松本白鸚が主演を務めるミュージカル「ラ・マンチャの男」が2022年に上演される。その製作発表が12月16日(木)に行われ、白鸚と松たか子が登壇した。
「ラ・マンチャの男」は、スペインの国民的小説「ドン・キホーテ」を原作としたミュージカル。1965年にブロードウェイで初演され、日本では1969年の初演より松本白鸚が主演を務めてきた。
単独主演50周年を迎えた2019年の公演時には、通算上演1300回を達成。今回、約2年ぶりの上演となり、松本白鸚主演による「ラ・マンチャの男」はファイナル公演となること、松が2012年公演以来久しぶりに本作に出演することがすでに発表されている。
製作発表の場に姿を見せた白鸚は、「初演は26(歳)でございました。(セルバンテス/ドン・キホーテを演じて)もう50年以上になります。本当に感無量でございます」と、しみじみコメント。続けて「50年以上上演できましたのは、スタッフ、キャスト、関係者の皆さま方、家族、友人、兄弟たちのおかげ。自分は人間として、俳優として幸せでございます。皆さまにご迷惑をおかけしないように、無事に千穐楽を迎えられたら」と、感謝と今公演に対する意気込みを。
約10年ぶりの出演となる松は、「また出演するチャンスをいただける日がくるとは、本当に思っていなかった」と驚いた表情を見せる。そして「できるのか、やっていいのかと自分なりに考えましたが、いただいたチャンスを使い、“自分”を使い果たしてこの公演に臨みたいと思い、出演させていただくことになりました。自分の全部を捧げて、ベストを尽くしたいと思います」と、力強く語った。
1人の役者が同じ役を50年以上も演じ続けることは異例のこと。「なぜ、ここまでセルバンテス/ドン・キホーテを演じることができたのか」という質問に、白鸚は「切符を買い、見に来てくださったお客様がいたからこそ、(上演が)続いているんだと思います。お客様の力です」と、ここでも感謝を口に。
また、「演じ続けてきたことで感じる、役や作品の魅力」を聞かれると、「50年以上やってきたので、作品のテーマと俳優・白鸚の生き方が一緒になっちゃった(笑)」とちゃめっ気たっぷりに話し、笑いを誘う場面も。「“あるべき姿”のために戦う心を失わないように演じてまいりました」と、そんな登場人物こそが作品の魅力だ、とした。
「これまでの公演で思い出深い出来事は?」という質問には、「この作品のテーマでもある『見果てぬ夢(The Impossible Dream)』という歌は、父や私をミュージカル俳優として見出してくださった菊田一夫先生へのレクイエムとして歌っているのですが、あるとき客席から『No mueras.』と聞こえてきたことがあって。あとで調べたらスペイン語で『死なないで』という意味だそうで、ドキッとしました」と、ある日本での公演でのエピソードを披露した白鸚。
そして、先日逝去した弟・中村吉右衛門さんの話題に触れ「レクイエムを捧げる人が1人増えてしまいましたね…」と、寂し気な表情を見せる。「別れはいつでも悲しいものです。たった1人の弟でしたから。でも、いつまでも悲しみに浸っていてはいけないと思います。それを乗り越えて、跳ね返して、お稽古をして、2月の本公演で皆さまに“見果てぬ夢”をお伝えしたいと思います」と、気合を入れ直した。
松も「叔父の舞台をもう見られないと思うと、心から残念に思います」と、吉右衛門さんへの思いを吐露。続けて「先日まで上演していた舞台の、東京での千穐楽の日に(亡くなったという)知らせを聞き、大阪の初日に、叔父に対して『幕を開けてやったぞ!』という気持ちになって(笑)。やっぱり私たちは、舞台に立ち続けることでしかお返しや感謝ができないんだなと思い、心からお悔やみを申し上げているところです」と語った。
フジテレビュー!!では、ミュージカル「ラ・マンチャの男」製作発表の詳細なリポートを後日掲載予定。お楽しみに。
ミュージカル「ラ・マンチャの男」は、2022年2月6日(日)より日生劇場にて上演。
最新情報は、ミュージカル「ラ・マンチャの男」公式サイトまで。