全世界が最新作を待ち望むアニメーション監督・新海誠。少年少女の物語を美しい色彩と、音楽で紡ぎ出す“新海ワールド”は、多くの人々を笑顔にさせている。
そんな新海監督の最新作製作発表会見が、12月15日(水)に行われた。
新海監督にとって、「君の名は。」(2016年公開)「天気の子」(2019年公開)に続き3年ぶりの新作となる本作。
新海監督は、最新作のタイトルを「すずめの戸締まり」と発表。また、内容について「公開は来年の秋ということで、まだ先でお話しできないこともあるのですが、3つのキーワードでこの作品を説明させていただければ」とコメント。
「1つ目は、『この映画は日本列島各地を巡るロードムービーである』ということ。2つ目は『扉を開いていく物語ではなく、扉を閉じていく物語である』ということ。3つ目は、『映画館に足を運ぶ理由となる作品を作りたい』ということです」と説明。
続けて、「1つ目のロードムービーということについては、この映画は、日本全国を広く舞台にした冒険物語です。『君の名は。』や『天気の子』のような映画を作り、各地で舞台挨拶をすると、映画を見終わったお客様から、『次は私の街も舞台にしてください』と言われるんです。今回は、ロードムービーにすることで、各地の様々な風景や魅力的な人々や、特別な出会いを描くことが出来るのではと考えて、今回は欲張った映画となっています」
「2つ目の、扉を閉じていく物語については、なにかを始めることよりも、終わらせることの方が難しいと思います。映画作りもそうですし、恋愛や家族関係もそうです。あるいは、僕たちの少子高齢化が進んでいくこの国にとっては、いろいろな出来事が始めることよりも閉じていくことの方が難しいと感じることが多くなってきました。なので、今作るべきは、いろいろな可能性を開いていく物語ではなくて、ひとつ一つの散らばってしまった可能性をもう一度見つめて、あるべき手段で閉じていく。そういう物語を作るべきなんじゃないかという風に思いました。なので今回は扉なんです」
「最後に、映画館に足を運ぶ作品作りについては、昨今、配信が全盛期で僕も寝る前に『今日はこれを見よう!』と毎晩楽しみにしているんです。ただ、劇場というものは人間の持っている特別な能力を発揮させてくれる場所なんじゃないかと思うんです。その特別な能力とは、感情移入したり、物語に没入する能力だと思います。おうちで配信を見ていても、もちろん発揮されるんですけど、映画館に足を運んで、暗闇の中で大きなスクリーンを見ることによって、最も強く発揮できるんだと思うんです。そういうことが出来るような絵作り、音作りをしていきたいと思います」と思いを語った。
また、イベントには新海監督作品でヒロインを演じた上白石萌音と森七菜の2人が、ステージ中央にある本作を象徴する扉から登場。
「君の名は。」で、ヒロインの宮水三葉(みやみず・みつは)を演じた上白石は、「今日は、最新作の製作発表という、こんな舞台に立つことが出来て、とても光栄に思っています。こうやって、監督横でマイクを持つと、『君の名は。』の製作発表のことを思い出します。本当に手が震えるほど緊張していました。その隣では、新海さんの大ファンの神木隆之介さんが、しゃべっていて(笑)。これから何かすごいことが始まるのかなという風に思いました」と振り返った。
そして、「あれから、ずいぶんと時間も経って、あの時よりも会場が大きくなり、記者の方の数も多くなって、まぎれもなく今の新海誠監督の最新作の製作発表なのだと実感しています。私が登壇したことを知ったら、神木さんは歯を食いしばって悔しがると思いますが、今はファン代表として、そして、新海ファミリーの一員として楽しく過ごさせていただきます」とコメント。
「天気の子」で、ヒロインの天野陽菜(あまの・ひな)を演じた森は、「監督と顔を合わせるのが久しぶりで、ちょっと緊張します。私は今は、上京してきたのですが、当時は田舎の大分の子だったので、よくこんな私を(ヒロインに)選んでくださったなと、改めて思いました。そして、次の作品をすごく楽しみにしています」と笑顔で語った。
<「すずめの戸締まり」 あらすじ>
九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、「扉を探しているんだ」という旅の青年と出会う。
彼の後を追うすずめが山中の廃墟で見つけたのは、まるで、そこだけが崩壊から取り残されたようにぽつんとたたずむ、古ぼけた扉。
なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが…。
やがて、日本各地で次々に開き始める扉。
その向こう側からは災いが訪れてしまうため、開いた扉は締めなければいけないのだという。
——星と、夕陽と、朝の空と。
迷い込んだその場所には、すべての時間が溶けあったような、空があった——
不思議な扉に導かれ、すずめの“戸締まりの旅”がはじまる。
©2022「すずめの戸締まり」製作委員会