絶妙な粘りが重要で、それは「手の感触でしかわからない」といいます。

また、小さなオーブンで1斤ずつ焼くことで、パンに熱を均一に伝え、ふっくらと仕上げています。

1つの食パンを作るのに4時間かかり、1日に多くても4~5斤しか作ることができません。

儲け度外視でパンを作り続けている理由を聞くと…もともと競輪選手だった泉己さん。今から17年前に、レース中に全身まひが残るほどの大けがを負い、選手生命が断たれてしまいました。

そんな中、妻の総子さんが全身リハビリにすすめたのが、事故の前から泉己さんの趣味だったパンづくり。

総子さんは、「おいしいから、(パンを)切って、友だちにおすそ分け。その延長でだんだんと広がっていったんですよね」と明かしました。おいしさが評判を呼び、事故から3年後の2008年にパン屋さんを開業。

泉己さんは、購入者の情報が細かく書かれたメモを見ながらパン作りをします。メモは、総子さんがお客さんの現在の状況を聞き取りして作成したもの。

「お客さんを思い描きながら、作っています」という泉己さんは、「お客さんのために作っているので、一人ひとり喜んでもらいたいという気持ちでやっている」と語りました。

また、総子さんは、すべてのお客さんに対し、パンと一緒に、待たせてしまったお詫びと感謝の気持ちを書いた手紙を添えています。

17年待ちのパンには、夫婦の愛情が込められていました。