編集部おススメの“麗しい男性”を紹介する「眼福♡男子」Vol.85は梅津瑞樹(うめつ・みずき)さんが登場。

中学・高校で演劇部に入り、大学では芸術学部に入学。その後、劇作家・鴻上尚史さんが率いる「虚構の劇団」へ入団。2015年に初舞台を踏み、ストレートプレイから2.5次元作品まで、幅広く活動中です。

そんな梅津さんが今回、リーディング(朗読)に生バンド演奏と歌唱が交わることで誕生する“Reding Pop”という新ジャンルに挑戦。

世界的名作に新たな表現方法で臨む思いや本番への意気込み、そして、20代最後の年を迎えた心情と近況を聞きました。

松崎さんも健も演じながら遊ぶことが好きそうな役者さん

――今回のプロジェクトを初めて聞いたときはどんなことを感じましたか?

まずは生バンドがすごく楽しみでした。僕は時々、ジャズバーへ行くのですが、曲のジャンルは違えど、舞台上で音楽にふれることができるのは期待しかありません。

――男性キャストのみの「Homme ver.」、女性キャストのみの「Femme ver.」に分かれての上演ですが、共演の松崎祐介(まつざき・ゆうすけ/ふぉ~ゆ~)さん、納谷健(なや・たける)さんについて聞かせてください。

健とは舞台『刀剣乱舞』で共演していて、松崎さんとは2018年の「デルフィニア戦記~動乱の序章~」以来の共演となります。といっても、僕はアンサンブルの1人としての出演だったので、おそらく、松崎さんは覚えていないんじゃないかな。あれから4年が経ち、今度はメインキャストとしてご一緒させていただくのは、面白いめぐり合わせだと思いました。

――松崎さんと納谷さんの印象は?

僕の知っている松崎さんはとても遊び心のある方。同じように健も、演じながら遊ぶことが好きそうなタイプで、先日会ったときに伝えたら「そんなことないよ」と笑って否定されました(笑)。異色の組み合わせの3人ですが、楽しんで演じられたらいいですね。

両親と食事をしている時間が僕にとっての“青い鳥”

――朗読劇はこれまでも何本か経験していますが、演じることにおいて、普段のお芝居と意識の違いなどあるのでしょうか?

一口に朗読劇といっても、作品によってやり方は変わってくるのですが、身体的な表現が使えない分、声の表現にウエイトが置かれるのは当然の話で。違いは呼吸感でしょうか。セリフとセリフの合間の呼吸、そういったものは普段の芝居と変えているような気がします。

――今回の作品は、チルチルとミチルのきょうだいが青い鳥を探す名作「青い鳥」をベースに進行するそうですが、子どものころに「青い鳥」を読んだことはありましたか?

あります。ハッピーエンドなんでしょうけど、どこか寂しさも含んだ物語で、子ども心には飲み込みづらかったような記憶がありますね。

――物語は「幸せとは何か?」「本当に大切なものは身近にある」と伝えていますが、この教訓についてどう思いますか?

幸せはすぐそばにある――裏を返せば「目の前にあるものや身近にあるものを大切にしなさい」ということですが、“幸せ”って実際にはあまり転がってなくないですか?

もちろん、何かが転じて幸せになることはあると思うのですが、難しいですよね。僕は美味しいごはんを食べているだけで幸せですし、一人で読書をしている時間も幸せです。

――梅津さんにとっての“青い鳥”は何ですか?

青い鳥=身近にある幸せと解釈するならば、両親と食事をしている時間が特に幸せです。他には、閉まっているシャッターに向かって、酔っぱらったオジサンが夜中に怒鳴り散らしている姿などを見かけると、「あぁ、人間だな」って(笑)。その人にとっての真実みたいな瞬間に立ち会えたときは、なんだかうれしくなってしまいます。

“悪いこと”の経験皆無を後悔。ナイトプールは見ておけばよかった(笑)

――昨年は初めてのテレビドラマ『あいつが上手で下手が僕で』に出演するなど、多忙を極めたと思いますが、振り返ってみてどんな年でしたか?

一昨年もそうでしたが、2021年は怒涛の年でした。テレビドラマに関していえば、初めてのことをたくさん経験させていただきましたし、その続編を年末に舞台でやったときも楽しみながら演じることができました。

これは学生時代に講義でやったことなのなのですが、人間は寒い時期になると骨盤がしまってくるそうなんです。冬に気持ちが滅入ったり、精神的に鬱屈してしまったりするのは、体の構造とも関係していると。

例年はややローテンションで迎えるこの季節ですが、昨年後半に貴重な体験をしたことで、僕としては末広がりのいい年の始まりを迎えられました。

――少し前に29歳の誕生日を迎えましたが、30歳を目の前にして、どのような思いがありますか?

「あなたの精神年齢は?」みたいなゲームがあるじゃないですか。僕は昔から、老人のような精神年齢をたたき出すことが多く、精神的な成長も小学生ぐらいで止まってしまっているのですが、この年齢になってもさほど変わらないという心境です。僕自身が成長性のない人間なので(笑)、ずっとこのままなのかもしれません。

19歳が20歳になるのと、29歳が30歳になるのとでは意味合いがだいぶ違うと思うのですが、だからといって「次のステップに行くぞ」みたいな気負いはないんですよね。世間的にはあるものなのですか?

――“30歳”を節目と考える人も多いと思います。

そうなんですか(苦笑)。僕がまわりの方へ「そろそろ30歳なんですよね」みたいな話をすると、「悪いことは20代のうちにやっておいたほうがいいよ」って言われるんです。「悪いことって何だろう?」と考えたら、意外と何もしてきていないなと。

優等生的な回答になってしまうので誤解してほしくないのですが、“悪いこと”の経験が本当にないんです。ナイトプールを想像で語ったことはあるけれど、実際には行ったことがないから、どういう人たちがナイトプールに集っているのか見ておけばよかったなって。決して、ナイトプールが悪いと言っているのではなく、あくまでもたとえ話です(笑)。

クラブはアルバイトで行ったことがあるので、なんとなく知っているんですよ。人間のプリミティブな面が表出していて、それはそれで面白かった。そういう遊びをしておけばよかったという後悔はあります。といっても、ギリギリ20代ですから、行こうと思えば行けるんですよね。だからといって、行く気もあまりないのですが(笑)。

まだ無茶ができる年齢ですが、その無茶が想像つかないんです。芝居を立て続けにしているのも自分の中では無茶なこと。突拍子もないところで生きている感じがずっとしていて、夢なら醒めないでほしいです。

明日がどうなるかなんてわからないけれど、流れを楽しめる人でありたい

――コーナー名にちなんで、梅津さんの眼福な存在な何ですか?

本屋さんですね。古本屋街の神保町を歩いていると、店の外にもたくさんの本が積まれていて、それを見ているだけでも眼福です。店内に入って、茶色く変色した背表紙の本がずらりと並んでいる光景を見ると、「あぁ、嗅ぎたい」って(笑)。

紙の香りが好きなんですよ。最近はあまりないのですが、舞台の本読みの日に、刷ったばかりのホカホカの台本が届いていることがあって、古本とはまた違ういい香りがするんです。

――ファンの皆さんへメッセージをお願いします。

今年も昨年同様、皆さんの想像がつかないようなことが多数起きる予定なので、いい意味で期待を裏切っていきたいと考えています。“一寸先は闇”といいますが、僕自身、明日がどうなるかなんてまったくわかりません。その流れを楽しめる人でありたいです。

「「Reading Pop『青い鳥』~メーテルリンク『青い鳥』より~」

【Femme ver.】
公演日・会場:2月3日(木)~6日(日)/ヒューリックホール東京
出演:岡田奈々(AKB48)、菅田愛貴(超ときめき♡宣伝部)、水夏希

【Homme ver.】
公演日・会場:2月10日(木)~13日(日)/ヒューリックホール東京
出演:梅津瑞樹、納谷健、松崎祐介(ふぉ~ゆ~)

最新情報は、「Reading Pop『青い鳥』~メーテルリンク『青い鳥』より~」公式サイトまで。

撮影:河井彩美

ヘアメイク:小倉優美