フジテレビのスポーツニュース『S-PARK』では、8月2日(日)~30(日)の5週にわたり、日曜S-PARK特別企画として「2020夏 これが、僕らの甲子園。」が放送される。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で「甲子園」がなくなった高校球児たちは、“最後の夏”に何を目指し、何を思うのか?球児たちのリアルに迫るドキュメンタリーとなっている。

取材は「球児たちの思いを伝えたい」と、立候補した若手ディレクターたちが担当。この夏、5つの“知られざる物語”を描く。

また、放送だけにとどまらず、FNNプライムオンライン、フジテレビュー!!が連動し、webでも5回の連載として多角的に記事化していく。

今回は、8月23日(日)放送、第4回「神奈川県・立花学園高等学校」を紹介する。

第1回「三重県・白山高等学校」の記事はこちら
第2回「広島県・広陵高等学校」の記事はこちら
第3回「群馬県・健大高崎高等学校」の記事はこちら

<第4回 神奈川県・立花学園高等学校 8月23日放送>

全国屈指の激戦区、神奈川。ここに、新時代ならではの方法で戦いに挑む学校がある。神奈川県私立・立花学園高校。部員総勢は139人を誇り、野球部の最高成績は、県大会ベスト8。

チームを束ねるキャプテンの濱田蓮(はまだ・れん)選手と、立花学園との出会いは中学3年生。父親の母校を応援しに行ったときのことだった。

中学時代の濱田選手は2番打者。バントなど、試合をつなぐ役割での起用が多かったため、高校では打撃力を伸ばしたいと考えていた。

立花学園の試合を見た際に、1試合で5本のホームランが出るなどバッティングのいい選手が揃っていることに惹かれ、興味を持った。

“つなぐバッター”から“試合を決めるバッター”へ ――。

そんな濱田選手が憧れた立花学園は、新時代ならではの練習方法を取り入れていた。

志賀正啓(しが・まさひろ)監督(33歳)は、「ワクワクする野球」をテーマに、今までの常識にとらわれない選手指導を行っている。

YouTubeでの野球講座に始まり、選手はVRゴーグルをつけてバットを振ることも。VRを使った打撃練習は、球の軌道が残像として残るため、スイングしてすぐに目で見て反復することができる。

「(VRをやったあと)実際のバッティングもやると全然違う。遅く見えたり、球の回転をちゃんと見ることもできる」 と、選手たちからも好評だ。

ブルペンに目を向けると、一球ごとに回転数やボールの軌道をはかる計測器があり、「回転数を見て『今日はまだMAXではない』」などと分析しながら投球練習をしている。

新型コロナウイルスにより、部活動が自粛になっても、志賀監督は「 日本一オンラインをうまく使って練習を進めていこう」と、アプリなどテクノロジーを最大限活用して練習を進めていく。

だが、この独創的な練習で神奈川県の頂点を狙っていた立花学園に、夏の甲子園の中止の知らせが――。

翌日のオンラインミーティング。志賀監督は「もし(神奈川県の独自)大会とか場を与えてもらえるならば、最大限輝けるための準備を今、してほしい。大会があるんだったら優勝して、『やっぱり立花学園を甲子園に行かせたかったよ』って思わせるのが筋じゃないかと思う。前向くしかねえじゃん」と、部員に語りかけた。

志賀監督が、選手たちと同じ熱量で向き合ってくれていたことを改めて実感した濱田選手は、仲間たちに「全員が諦めずに最後の最後までレベルアップに努めてほしい」と訴えた。

それでも濱田選手にはキャプテンとして不安なことがあった。オンラインで顔を合わせていても、練習自体は自主性にかけるしかなく、全員が同じ方向を向いているのか、わからずにいたという。

そんな不安の中、独自大会の開催が決定。神奈川を制し、「立花野球」が正しかったことを証明する――。 それが、甲子園なき今の自分たちに残された使命となった。

立花学園らしく、YouTubeやTwitterを利用し、プロのトレーニングを実践。さらにドローンで真上から練習を撮影し、ポジショニングや連携プレーの確認をした。

濱田選手:これ、ライトのカバー遅いですね。

志賀監督:やっぱり見るとわかるな。

上空から撮影した映像で、自分たちのプレーを俯瞰(ふかん)で見直し、客観性をもってレベルアップをはかった。

そして、迎えた登録メンバー発表の日。「立花野球」を証明するため、3年生優先ではなく“勝てるメンバー”で大会に挑むことを決めた。

勝って「立花野球」の証明をする――これが、2020夏、濱田蓮選手の甲子園。立花学園の戦いがいよいよ幕をあける。

担当ディレクター: 大山琢也、嶋雄士、四居由佳、方岡勢詞

<「2020夏 これが、僕らの甲子園。」特集ラインナップ>

#1 三重県・白山高等学校「母から教わった全力プレーで恩返し」
亡き母、そして育ててくれた祖父母への恩返しは「甲子園出場」だったのだが…。

#2 広島県・広陵高等学校「超名門校の3年生『決断』と『奇跡』」
実力を重視し自身のメンバー入りを拒否し応援団長に。引退試合で奇跡が起きる。

#3 群馬県・健大高崎高等学校「甲子園は夢舞台から…6年間の集大成」
中学時代からバッテリーを組んできたエースと主将。その6年間の集大成が甲子園交流試合。たった1試合の夢舞台に込められた特別な思いとは!?

#4 神奈川県・立花学園高等学校「独創的な練習『最後の夏』への挑戦」
独創的な練習で甲子園を目指してきたチームが、集大成に何を行うのか。

#5 神奈川県・星槎国際高等学校湘南 「野球人生最後の夏『笑える日が来るまで…』」
「両親への恩返し」のため高校で野球を引退。卒業後は就職するため、「野球人生最後の夏に甲子園」と夢を描いていたが…。部のスローガンは「必笑」。最後の夏を笑って終われるか?

<ナレーター紹介>

ナレーション:才川陽妃(さいかわ・はるひ/立命館大学1年)さん
2019年全国高校放送コンテストで朗読部門最優秀賞。今年の「春のセンバツ甲子園」の開会式で司会進行を務める予定だった。

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『S-PARK』球児ドキュメンタリーのナレーターは女子学生!甲子園失うも…語りで応援