「天海祐希を辞めたいと思ったことはない」と、きっぱりと語る女優・天海祐希の素顔に、社会学者の古市憲寿が迫った。

12月2日(木)放送のフジテレビ『めざまし8』の「古市憲寿のエンタメ社会学」では、正義感あふれる役柄を多く演じ、「理想の上司ランキング」では6年連続で1位を獲得する天海をゲストに招いて放送。天海とプライベートでも親交のある古市が、天海の素顔を解き明かしていく。

宝塚音楽学校受験で「今年落ちたらもう2度と来ません」

1987年に宝塚歌劇団に入団し、93年に25歳という史上最年少で月組トップスターに就任。95年に退団してからは、映画、ドラマ、舞台で唯一無二の存在感で活躍し続ける天海に、宝塚歌劇団への入団秘話を聞いていく。

古市:中学校が演劇部なんでしたっけ?それは誘われて?

天海:いや、自分がやりたかったんですね。(先生が)三者面談のときに「この子は宝塚に入れたらどうですか?」って母親に言って下さって。宝塚に行ったら舞台に関すること、芸事のいろいろなことを学ばせてもらえると。

実際に受験するということになると 、やっぱり倍率は高いですし「いやー、甘く考えてたな」と思って。面接で「今年落ちたらどうしますか?」って言われたときに、今年1回だけって言う約束で両親に宝塚受験を許してもらっていたので、「今年落ちたらもう2度と来ません」って言ったんですよ。

古市:そんなケンカ売らなくてもね。

天海:そうでしょう?でもそれが本当だったんですよ。「来年は来ませんって」言えば良かったのに 、緊張してたのか「もう2度と来ません」って言ってしまって。面接官の先生が「は?」って(笑)。

向いていたと思う職業は「刑事」と即答

女優以外に「向いていたと思う仕事」についても話題は進んでいく。警視庁捜査一課の刑事役、トラブルをさっそうと解決する敏腕弁護士役、報道という仕事に使命感をもつキャスター役など、ありとあらゆる役を演じてきた中で、天海は「刑事、自分の知識と経験で誰かを守れる」と即答する。

天海:(普段も)道々に警察の方がいらっしゃるじゃないですか。そういう方を見ると、声はかけられないですけれど「ありがとうございます」って言いながら通ってます。

古市:本当に思っていそう 。

天海:思ってるんですよ本当に。

およそ10年前に放送され たドラマ『 BOSS 』(2009年、2011年)では、個性派刑事たちをまとめあげる上司役を演じた天海。その撮影現場での印象的だったエピソードも明かした。

天海:ちょうど警視庁の前の交差点を渡るというシーンを撮っていたんですね。そこに大きな車両に警察官の方たちが機動隊だったのかな?乗って、私の目の前を通ったときに、窓の中からちょっと目が合ったんです。で、何も言わずに私が敬礼したら、車の中からみんなが顔を出していて、ちょっと感動した。私は「皆さんのためがんばります」って思いながら。

母の日に玉山鉄二の母と直電話でサプライズ

ドラマ『BOSS』では、部下役で共演した玉山鉄二から、天海が「まさに正義の人」ともいえるエピソードが寄せられ、古市が読み上げて紹介する場面も。母の日に行われた撮影の合間に、共演者やスタッフに母親へ電話をかけさせ、1人1人と話をしたとのこと。

古市:「母の日に共演者、スタッフの母親に電話しなさいって、みんなのお母さんと話してくれました。僕の母と結構長電話をしてもらい、母は本当によろこんでいました」。すごいですね、母の日にたまたまお仕事で。

天海:玉ちゃん(玉山)のお母さんであったり、あと竹野内(豊)くんのお母さんであったり、ケンコバちゃん(ケンドーコバヤシ)のお母さんであったり、みんなに(電話を)代わって。うちの母も「いやー」とか喜んでいるから。あれはちょっと良い親孝行でしたね。

古市:天海さんってそういう、素敵なおせっかいが多いですよね。

天海:「素敵」が取れたらただのおせっかいじゃないですか。

古市: いやいやいや(笑)。おせっかいなんだけどすごい素敵だなと思って、全部エピソードが。

さらに玉山からは、天海のストイックさをうかがわせるこんなエピソードも寄せられた。

古市:「本番に俄然強い方なので基本NGはないですが、NGを出されたときは自分自身に異常に腹が立っているのを見たことがあります」

天海:玉ちゃん、ありがとう(笑)。そうですね、示しがつかないじゃないですか。だから自分に腹が立つ。

古市:でもその人生めちゃくちゃ大変じゃないですか?周りに対してもちゃんとそうやって優しくあって、自分に対してはすごい厳しくある。

天海:だって、これだけみなさんに見ていただけるような所でお仕事をして、自分の力量以上のお仕事をいただいたりして。そしたらそのくらい努力しなきゃダメですよ。

古市:努力が辛いなって思うことはないんですか?

天海:いやー、辛いなと思わない。やって当たり前だと思ってます。

古市:天海祐希を「もう辞めたいな」と思うことはないんですか?

天海:辞めたいなと思ったことはないですね。

「言葉は人も傷つけるし、傷つけた反対に自分も絶対傷ついている」

およそ60分にわたる対談中、マイナス発言をしなかった天海。どんなときでも前を向こうとするその姿勢 は、両親からの“ある言葉”がきっかけだと語る 。

天海:「1回口から出た言葉は取り返せないんだよ」って、ずっと言われていて。 言葉は人も傷つけるし、傷つけた反対に自分も絶対傷ついているはずなんですよね。だったら自分も元気にする言葉を出そうと思って。

古市: 確かに、僕は人の元気を削ぐ言葉ばっかり言っていて…。

天海:あはは(笑)。どんどん自分が元気なくなっていきませんか?

古市:そうか。結果的に自分の元気も削ぎ落としてるかもしれない。

天海:そうだと思いますよ。もう削いで削いで削いで、最後プラスしたらどうですか?

古市:確かに。最後の最後でね。

谷原章介の司会ぶりを「上手」と褒めるも、見るのは…

天海の家での過ごし方を古市がたずねると、ニュース番組、報道番組、情報番組が大好きで「ザッピングしながら見ている」と明かす場面も。そんな天海に古市が『めざまし8』を見ているか聞いてみると…?

古市:これ『めざまし8』っていう番組なんですけど、見たことはありますか?谷原章介さんが司会なんですけど。

天海:あります。谷原君のことを、ご一緒したときの役名で「明ちゃん」って呼んでるんですよ。弟の役をやって下さって、その役名が明ちゃんだったんですね。明ちゃんお元気ですか?

古市:どうですか、明ちゃんのMCぶりは?

天海:もう上手、声が良いでしょう?あととても丁寧で優しい方なので、合ってるんじゃないかなあと思って。

古市:朝の番組は何派ですか?本当のこと言っていいので。別に、『めざまし8』じゃなくて『モーニングショー』見てますとか。

天海:でもやっぱり明ちゃん好きだから、時々、拝見させていただいてます 。

古市:時々(笑)?

天海:時々、正直なところです。明ちゃん、時々見てますよ。