8月6日(木)24時よりFODにてついに最終話が配信され、結末を迎えたドラマ『シックスティーン症候群』。(※現在、毎週火曜日25時25分より地上波にて放送中)
竹内愛紗が演じるビジュアルも中身も男らしい16歳のイケメン女子高校生・東息吹を中心に、高校生たちの思春期特有の感情や、人間関係の葛藤の中で自分と向き合い大人へと成長していく姿を描く物語。板垣瑞生は、最初は興味本位だった息吹に対して、やがて純粋な恋心を抱いていく浅田睦巳を演じた。
フジテレビュー!!では、最終話の撮影現場にて板垣にインタビュー。その模様を前後編に渡って掲載する。前編では今作で演じた浅田というキャラクターを作る上での準備や、現場での立ち振る舞い方、また胸キュンのキスシーンの裏側についても話してもらった。
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準備はするけど、それを捨てる準備もしている
――今作へ出演したいと思ったポイントはどこでしたか?
一つは以前ご一緒したことのあるスタッフの方が多くて、そのときに「絶対にまた一緒にやりたい」という気持ちがあったのと、脚本を読んだときに、自分の内側の気持ちをスマートフォンで撮るというシーンがあって、それが面白そうだな、挑戦をしているドラマだな、と感じて、やりたいと思いました。
作品として既存にある何かをやろうとしているのではないと感じたので、こちらも気合を入れないといけないな、と思ったし、いい作品にしたいな、と。それをあのスタッフさんたちと一緒にできたら、どこまでできるんだろう、という楽しみもありました。
――あと数日でクランクアップですが、ここまで演じてきて手応えは感じていますか?
感じています。自分の役割というか、自分が見せるべきところはできているのかな、と。配信されてみないと実際にはわからないですけどね(笑)。
連続ドラマなんですけど、今まであまり感じたことのない重厚感やテンポ感があって、そういう面白味を見せられそうだなと感じています。表面上は楽しそうに会話をしていながら、その裏で思っていることをモノローグ入れたりするのも、やっていて楽しいです。
――浅田というキャラクターを演じる上で、事前に準備をしたことはありましたか?
浅田は親が離婚していて、母親との間にわだかまりがあるんですけど、僕の中に彼のバックボーンに近い経験がなかったので、それに近いニュースなどを調べることはしました。
あとは細かい話になるんですけど、声のトーンを普段より何段階か上げて演じようかな、とは思っていたので、脚本に線を引いて、テンポと声をチェックしておくとかはしていました。
浅田がそのシーン全体のタイミングやテンポを決めるようなところが多いなと思っていて。僕が早くしゃべったら、みんなの会話のテンポもそれに合わせて早くなるとか。だから、その辺は気を抜けないなと思って、洗い出す作業はしておきました。
でも準備したことが実際にできるか、というのは、現場に入ってみないとわからないところでもあって。例えば、ゆうたろうくんと一緒にやってみたら、意外に声が高くて、僕も声を上げるとどっちがしゃべっているかわからなくなってしまうと思って、微調整をしました。
現場に入る前に準備はするんですけど、僕はそれを捨てる準備もしていて。「これじゃないとできない」って、ガチガチになってしまうのは違うと思うので。準備したベースはあるけど、それをいくらでも変えられるようにしています。
――単にその役を演じるための準備をするだけでなく、作品全体を考えた準備もされているんですね。
全体的なところを主演の愛紗ちゃんが作って、大きく引っ張ってくれるだろうな、と思っていたので、僕はそういう部分ではないところで、微調整やちょっとした軌道修正ができればいいのかな、と思っていて。それは僕が勝手に思っていた役割分担ですけど。愛紗ちゃんがピュアで真っ直ぐな方なので、そうじゃないところを補いたいな、と思っていました。
ビンタのシーンは、「生まれて初めて出そうと思ってないのに『あっ』っていう声が出ました(笑)」
――浅田のキャラクター像を知ったときに、個人的に映画「ホットギミック ガールミーツボーイ」で演じていた梓と重なるイメージがありました。実際に浅田を演じる姿を見て、違うとわかりましたが、そういうイメージはありませんでしたか?
そういう片鱗(へんりん)があるな、とは、僕も思いました。だから全く違う引き出しを使う必要もないな、と。でも、大きく違うのは、梓は望みが叶わないバッドエンドの人で。それに愛した女の子のタイプも全然違いますし。
梓も浅田も親との関係が上手くいってないというところは一緒だけど、浅田はそれが息吹との関係から修復して、人生が一変する。梓は親に対して行動するんじゃなくて、その敵意を周りの人に向ける。前提は似ていたかもしれないですけど、結果が全然違うんですよね。
一人の女性を愛するというところも共通しているんですけど、梓はそれが敵意になって、浅田は思いやりや、尽くしてあげたいという感情の方が強かった。
ドラマを見ていると、浅田の悲しかったり、寂しかったりする部分も感じると思うんですけど、そこから強くなって、息吹の気持ちを自分に向かせるために頑張る姿に変わっていくので、その変化を見せることは意識していました。
台本には書かれていないところでわざと距離を縮めてみたり、愛想を出してみたり、細かいアドリブを入れたりもしました。
――今日はちょうどキスシーンの撮影がありましたが、和やかな雰囲気でスムーズに進んでいましたね。
すごく照れましたけど(笑)。愛紗ちゃんが本当にピュアな方なので。
――そうだったんですか?板垣さんから竹内さんへ自然に話しかけていて、スタッフさんとも楽しそうに話しをしながらやっていたので、そんな感じはしませんでした。
一緒のシーンを作る、好き同士という役柄なので、多少は(和やかにしようと)意識してたところはありますけど、僕がしゃべりたいからしゃべっていただけです(笑)。
役にもよりますけど、今回みたいな関係性であれば、普段からコミュニケーションは必要だと思うので、無理せずに取るようにはしています。
――今回演じていて大変だったシーンはありますか?
息吹にビンタされるシーンですね(笑)。テストのときは実際には叩かないで、僕が自分で吹っ飛んで、それで大丈夫っていう話になっていたんですよ。そしたら、本番前に急に「本番は叩いてもらうんで」って言われて。
全然心の準備ができていない状態で、愛紗ちゃんの気持ちいいくらい加減のないビンタが飛んできて(笑)。それは、本気でやってもらった方が、僕も本気のリアクションができるからいいんですけど、痛すぎて、生まれて初めて出そうと思ってないのに「あっ」っていう声が出ました(笑)。
お芝居だと何となくリアクションも考えておくものだと思うんですけど、それを準備する時間もなかったし、びっくりし過ぎて本気の声が出てました。芝居を超えたリアルだったと思います(笑)。
板垣瑞生インタビューは<素顔編>に続きます。こちらもお楽しみに!
撮影:山口真由子
<最終話 ストーリー>
めいを置いて、浅田に会いに行った息吹は、浅田が本気で自分を好きでいてくれるのを感じて、その気持ちに向き合おうとする。だがそこへ、めいの異変に気付いた直から連絡が入る。
息吹、浅田、直の3人は必死でめいを探すが見つからない。浅田はパニックになる息吹を「お前ならめいちゃんがどこに行ったか見当がつくはず」と諭し、3人はある場所へ向かう。