岸井ゆきのさんが主演を務める映画「やがて海へと届く」の公開記念舞台挨拶付き試写会イベントが4月2日に行われ、岸井さん、浜辺美波さん、杉野遥亮さん、中崎敏さん、中川龍太郎監督が登壇しました。

この作品は、彩瀬まるさんによる同名小説が原作。引っ込み思案な主人公・湖谷真奈(こたに・まな)役を岸井さんが、自由奔放でミステリアスな親友・卯木すみれ(うづき・すみれ)役を浜辺さんが演じます。

「あなたにとっての親友は?」

本作の内容にちなみ「親友はいますか?」と聞かれた、岸井さんは「はい、1人います。『私たち親友だよね?』という確認はしないんですけど。(親友というのは)ずっと一緒に居られることですかね」と。

続けて、「散歩して3~4時間、一緒に居たりとか、いくら話しても(相手の)知らないことがあるというのが不思議です。人間は本当に底がなくて、変わっていくし、そういうことを話し続けられるのが一緒に居られるコツなのかなと思います」と語りました。

浜辺さんは、「私が一方的に大好きで、親友だったらいいなという人はいます。私は大好きだし、何があっても助けたいと思っていますけど、それが相思相愛でなくてもよくて。謎の安心感ではないですけど、結びつきのようなものを信じています」と明かしました。

「親友の定義」を質問されると、岸井さんと浜辺さんは「なんだろう…」と長考。岸井さんが「なんだと思いますか?」と杉野さんにバトンパスすると、「なんでもできることかな」と返しました。

浜辺さんは、「確かに…私だと、臓器を提供できます」と答え、中崎さんは「僕は代わりに死ねることだと思っていたので、『臓器を提供できる』というのは似ている部分はあるのかなと思いました。親友に対する愛と言うのは、家族に対するものだとも思うので」と納得した様子でした。

岸井ゆきの、グミを現場で配りまくる「流行っていたんですよ!」

本作の忘れられないシーンについて聞かれた杉野さんは「現場でも話していたんですけど、スタッフさんに『(岸井と浜辺の)2人の海辺でのシーンがすごくよく撮れた』と言われ、そのシーンを見たら『これをスクリーンで見たらいい映像だ!』と思いました。助監督さんも『奇跡的(なシーン)』だとおっしゃっていました」とコメント。

また、杉野さん自身が出演したシーンについては、「浜辺さんと大学の講堂でのシーンは時間がかかりました」と明かし、中川監督も「話し合いながら、10テイクくらいかかりましたね」と苦労を語りました。

杉野さんは、「『もの作りしているな!』」と今となっては思います」とほほ笑み、中川監督は「杉野さんも浜辺さんもすごく誠実に、嫌な顔せずに取り組んでくれました。ありがとうございます」と感謝しました。

中崎さんは撮影の思い出を、「岸井さんは自分よりもキャリアがあって、(重い)シーンもあるのに、どこか飄々(ひょうひょう)として現場を楽しんでいました。グミをいつも持参してスタッフに差し入れをしたりして…」と漏らすと、岸井さんは恥ずかしそうに「グミが流行っていたんですよ!」と説明。

また、「助監督の方がグミがすごく好きで、ちょっと空きがあるとコソっと食べているんです。『もっと堂々と食べればいいのに』と思ったので、『大量のグミを買ってみんなで食べればといいんだ』と。『見たことないグミを見つけたよ!』って言って持って行っていました」と語りました。

浜辺さんは「(現場の)お茶場にいっぱいグミがありましたね」と振り返り、中崎さんも「『今日はこのグミを食べよう!』と1つの楽しみになっていました」とニッコリ。

しかし、杉野さんは「僕は全然記憶にないです」ときっぱり。周りの登壇者が「杉野さんのシーンは外でのロケが多かったから」、「グミを食べている場合じゃなかった」などとフォローしました。

「新生活を始める人へ向けてのメッセージ」

イベントでは、「新生活を始める人へ向けてのアドバイスや応援メッセージ」を聞かれる場面も。

杉野さんは「相手に思いやりを持って人付き合いをしていった先には、必ず自分が大切だと思うことや人が見つかると思います。だから、僕が言うことではないですけど、『仲のいい人はそんなに多くできないのでは?』とも思います」とアドバイス。

杉野さん自身も撮影で新しい現場に行った際は、「ケースバイケースですけど、僕も緊張したりします。そういう時は、『自分は仕事をやりに来ているだけだからな』と思うようにしています。他の人の目線を気にして緊張しちゃったりするので。『この場でいい仕事をしなきゃ』とか『監督にどう思われるのかな?』とか。なので、意識を切り替えます」と語りました。

浜辺さんは、「自分の話だけではなくて相手の話もしっかりと聞くことが大切だと思います。自分を知ってもらうことも大事ですけど、第一歩目ですが印象に関わってくると思います。あとは、コロナ禍でマスクをしての初対面が多いと思いますが、笑っているかどうか目元だけではなくて、(本当の)笑顔が大事だと思います」と呼びかけました。

岸井さんは「私は新しい現場のとき、緊張して前日眠れないのですが、それを受け入れることにしました。あまり肩に力を入れすぎるとうまく動けないし、言葉も出てこなくなる。何も考えていないわけではないですが、緊張している自分を受けいれてリラックス。朝、緊張していても『おはよう』と言ってみてはどうですか?」と優しく提案しました。

作品概要

引っ込み思案で自分をうまく出せない真奈(岸井ゆき)は、自由奔放でミステリアスなすみれ(浜辺美波)と出会い親友になる。

しかし、すみれは一人旅に出たまま突然いなくなってしまう。

あれから5年、真奈はすみれの不在をいまだ受け入れられず、彼女を亡き者として扱う周囲に反発を感じていた。

ある日、真奈はすみれのかつての恋人・遠野(杉野遥亮)から彼女が大切にしていたビデオカメラを受け取る。そこには、真奈とすみれが過ごした時間と、知らなかった彼女の秘密が残されていた…。

真奈はもう一度すみれと向き合うために、彼女が最後に旅した地へと向かう。本当の親友を探す旅の先で、真奈が見つけたものとは…。

映画「やがて海へと届く」は、全国公開中。
©2022 映画「やがて海へと届く」製作委員会
配給:ビターズ・エンド