「メンズ・ノンノ」のモデルとして活躍する一方、俳優デビュー作「蜂蜜と遠雷」で国内映画賞の新人賞を総なめにした演技力で話題の鈴鹿央士さん。
そんな鈴鹿さんが、連続ドラマ単独初主演を飾る土ドラ『クロステイル ~探偵教室~』が、4月9日からスタートします。
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本作は、主人公の飛田匡(とびた・たすく/鈴鹿)が、突然、失踪した父親・迅平(じんぺい/板尾創路)を捜すため、探偵学校に入学することから始まる、探偵の卵たちの成長物語。
依頼者に寄り添い、心の謎を解き明かし、明日への一歩を踏み出させる──それが探偵の本分だと学ぶ匡を演じる鈴鹿さんに、役どころや探偵に対する印象、今学びたいことなどを聞きました。
<鈴鹿央士 インタビュー>
実習で知った探偵の仕事に感激「気持ちの強さと温かさに、尊敬の念が湧きました」
──連続ドラマ単独初主演となる本作のオファーを受けた時の心境は?
“連ドラ単独初主演”という言葉だけを聞くと、責任感やプレッシャーを感じますけど、作品をよくしようとか、自分の持てる感情や愛情をすべて作品に込めていこうという思いは、どの作品に入る時とも変わりません。今は、毎日撮影が楽しくて、すごくポジティブな気持ちです。
──台本を読んだ感想を教えてください。
スピーディな展開とテンポ感のある会話が面白いと思いました。そして、1回読んだだけでは分からない深いところに、メッセージやポイントが込められているのがすごいなと思いました。
最初に台本を読んだ時には、面白いと感じるだけだった部分も、何度か読んだり、自分が演じたりする中で、「ここは、ここにつながっているんだ」とか、「この人って、こういう感じだったけど、こうなるんだ」などと気づきましたし、伏線がたくさん隠されていますね。
人物が深く描かれているので、いろいろなところに注目して見ていただきたいですし、僕自身もそういうところを見逃さずに演じていかないといけないなと思っています。
──演じる飛田匡の人物像をどう捉えていますか?
破天荒なお父さんと、天然でかわいらしいお母さん。匡の“安定志向”は、そんな両親に育てられたからこそ培われた要素だと思います。ただ、お母さんやお父さんの血を受け継いでいるなと思うところもあって、人間味のある人物ですね。
両親含め、探偵学校の仲間など周りは濃いキャラクターばかり(笑)。匡は、素直な性格なので、周りに振り回される中で、その人たちのいいところや特色をうまく汲み取って成長していくのではないかと思います。
──鈴鹿さんが抱いていた探偵はどんなイメージですか?
虫めがねで地面を見て、足跡や痕跡がないか捜しているイメージでした。でも、クランクイン前に、探偵の方にお話をうかがったり、実習を受けたりしたら、まったく違いました(笑)。
──どう違いましたか?
僕が想像していたイメージより、もっと泥臭いというか…。たとえば、対象者を尾行する時は、目を離してはいけないので、根気強さが必要です。それは、僕が思っていた以上に過酷で、本気で取り組まないとできない仕事だと実感しました。
でも、心はすごく温かくて、やさしいんです。探偵は、依頼者と共に明日への道を作って、一歩を踏み出す勇気を出すお手伝いをする仕事。そのために、真実をきちんと知る、という気持ちがすごく伝わってきました。
自分を犠牲にして、依頼者の人生のために尽力する。その気持ちの強さと温かさに、尊敬の念が湧きました。
尾行のスキルを習得したら「マネジャーさんの私生活を見てみたい」
──ご自身は、探偵に向いていると思いますか?
僕は、ちゃんと人を理解したいという思いで生きているので、「この人、気になるな」「この人、どういう生活しているのだろう」など、結構、いろいろなことを考えてしまうタイプ。決して、ストーカーではないですけど(笑)、気になる人のことを知りたいという興味や探究心はあるので、意外と探偵に向いているんじゃないかと思います。
──探偵の実習で撮影時に役に立ったものはありますか?
対象者を尾行する時は、証拠を押さえるためにビデオカメラで撮影するのですが、時間や場所を記録することが必要で、駅名やビル名などを撮影するんです。そのために、いろいろなところに目線を向けます。
匡は、探究心が強くて、視野が広い人だと思うので、周りが見えているということを表現する上でも、“視線を配る”というのはリンクするかなと思っています。
──探偵スキルの中で、ご自身が習得してやってみたいものは?
僕らが探偵の方を尾行するという実習がありました。尾行していることがバレないことも大切ですが、相手の視野に入っても怪しまれないようにすることが大事なんです。そのためのいろいろなスキルが劇中にも登場するので、楽しみにしてください。
このスキルを習得したら、マネジャーさんを尾行してみたいですね(笑)。現場では一緒にいますけど、私生活は謎なんです。どういう生活をしているんだろうと気になっているので。
──“クロステイル”とは、接近して見るという探偵用語です。鈴鹿さんが今、接近したい人はいますか?
BTSです!ハマったきっかけは、僕はよくシャッフルで音楽を聞くのですが、そこでBTSの音楽が流れてきて、めちゃくちゃカッコいいなと思ったこと。
ステージ上でもカッコいいですし、ファッションもカッコよくて。同じ洋服は着られないけれど、組み合わせや着こなしを参考にして、私服に取り入れたりしています。
もし、彼らに会えたら、「毎日、元気もらっています。ありがとうございます」と言いたいです(笑)。
──探偵学校を舞台に、個性豊かなキャラクターが登場する群像劇でもあります。共演者の印象を教えてください。
ジョーカー探偵社代表で探偵学校の校長・新偕理子を演じる檀れいさんは、あまりの美しさに圧倒されて、頭が働かなかったです。「ちゃんとやらなきゃ!」と思っても、緊張してソワソワしちゃいました。その日の収録が終わった時、檀さんが「撮影頑張ってね」と、肩をポンポンしてくださって、もうやる気満々です(笑)。
匡と同期入学した生徒・芹沢朋香役の堀田真由さんは、クラス最年少の匡と一番年が近くて、席が隣ということもあって、同世代の話をしています。
匡の父親役の板尾さんは、役柄はぶっ飛んでいますが、ご本人は物静かな方。でも、とても気さくにお話してくださいます。僕は細身で、食べてもあまり筋肉がつかなくて悩んでいたら、板尾さんも僕と同い年くらいのころは細身だったとおっしゃって、「30歳過ぎたら、お肉もつくようになるよ」って(笑)。そういう話ができるくらいいい雰囲気です。
学びたいものは「哲学」深掘りしたいものは「愛」
──匡が探偵学校に入ったように、ご自身が学びたいことはありますか?
哲学です。僕も、匡のように深掘りする性格なので、ある一つの物事に対して、本来の意味を追求したり、いろいろな視点から分析したりするタイプです。
物事を多面的に見ることは、人生を考える上でも大切なので、なるべく多くの考え方や分析する方法を持っていたいと思っています。そのためには、哲学を学ぶのがいいのかなと思います。
──では、哲学的に深掘りしてみたいモノはありますか?
“愛”ですね。昨年は、愛されない役を演じたこともあって、愛ってなんだろうと考えることが多く、愛についての本を読んだりしていました。その愛とは、恋愛ではなくて、人への愛やモノへの愛、環境への愛です。
でも、やっぱり答えは見つからなかったし、いろいろな先輩や大人の人に聞いても明確な答えは出てこなかったので、人生の中でずっと考えていくものなのだろうな、という答えにたどり着きました。だから、“愛”はずっと深掘りし続けていきたいです。
──匡は、父親から「匡には、人が見過ごしてしまうような些細な苦しみや悲しみを解決する力がある」と言われます。鈴鹿さんは、人と違う“強み”はありますか?
“人生なんとかなる”と思って生きているところです。何が起きても生きていれば、それだけでOKだと思っているので、いい意味での“気楽さ”は強みなのかもしれません。
仕事では、なんとかなるでは済まされないこともありますが、“失敗してもへこたれないで次につなげる”“なんとかなるっていうために、なんとかする”という意味もあって、それは負けん気にもつながっているのかもしれないですね。
──そんな鈴鹿さんが、今後演じてみたい役柄、作品はありますか?
なんでもやってみたいです。僕は今22歳で、大学を卒業する年齢ですけど、高校時代の同級生は国家試験を受けたり、卒業論文を書いたり、就活をしたりしています。
彼らは、これから自分の選んだ仕事をするわけですが、俳優という職業は、探偵になれたり、空港で働けたり、漫画制作会社で働けたり、22歳だけど高校生になれたり…。僕自身は、いろいろな人生を経験したいと思っているので、なんでもやりたいです。
──最後に、ドラマを楽しみにされている皆さんへメッセージをお願いします。
探偵学校が舞台なので、探偵スキルやさまざまな機材など、僕も初めて知ることが多く、いろいろと教えていただきながら演じていきたいと思っています。見ている方も、「こうやって尾行するんだ」とか、「盗聴・盗撮は、こうやって調べるんだ」「こうやって証拠を押さえていくんだ」など、知ってもらえたらいいなと思います。
そして、調査を進めていく中で、匡が人の心を理解していく姿を見て、皆さんが“人間は、いろいろとやらかしてしまうこともあるけど、それでも愛おしい生き物なんだ”と感じ、明日を生きていくためのポジティブさを受け取ってくださったらうれしいです。僕たちもそういう気持ちで取り組んでいるので、ぜひご覧ください。
撮影:今井裕治
スタイリスト:尾花幸恵
ヘアメイク:遠藤一明