視聴者が“今最も見たい女性”に密着し、自身が課す“7つのルール=こだわり”を手がかりに、その女性の強さ、弱さ、美しさ、人生観を映し出す新感覚ドキュメント『7RULES(セブンルール)』。
7月7日(火)放送回では、高円寺の老舗銭湯「小杉湯」の番頭・レイソン美帆に密着。銀行員から転身し、名物番頭となった彼女。「本当に自分がいるべき場所が見つかった」と、職場を慈しむ彼女のセブンルールとは。
ルール①:エプロンの右ポケットには100円 左ポケットには50円
酒粕や、みかんの皮など、廃棄処分されるものを業者から譲り受けて再利用する「もったいない風呂」の取り組みをしている小杉湯。手間をかけて風呂を作る分、従業員の数も多く、パートを含め30人以上が、清掃や仕込み、番台など、担当ブロックごとに働いている。
裏方をまとめる役割を担うレイソンは、タオルの洗濯や買い出しなど、開店前には走り回る。忙しい日々の中で、自然と身についたルールが、100円玉を右ポケットに、50円玉を左ポケットに常備すること。
小杉湯に併設しているコインランドリーで、1日に洗濯するタオルは600枚以上。1回の利用料が150円の洗濯機を使う時、このルールがわずかだが時間短縮の助けになる。
ルール②:常連を特別扱いしない
利用客にラフな口調で話しかけ、コミュニケーションを取る彼女は、特に「ありがとう」「ごめん」を声に出すように意識しているという。
悪いと思ったことはすぐに謝り、違うなと思ったことは、常連でもきちんと注意する。「『常連なんだからいいだろ』っていう人もいるの。でもそれは違うなって思っていて、常連の人でも普通の人でも、対応は変わらないし、しゃべり方も変わらない」というのが、彼女の接客ルールだ。
ルール③:1回会ったら友達
宮崎県で、野山に囲まれ育った彼女は、進学を機に上京。卒業後は銀行に就職したが、やりたい仕事ではなかったという。何がやりたいのか、自分の好きなものは何なのか、わからずに過ごしていた時に出会ったのが、小杉湯だった。
持ち前の明るさを活かして企画した、訪日外国人に銭湯の魅力を伝えるツアーで出会ったのが、夫・クリス。2人は現在、高円寺から電車で1時間半の、奥多摩への移住を計画している。
物件探しの道中、会った人に誰彼構わず声をかける彼女。立ち寄ったお宅では、畑仕事をする男性に、「お母さんいる?」と親しげな様子を見せるが、会うのは2度目だという。「会って話して『初めまして』『こんにちは』って言ったらもうお友達。1回会ったら友達」と笑って話した。
ルール④:1人にして欲しいときは「SPACE!」
イギリス人のクリスとは結婚1年目の仲良し夫婦。しかし、文化の違いに悩むことも少なくない。
彼女のオススメのレストランで、注文したものを食べきれず帰った時、帰宅直後にパンを食べ始めたクリスに激怒したという。「その顔見たら、ウワーオ!私の彼女バケモノになりました」と、クリスは振り返る。
そんな生活の中で生まれた夫婦のルールが、どうしても1人になりたい時には「SPACE!」と言って距離を取ること。
仕事で疲れ、相手に対して優しくできない時、自分の1人の時間がほしい時、きちんと距離をとって、心の隙間を埋める。それがお互いへの思いやりとなる。
ルール⑤:息抜きはゴシップニュース
仕事の合間にレイソンが向かったのは近所の本屋。アメリカのゴシップ誌を買い求めていた。
重すぎず、笑い飛ばせるようなゴシップを読むと、「セレブって大変だな、それに比べたら私って全然大変じゃないなって思えてくる」のだという。「どうでもいいな」とつぶやきながら、スマホの画面に夢中になっていた。
ルール⑥:ダサい格好をする
週に1度開かれる、小杉湯の主要スタッフによるミーティング。浴室内に貼るポップのデザインについての話し合いで、彼女は自身が感じた違和感をはっきりと言葉にしていた。
小杉湯を大切にする気持ちは変わらないからこそ、衝突することもある。そして、自分自身が出会い、癒されたこの場所を近寄りがたい空間にしないため、彼女は“ダサい”格好で小杉湯の敷居を下げている。
ただ、実は自分ではかっこいいと思っているのだと、こっそり明かした。
ルール⑦:見る 聞く 振り向く
閉店後の夜間清掃時、普段は寝ている彼女だが、清掃する若者を撮ってほしいと、撮影スタッフを呼び出した。「私がやっていないところでも働くスタッフはいて。夜間清掃に入ってくれる時点でありがたいなと思うよね」と語る。
彼女は、銀行員時代は「見ない 聞かない 振り向かない」を三原則としていたという。見るとお願いされ、聞くと仕事が増え、振り向くと呼び止められる。それを避けるために立てていた三原則だ。
今、小杉湯で働く彼女に見られるのは、従業員に目を配り、お客さんの話に耳を傾け、いつも周囲を気遣う、かつてとは正反対の姿だった。
「今の自分がいるのは、楽しく働けているのは、みんなのおかげ。『美帆ちゃんの笑顔見るために来たんだよ』って言葉が、今日も頑張ろうって思わせてくれる。ラッキーだよ、本当に」そう語りながら、涙を浮かべた。
次回、7月7日(火)の『7RULES(セブンルール)』は、スタイリスト・百々千晴に密着。著名人からのオファーが絶えず、大島優子も「一番上手だと思う」と絶賛する人気スタイリストの7つのルールとは。