写真家・映画監督の蜷川実花が、6月12日(金)より渋谷パルコ内のPARCO MUSEUM TOKYOにて新作写真集「東京 TOKYO」刊行記念写真展「東京 TOKYO / MIKA NINAGAWA」を開催。6月11日(木)にメディア内覧会が行われ、蜷川がメディアの取材に応じた。

渋谷パルコは6月1日(月)に営業を再開していたが、同施設内にあるPARCO MUSEUM TOKYOでは同写真展が営業再開後初の企画に。蜷川が、“東京”と向き合ってシャッターを切り続けた2年間、500点以上もの写真や映像作品が展開されている。

蜷川は「なぜ今、“東京”というテーマで撮影したのか?」と聞かれると、「2020年に東京オリンピックもあり、今かなと思いました。また、東京生まれ東京育ち、東京にしか住んだことがないので、いつかやりたいなという思いがあったけど、なかなか腰が上がらなかった。一昨年に映画2本とドラマを撮影して、今だったら向き合えると思い、そこから始めました」と企画をスタートさせた当初を回顧した。

新型コロナウイルスの影響で東京オリンピックの延期など、生活にざまざまな変化が生まれているが、「いろんなことがあり、それが写真に写りこんでいて」といい、「写真は面白いものだと改めて思いました」と感慨深い様子で明かした。

今回の写真展では自身のプライベートシーンを切り取った写真も多いが、「プライベートを写真に写すのは、今まで一切やっていないんです。これまではセットアップして、日常の中にあるファンタジーのような瞬間を切り取ってきた」という蜷川。

「なので、自分の生活に密着しながら撮ったこともないし、撮る時は撮るぞという思いで一眼レフを持ってきていたので、普段カメラを持ち歩くことも実はなかったんです」と告白した。

写真展で飾られている写真は、「写ルンです」や携帯で撮影されているもので、「カメラにこだわらず、写真だけで向き合うことも初めてでした」としみじみ。

映画撮影の時期に撮り始めたことが大きかったともいい、「100人くらいのスタッフと1個のモノを作り上げていく作業をしていた中で、カメラ一つで自分の何も作りこんだモノではない世界観でどんな表現ができるかが挑戦でした。技術的なものには何も頼れない。今だったらどんなものが撮れるかやってみたかったんです」と凛々しい表情で心境を。

続けて、「映画など大掛かりになればなるほど、得意技を入れながらモノを作っていかないと怖い部分があって」と打ち明け、「だから大きいモノをやっている時は、逆に何もなくした状態でやってみたいという思いが、今までも同時期に湧き上がっていたのですが、今回はそれが顕著に出たと思います」と振り返った。

今回の撮影を通して、「その時の空気感だったり、写っている人たちとの関係性がより顕著に出たと思うので、写真の持つ力を感じました」とニッコリ。

また、 自分の日常生活を切り取ったことで、「現実と非現実の間を行き来する日常を過ごしていると感じた」といい、「ちょうど映画を撮影していたので、いろんなスターの方が写っていたり、物語と現実の境界線が曖昧な人生が写っていると思いました。よく見ると、本当にいろんな方が写ってるので、面白いと思います」と笑顔を見せた。

今回は会場の様子を3DビューでPARCO ARTのWEB SITEから無料鑑賞できるオンライン展示も併催。会場内を移動、360度見渡すなど、自宅にいながらあたかも実際に展示会場に居るような鑑賞体験を楽しむことができる。

「会期が短いことや、人混みに行きたくない人も多いと思いますので、少しでもいろんな人に見てほしくて。もちろん現場に来て見ていただく面白さはあると思うけど、それでも見てもらえる間口が広がったほうが今はいいと思いますし、これからはどんどんそうなると思う」と、自身が思うコロナによる変化もコメント。

さらに、「できることはなんでもしたいし、ちょっとでも楽しくなることはみんなで共有したいですね。私ができることは何でもしたいですね」と誓っていた。

<「東京 TOKYO / MIKA NINAGAWA」公式サイト>