2015年の箱根駅伝で、青山学院大学を同大学史上初の総合優勝に導いたことで一躍脚光を浴び、箱根駅伝総合4連覇を達成するなど、指導者として輝かしい実績を残す一方、最近は、コメンテーターとして多くのメディアに出演中の原晋(はら・すすむ)監督。

そんな監督が、このたびピップエレキバンで有名なピップのスポーツケア用品ブランド「プロ・フィッツ」のブランドキャラクターに就任し、Web CMへの出演も決定。

その撮影が行われると聞き、フジテレビュー!!は独占密着し、撮影終了後にインタビューを行った。

撮影は3月某日、東京近郊の広大なゴルフ場で行われた。CMは、沿道をジョギングする男女のランナーの横を、運営管理車に乗った原監督が並走するというもの。突然の監督の登場にランナーは戸惑うが、応援に力をもらい笑顔になるという、まさしく、監督にピッタリの内容だ。

運営管理車からの原監督の応援に驚くランナーたち

おなじみの青山学院大学のジャージを着て登場した監督は、ディレクターから説明を受けると、すぐに撮影へ。メガホンを手に運営管理車から檄を飛ばす姿は、駅伝の時の監督を彷彿とさせる。

監督の勘の良さもあってか、何度かテイクを重ねると、すぐに撮影は終了。監督は、車に残って「オンリー」と呼ばれる声録りをすることに。短いセリフとはいえ、渡された台本を何度も音読する監督。その表情は真剣そのものだった。

声録りに臨む前に練習をする原監督

その後は、室内に移動して、ポスター撮影を。気合い十分でカメラに向かった後には、メイク直しをしてもらい、うれしそうな顔を見せたり、スタッフと談笑したり、リラックスした一面も見せていた。

終了後、撮影の感想を聞くとともに、新型コロナウイルスの影響で在宅を余儀なくされ、やる気が低下することも多いという子どもたちとの向き合い方についても聞いた。

<原晋監督 インタビュー>

――今回、ピップの「プロ・フィッツ」のWEB CMキャラクターへの就任を聞いた時のお気持ちは?

適任でしょ。スポーツ界の中で誰を選ぶ?それは、原監督しかいませんよ。ピップさんは、先見の明がありますね(笑)。

――撮影に臨むにあたって心掛けたことはありますか?

できるだけ素の自分を演出したいと思いました。まさしく運営管理車に乗っている原監督を再現しているという形だと思いますので、演じていないですね。素の原を見ていただくという形だと思います。

――撮影を終えての感想はいかがですか?

下手だね(笑)。でも、エネルギー、魂だけは、負けないものを持って、臨みましたので、あとは何とか編集で上手にカットしてもらえたらと思います。

――下手と感じたのはどのようなところですか?

噛む!噛んでいますね。どうしても、いいところを見せようと、どこかスケベ心があるんでしょうね。そういう時は原じゃないね。台本を見せられると、脳がロックされるんですよ。台本がないとスムーズにいくんですけど。なんというか、芸術的な頭のメカニズムをしているのかなって感じますね (笑) 。

――今回のCMのテーマは「密着応援」ですが、今までたくさんの学生に密着し応援してきた監督が、応援するうえで心掛けているのはどのようなことですか?

付かず離れず、です。付く時には、ピタッと付く。普段は、「ここにいるんだよ」「サポートする大人がここにいるんだよ」と感じさせる距離感を大切にしていますね。そして、付いた時には離れない。そういった間の取り方を意識しています。

――そのさじ加減が難しそうです。

失敗の連続というのはあるかもしれません。でも、本気で向き合ううちにその加減がわかってくるのだと思います。本気であるものは廃(すた)れません。必ず認められると思います。本気で向き合うからこそ、いろいろな問題点が見えてくると思います。

――見守る時にも「本気」が求められるということですね。

その通りです。管理監督しているわけではないんですけれども、観察力を身に着けること、そしていざという時には、飛んでいけるような距離感が大事だと思います。

――今は、新型コロナウイルスの影響で在宅時間が長くなり、やる気やモチベーションが上がらないお子さんも増えていると聞きます。

結局、やらされているというのは、自分自身で動いていないということ。ですから、ある程度の方向性は大人が示すべきだと思いますが、より具体的なやり方については、お子さん自身に考えさせることが大切だと思うんですね。

ただ、考えさせるだけだったら自主性とはいいません。好き勝手、になりますので、考えさせたことを(実行するのを)ちゃんと見守る、そして、悩んだ時にはともに考える、そういう姿勢が大切ではないかと思います。

――それは、小学生のような子どもであっても同じですか?

そうです。1から10まで親が「ああしなさい」「こうしなさい」と先に答えを出すと、子どもの思考回路は停止してしまうと思います。もちろん、まったく方向性の違うこと、危険を伴うものをやらせるのはいけませんし、さじ加減は当然ありますけど、ある程度方向性が正しければ、子ども自身に考えさせていくことは必要ですし、親がサポート役になっていく、という姿勢は大切だと思います。

あとは、時に(中高生くらいまでの)ジュニア期は、できないことを前提に見守ってあげてください。できないのは当たり前なんです。失敗しても当たり前なんです。できないこと、失敗から何を学んでいくかを、見守り、サポートしていくことが大切じゃないかな、と思います。

――そんな時に効く“金言”はありますか?

「損するよ」でしょうか。これ、意外といいと思いますよ。

――今は、生活が不規則になってしまうお子さんもいるようです。アドバイスはありますか?

こういった時期であっても、必ず、朝は定期な時間に起きる、そして、勉強する時間を必ず設ける。そして、夜更かしをせずに定時に寝る。この時間のサイクルを特にジュニア期においては、しっかりとしつけること、これは大切です。

ここは、考えさせる、自主性に任せる領域ではなく、親が意識して“やらさなければいけない”領域だと思います。

――最後に、今回CMに挑戦されましたが、監督が今後挑戦してみたいことがあればお聞かせください。

20代、30代のころは、あれこれやりたいことがありましたが、今は求められるものに対して応えていきたい、というのが本音です。興味があるのは、やはり教育ですね。箱根駅伝を通じて(学生に)学ばせた組織論やリーダーシップ論といったものを他のスポーツ団体に教えていきたいな、っていうのは、ある種やりたいことの一つかな、と思います。

<動画はこちらから!>

CM撮影密着&出演の感想】

ピップの「プロ・フィッツ」は、スポーツを楽しむ人をサポートする商品を多数扱う

原流子どもとの向き合い方】

撮影:今井裕治