初となる自伝『WON’T BE LONG バブルと泳いだ人生』(講談社)を発売したブラザー・コーンさん(69)が、2023年に公表した乳がんの現在の状況と、「生きがい」だと語る孫との生活について語りました。
1983年にブラザー・トムさんと「バブルガム・ブラザーズ」を結成し、1991年に『WON’T BE LONG』のミリオンヒットで一世を風靡。“六本木の帝王”と呼ばれたコーンさんは、バブルの象徴的存在として昭和から平成の芸能界を駆け抜け、数回にもわたる大病や芸能界引退の危機を乗り越えてきました。
これまで腎臓移植や前立腺がんなどの病気を経験し、2023年に乳がんと診断されたことを公表したコーンさんに、現在の状況と病気をしたことで得たもの、そして「生きがい」について聞きました。
ブラザー・コーン「自分的にはこのくらいの体重がすごく調子がいい」
――2002年に腎不全を患い奥様からの腎臓移植を受け、2007年には前立腺がん、そして2023年に乳がんの罹患を発表されました。闘病中の支えとなったものを教えてください。
間もなく6人になる孫の存在ですね。長女の離婚など家族にいろいろあったので、支えていかなきゃいけない、「そのために生きよう」という、生きるための理由がはっきりしたというか。
生きていればまた楽しいこともあるし。もう70歳になるのに、こうやって本を出させてもらったり、またCDを出していただけたりと、本当に感謝しかないです。永ちゃん(矢沢永吉さん)の背中をずっと見てきて、あんなに強くてかっこいい人にはなれないけれど、俺の背中を見てついてきてくれるかわいい後輩たちもいるので、そいつらのためにも「何かして残してやんなきゃいけない」とは思っています。
――乳がん罹患公表から約1年半で復帰と早かった印象ですが、現在の状況はいかがですか?
投薬治療はもうしていません。去年12月に最後の抗がん剤治療があって、やめるとすごく痩せるんですよ。体重は治療当初よりは4キロほど戻っていますが、健康的に太っているようには見えないと言われますが、自分的にはこのくらいの体重がすごく調子がいい。
今すごく食欲があっていろいろ食べちゃっているので、どんどん治って太りだしてくると嫌だからボウリングをまた始めています。手の筋肉はだいぶ戻りましたが、足の筋肉がもうちょっと戻るといいかな。踏ん張るとまだちょっと震えたりしちゃうので。

――コーンさんが「男性で乳がんはあり得ないことじゃない」と発表した時はものすごく話題になりました。反響も大きかったのではないでしょうか。
同じように乳がんを経験された方からメッセージいっぱいきましたよ。俺は銀座でバーを経営しているんですけれど、そこに来てくれるお客さんの中にも乳がん経験者が結構いるから、ホルモン剤の話とか、「私の時はああで、こうで」みたいな話をしますね。
俺は抗がん剤の名前とか詳しいから、皆さんから「コーンさん女の人みたい、そんなに知ってて」とか言われて(笑)。でも、通院する際は乳腺外来で、患者さんはほとんどが女性なんですよね。そこに入るのは少し抵抗があったから、たまにカミさんに一緒に来てもらっていました。
――そういう状況も少しずつ変わるといいですよね。
別に自分が気にしなきゃいいんだけど、名前を呼ばれるタイミングで「男の人だ」って、珍しいから見られるしね。1回、「あれ?コーンさんじゃない?」って言われたこともありますよ(笑)。
――公表することにためらいはなかったですか?
早期発見の大切さを伝えたいから、全然ためらわなかったです。もうそればっかり言っていましたもん。俺のことがきっかけで検査に行った人がたくさんいると聞きましたが、それに輪をかけてもっと言っていかないとダメだなと思っています。
俺は、ステージ2での発見だったので、リンパに転移するギリギリですね。多分、がん細胞は俺の体の中にまだ存在していると思います。秋野暢子ちゃん(2022年、食道がんの治療に専念するため芸能活動を休止することを発表)と仲が良くてよくやり取りするんですが、暢子ちゃんが治療のことを「鬼退治」と言っていて、「今日も鬼退治に勝った」って書いているのを「わかるわかる」と思って。
乳がん公表から1年半、改めて早期発見の重要性と現在の体調について教えてくれたブラザー・コーンさん。インタビュー後半では、普段の生活、「生きがい」だというお孫さんたちとのエピソード、今後の展望を語ります。