フジテレビのスポーツニュース『S-PARK』では、8月2日(日)~30(日)の5週にわたり、日曜S-PARK特別企画として「2020夏 これが、僕らの甲子園。」が放送される。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で「甲子園」がなくなった高校球児たちは、“最後の夏”に何を目指し、何を思うのか?球児たちのリアルに迫るドキュメンタリーとなっている。
取材は「球児たちの思いを伝えたい」と、立候補した若手ディレクターたちが担当。この夏、5つの“知られざる物語”を描く。
また、放送だけにとどまらず、FNNプライムオンライン、フジテレビュー!!が連動し、webでも5回の連載として多角的に記事化していく。
今回は、8月16日(日)放送、第3回「群馬県・健大高崎高等学校」を紹介する。
第1回「三重県・白山高等学校」の記事はこちら
第2回「広島県・広陵高等学校」の記事はこちら
<第3回 群馬県・健大高崎高等学校 8月16日放送>
春夏合わせて6度の甲子園出場を誇る、群馬の名門・健大高崎高等学校。ここに「甲子園優勝」にすべてをかけてきた2人の球児がいる。
名門校のエースを担い、 プロを目指しているピッチャーの下慎之介(しも・しんのすけ)投手。 女房役でありキャプテンを務める戸丸秦吾(とまる・しんご)選手。 ともにメディアから注目を浴びるトップ選手だ。
実はこの2人、中学生時代からのチームメイト。地元・高崎ボーイズでバッテリーを組み、今年で6年目になる。
戸丸選手:ムードメーカーというか、本当に下の周りには、誰かしらいるっていう好かれる人間です。
下投手: 戸丸の場合は、真面目で自分達と比べたら少し大人な感じはしていて。戸丸は自分のことを「周りに友達がいる」って言ったんですけど、戸丸の周りには、誰かしら女子がいる感じですかね(笑)。
2年半前、そんな2人が健大高崎に入学し描いた夢が、野球ノートに書かれている。中学1年生からの6年分の思いが詰まった、2人だけの特別な夢だ。
「日本一のバッテリー」
昨年の秋、健大高崎は関東大会を制し、各地方の優勝校が集う明治神宮大会で準優勝。夢は現実へと近づいていた。だが、春の甲子園に続き、一番の目標だった夏の甲子園までもが中止に。2人にとっては、6年分の夢がついえた瞬間だった。
戸丸選手は「目の前が真っ暗というか、『何をしたらいいのかわからん』ってなりましたし、自分自身どういう心理状態なのかも全くわからない状態になった」と振り返る。
その日、下投手は野球ノートにこう記した。
「日本一のバッテリー」
戸丸となら達成できると思っていました。
その目標を目指すチャンスさえ
与えられないのはとても悔しいです。
そんな彼らに転機が訪れたのは、6月中旬のこと。センバツに出場予定だった高校が、1試合のみ甲子園で試合を行う交流試合が決定。再び動き出した「2人の最後の夏」――。
しかし、ここに例年とは違う“リアル”があった。下投手が明かす、複雑な胸の内。戸丸選手をはじめ、多くの3年生は推薦での大学進学が決定。しかし、プロを目指す下投手にとっては「甲子園がアピールできる最後の舞台」だ。
例年なら、春先から夏の甲子園まで毎週のように練習試合を行い、プロ注目選手となれば 、多くのスカウトが視察に訪れる。だが、今年は新型コロナウイルスの影響で試合数が少なく、選手を直接見る機会が減っているのだ。
下投手にとって、甲子園は「日本一のバッテリー」を目指す場所から、プロへのアピールの場へと姿を変えた。
「神宮大会の結果と、両親に今まで支えてきてもらったという思いが年末に特に込み上げてきて。そこで早く楽をさせてあげようと思ってプロ志望を決めました」と語る下投手。
両親も「自分のやりたいように」 (父)、 「悔いのないように、出し切ってくれれば」(母)と、息子の揺るがぬ夢を影ながら後押ししている。
だが、夢への道は平坦ではない。スカウトが訪れた日の試合では、5回4失点。バッテリーを組む戸丸選手は 、「メディアやスカウトの方々に注目されるようになって、色々とプレッシャーを感じているのかなと思う。 やはりそういうところも自分自身が安らげてあげるというか、力みを取ってあげないといけないのかなと思っている」と語る。
それでも6年間、誰よりも近くで下投手を見てきた戸丸選手は、「真っ直ぐが抜ける」クセをズバリと指摘。そこで、その声に応えるかのように、下投手も夏の大会直前に投球フォームの改造という、大きな決断をくだす。
身長のある下投手は、上からの角度を生かして投げようとしていたが、「自分には合っていない」と、もともとの横に近いスリークォーターに戻したのだ。すべては、甲子園で輝くために――。
迎えた群馬の独自大会。戸丸選手と重ねてきた練習は、成果となって現れる。
戸丸選手:理想に近づいてきた。
下投手: 指にかかる感覚があったし、今の感覚は秋よりいい 。
2人にとって甲子園は、「(下投手の)プロへの扉を開く6年間の集大成」となった。 番組では、群馬の独自大会、そして8月16日に予定されている甲子園での試合の模様を追いかける。
2020年夏。一度は夢を奪われた球児たち。それでも彼らは、前を向き人生を歩み続けていく。
担当ディレクター:北原由姫乃、波多野宏
<「2020夏 これが、僕らの甲子園。」特集ラインナップ>
#1 三重県・白山高等学校「母から教わった全力プレーで恩返し」
亡き母、そして育ててくれた祖父母への恩返しは「甲子園出場」だったのだが…。
#2 広島県・広陵高等学校「超名門校の3年生『決断』と『奇跡』」
実力を重視し自身のメンバー入りを拒否し応援団長に。引退試合で奇跡が起きる。
#3 群馬県・健大高崎高等学校「甲子園は夢舞台から…6年間の集大成」
中学時代からバッテリーを組んできたエースと主将。その6年間の集大成が甲子園交流試合。たった1試合の夢舞台に込められた特別な思いとは!?
#4 神奈川県・立花学園高等学校「独創的な練習『最後の夏』への挑戦」
独創的な練習で甲子園を目指してきたチームが、集大成に何を行うのか。
#5 神奈川県・星槎国際高等学校湘南「野球人生最後の夏『笑える日が来るまで…』」
「両親への恩返し」のため高校で野球を引退。卒業後は就職するため、「野球人生最後の夏に甲子園」と夢を描いていたが…。部のスローガンは「必笑」。最後の夏を笑って終われるか?
<ナレーター紹介>
ナレーション:才川陽妃(さいかわ・はるひ/立命館大学1年)さん
2019年全国高校放送コンテストで朗読部門最優秀賞。今年の「春のセンバツ甲子園」の開会式で司会進行を務める予定だった。
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『S-PARK』球児ドキュメンタリーのナレーターは女子学生!甲子園失うも…語りで応援