「小野さんといると、自分を出しやすい」と思ってもらいたい
――小野さんにとって、ヤマトクルーはどんな存在ですか?
古代は、周りにたくさん仲間がいるのに1人で責任を背負うとするところがあるので、そこは僕自身も演じていて苦しかったです。でも劇中では、古代が何か決断するときに絶対誰かが背中を押してくれるので、救われました。
例えば、古代の婚約者であり、補給母艦アスカの艦長でもある森雪が「全員で背負う!」と言葉をかけたり、後輩・土門竜介が背中を押したりしてくれるところに、グッときましたね。僕自身も、同期や先輩に背中を押されることもあれば、後輩の芝居を見て心を突き動かされることもあるんです。
――古代が、畠中祐さん演じる土門の作戦を受け入れ、作戦指揮を任せるシーンが印象的です。どんな気持ちで演じたのですか?
古代は、ことさら土門の背中を押そうとはしません。若い頃の古代と、今の土門は考え方がよく似ていて、もはや土門=古代とも言えるのではないでしょうか。だから「お前はこうしたいんだろ。俺もそう思うから一緒に来い」という意思を、言葉にせずとも伝えられた気がします。
「古代進=小野大輔」であるように、「土門竜介=畠中祐」に感じられて、古代の気持ちとすごくリンクしました。
――以前、「今後は若手を育ててみたい」と話していましたが、やはり古代と同じく「背中で語る」ように育てたいですか?
そうですね。自分もそうでしたけれど、口であれこれ言われても、みんな聞かないですし(笑)。僕は、カッコいいなと思う先輩を見て勉強していきました。それこそ石塚運昇さんや、藤原啓治さん。お2人とも言葉ではなく、たたずまいや背中で教えてくださる姿が大好きでした。しかも、周りに気を遣わせることがないんです。そこに自然といて、行く先を指し示してくれる。僕もいつか、お2人みたいな先輩になりたいです。
――小野さんも普段から、気を遣わせない雰囲気を大事にしているのですか?
なるべくそうしています。まだまだ遠く及ばないですけれど(苦笑)。「小野さんといると、しゃべりやすいな、自分を出しやすいな」と思ってもらいたいので、後輩をすごく褒めるようにしています。「あの言い方すごくよかった!」とか「本番では採用されなかったけど、テストでの芝居も好きだったよ」とか。うまくいかないときも、「ダメだった」ではなくて、できるだけ褒めます。
――今作で、若手キャストの方とお話しする機会はありましたか?
あまりなかったのですが、(畠中)祐には、取材や別作品の現場で一緒になったときに「土門そのまんま、お前だね」という話をしていました。徳川太助役の岡本信彦くんは「あぁ、徳川彦左衛門(声・永井一郎)の息子っぽい!」と思いましたし、板東平次役の羽多野渉くんもすごく良くて、会ったときに感想を伝えました。