TVアニメ化、実写映画としても大ヒットを記録し、動画配信サービスを通じて世界的にも絶大な人気を誇る、新川直司原作のコミック『四月は君の嘘』。
2022年には日生劇場でミュージカルが初演の幕を開け、2024年にはロンドン・ウェストエンド、韓国・ソウルでも現地プロダクションで上演されるなどして、世界各国で好評価を受けました。そんな日本発の傑作オリジナルミュージカルが3年の時を経て、2025年8月に日本で待望の再演!

オールキャストオーディションを行い一新したキャストの中から、ヒロインの宮園かをり役を演じる元Juice=Juiceのメンバー 宮本佳林さんが『めざましmedia』のインタビューに登場。自身がこれまで経験してきたミュージカルとの違いや、宮本佳林としてのこれからのキャリアプラン。さらには最近「好きかも?」と思い始めたカメラの話などを伺いました。
宮園かをり役・宮本佳林 指揮者がいて生演奏「本当に新鮮」

ーー出演が決まった時の率直な気持ちを聞かせてください。
まずオーディションを受けるということ自体も人生の中の挑戦としてやってみたいという気持ちだったので、正直自分が受かるわけないみたいなテンションではありました。なので決まった時は「え!?本当に?…」という感じで、もうびっくりしすぎて“信じられな〜い!”みたいな感じでした。
ーー挑戦しよう!と思ったのは、自分の中で演技について自信がついてきたからですか?
そういうわけでもなく、挑戦したいと思った理由としては『四月は君の嘘』という作品自体がすごく好きだったんです。もともとアニメ・漫画などの2次元が大好きなので、いつかその2次元の作品を表現することをやってみたいというのが私の中にありました。
私はアイドルとしてずっと活動してきていて、演劇に関しては全くプロではないので、演技についての自信は本当に皆無で、演技への自信というより、いつかやってみたいなと思っていたことですね。
2008年からハロプロエッグ(現・ハロプロ研修生)に加入。2013年にJuice=Juiceのオリジナルメンバーとしてデビューし、2020年のグループ卒業まで12年間 ハロー!プロジェクトに在籍した宮本さん。その間も舞台やミュージカルに出演していたもののハロプロ主導のものだったため、その外に出てミュージカルに挑戦するのは今回が初めてだと言います。
そんな初めての環境に身を置く宮本さんに稽古中の雰囲気を伺いました。

ーー稽古の真っ只中だと思いますが、稽古の雰囲気というのはどんな感じですか?
私は外のミュージカルに挑戦するのが初めてだから、稽古の進み方とか、暗黙の了解とかいっぱいあるんじゃないかな…とすごく不安でした。
毎日どうしよう…と思っていたんですが、アンサンブルの皆さんも含めて、とにかく皆さんが優しくて、優しい時間や空間で楽しく稽古させてもらっています。
ずっと活動してきたメンバーやハロー!プロジェクトのメンバーたちは私の人となりを知ってくれているので会話しやすいですけど、自分では人見知りじゃないと思っていても、やっぱり初めましての方と話すとなると、「会話って難しいな…」と思います。
なので結構静かになってしまうことが多かったんですが、演出家の上田一豪(うえだいっこう)さんが「会話をもっと大事にした方がいいよ」と言ってくださったのもあって、なるべく稽古の時間はいろんな方と会話をしようという努力をしています。
ーー例えばどんな会話をしているんですか?
その時々によってですが、「このドラマいいよ」とかそういう会話をしたり、私は基本稽古中にグミを食べることが多いので、みんなで分け合ったりして、楽しい時間を過ごしてますね。
演出家の助言を受けて他のキャストとの会話を大事にしているという宮本さんですが、これまでやってきたミュージカルと大きく違う“歌”の部分についても興味深い話を語ってくれました。

ーー稽古をする中で、刺激を受けていることはありますか?
特に歌に関しては、刺激というか自分の中に新しい要素をすごく取り入れられているなというふうに思いますね。
すごく技術的な話になってしまうんですが、やっぱりポップスと歌い方が全く違うんです。
普段のポップスを歌う時に宮本佳林の歌い方の特徴として、例えば「みやもと」だったら「み!い!や!あ!も!お!と!お!」と言うふうに子音から母音に切り替わるのがめちゃめちゃ速いんですが、それをミュージカルでやってしまうとすごくわざとらしく聴こえたりとか、歌詞の意味が届かなかったり、言葉は聴こえても感情が伝わりづらくなっちゃったりということが多くて。
それをやめようって思うのではなく、「歌詞を伝えようという意志があるから自然とそのクセがなくなっていく」という方向性に持っていかなきゃいけないんですね。
こういう風にしてって言われたことを表現することは得意だけど、感情が伴いつつそこに辿り着かなきゃいけない、というところまで行かなきゃいけないのがやっぱり新鮮だし、難しいし、大変だなと思います。
ーーなるほど。ちなみにJuice=Juiceにいた頃から音楽劇はやっていましたが、その時と比べるとレベルは上がっているなと感じたりはしますか?
やらせていただいていたミュージカルは、日本ミュージカル界でも有名な和田俊輔さんという方の音楽で、それはそれの良さがとてもあったのですが、その時は生の音じゃなくてカラオケでやるミュージカルだったので、空気を合わせることってなかなかないんですが、今回は指揮者の方がいらっしゃって生音でやるので、そういう空間が本当に初めてで、私にとっては本当に新鮮なんです。
視界の端で振ってくださっている指揮に対して、「今盛り上げているな」とか「今静かに…ってなっているな」とか、そういうのを感じるという面で、レベルがどうというよりもミュージカルとしての環境が全く違うなっていうのを感じています。

オーケストラでの練習はまだなんですけど、今はピアノの方が弾いてくださっていて、指揮の方もずっといるという空間なので、毎日生の音で歌っている、というのが本当に新鮮です。
オーケストラで歌える機会なんて人生で一回あったらいいほうなものを、回数重ねて本番をやらせていただけるので、頑張らないとなと思います。
Wキャストでも宮本佳林が演じる宮園かをりの中で「自分なりの良さを」
1つの役に2人の役者をつけ、公演ごとに交代しながら上演する「Wキャスト」が採用されている今作。宮本さんと同じく宮園かをり役を演じるのは、『レ・ミゼラブル』でコゼット役を演じるなど、多数のミュージカルで活躍する加藤梨里香さん。そんな加藤さんについても伺ってみました。

ーー今回はWキャストと言うことですが、もう一人の宮園かをり役を演じる加藤梨里香さんのことを意識したりはするのでしょうか?
いやもう大先輩なので!ミュージカルのプロの方なので、意識というか本当に大尊敬です!
通し稽古を見させていただいた時に、歌が素晴らしすぎて…“素晴らしい”という一言にも詰めきれない、いろんなことを感じましたね。
けれどWキャストということは同じステージに立つことはないので、「宮本佳林が演じる宮園かをり」の中で、自分なりの良さを出していかなきゃなということは常に感じながら…でも切磋琢磨ともまた違って、私はただただ尊敬…。見て学べるところを学ぼうという姿勢で過ごさせてもらっています。
ーー宮本さん的には宮園かをりというキャラクターはどういう子ですか?
一言では表現できないんですが、かをちゃんってすごく強い子だなっていうのが、最初の印象でした。
けれど台本を読み解いていくにつれて、自分の弱かったり辛いなって思ったりするところを、強さや明るさとかでカバーして、みんなには素敵な私を見ていてほしいって思っているような子だなと思うので、アイドルもそういったところで、通じる部分があるなと思います。
何があっても笑顔で、何があっても楽しく、何があってもキラキラしていて、というところが、やっぱりかをちゃんと通ずるところがあるのかなと思っているので、宮本佳林なりの解釈でお届けしたいなと思います。
ーーでは今回のミュージカル、注目してもらいたいポイントはどういった部分でしょうか?
全く宮本佳林を知らないよ、という方も絶対来られると思うので、そういった方には宮本佳林の歌の良さや、伝える力みたいなものが届いていけばいいなって思いますし、
あまり“演技をしてきた”というほどやってきたわけではないので、宮本をもともと知ってるよっていう方にも「こんなふうに演技するんだ」「佳林ちゃんってこんなふうにも歌えるんだ」とか、新しい宮本佳林の一面も知っていただけたら嬉しいなと思います。

ーーフジテレビでも2016年放送のドラマ『武道館』に出演し、素晴らしい演技をされていましたが、先ほどから演技についてはご自身では苦手意識があるんですね。
その節はお世話になりました(笑)
そうですね、演じる度に才能のなさを自分で感じちゃうみたいなところがあって…、なので昔から私は演技は苦手ですって思ってるんですけど…
でも苦手だから諦めるじゃなく、やっぱり今回こうして演じると決まったからには、得意か不得意とかじゃなく何かを伝えられるように頑張りたいなと思いますね。
Juice=Juiceを卒業したあとはソロアーティストとして活動を続け、2025年6月には4枚目シングルを発売するなど精力的に活躍する宮本さん。
アーティスト・宮本佳林としてのこれからや、最近「好きかも?」と思い始めたというカメラについても伺いました。