毎週木曜22時からフジテレビで放送されている、石原さとみ主演のドラマ『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』が9月24日(木)に最終回を迎える。
『アンサング・シンデレラ』は、日本の連ドラ初となる病院薬剤師が主人公の医療ドラマ。石原演じる葵(あおい)みどりが、患者一人ひとりに親身に向き合い、奮闘する姿を描いている。
9月17日(木)に放送された第10話では、萬津総合病院薬剤部の面々がすべての患者と向き合いながら、病に倒れた同僚・瀬野章吾(せの・しょうご/田中圭)を助ける方法を模索する姿が描かれた。
しかし、「誰かが動けないなら、私たちが頑張ればいい」とお互いにフォローし合う団結力を見せていた薬剤部のメンバーが、10話のラストでバラバラに。最終回は一体どうなるのか。
フジテレビュー!!は、野田悠介プロデューサーにインタビュー。前後編でお届けする。後編では、みどりをはじめ、小野塚(成田凌)やくるみ(西野七瀬)ら登場人物の変化や成長してきた物語の裏側や、最終回の見どころとともに聞いた。
<野田悠介プロデューサー インタビュー>
――まずは、それぞれのキャラクターのお話をお聞かせください。みどりは、10話のラストですでに萬津総合病院からいなくなったようですが、最終回ではどうなるのでしょうか?
なんと話したらよいか…(笑)。でも、新天地で変わらず患者と向き合っていると思うので…そこを見ていただきたいです。
――言えないことが多そうですね(笑)。では、他の登場人物のお話を。小野塚は、10話で萬津総合病院の救急で働き始めましたね。
小野塚は、昔持っていた理想とはかけ離れた形で、薬剤師として働いていました。でも、みどりたちと出会い、一緒に過ごすことで覚悟を決め、理想としていた薬剤師として歩む決断をし、その道を進んでいく。10話では、憧れていた瀬野(田中圭)に指導をしてほしいと願っている姿が描かれていましたが…指導してもらえたのかは気になるところですね。
――瀬野が倒れる前までは、みどりと一緒に、病院と調剤薬局という両面から患者さんをサポートしていく…というような展開を想像していたので、小野塚が萬津で働くことになったことには驚きました。
実は、小野塚は、もともと萬津に入れる予定はなくて、入ってきそうで来ない感じにしようと思っていました(笑)。
――何か設定を変えるキッカケがあったのですか?
そうですね…外(調剤薬局)で働くことももちろん大事なことだとは思うのですが、でも、「自分の理想という、目指したものを一度突き通してみたい」と、小野塚なら思うのかなと思ったことがキッカケです。瀬野という大きな目標があって、その目標にちょっと近づきたいという思いもあるかなと。だから、その方向へと変更していきました。
人って、やっぱり目に見えて変わることってなかなかなくて。小野塚としては、瀬野やみどりと出会ってどう感化されていくか、どう覚悟を持つようになっていくのかという、本当に些細な変化だったと思います。でも、成田くん自身、小野塚の着実に一歩ずつ変化していく姿を、繊細に演じてくださいましたし、自然と小野塚の進む道が見えた気がしています。
――変化という意味では、くるみ(西野七瀬)は、初回からかなり大きな成長が感じられますね。
新人のくるみは、はじめは「合わなければ辞める」と言っていましたが、がん薬物療法認定薬剤師の資格取得を目指すなど、受動的ではなく能動的になってきています。10話でも、みどりが通常業務の他に、瀬野のためにいろいろなことを調べたりしていて大変な時に「私に任せてください」と言う場面もありましたし、そういう彼女の成長は最後まで見守っていただきたいですね。
――そして、10話のラストで「2年後」となり、瀬野さんがどうなったのか気になりましたが…瀬野の治験に、七尾副部長(池田鉄洋)は企みなどなく力になってくれたのでしょうか?
七尾が単純に瀬野のために動くことはないと思いますし、瀬野を含めた同じ病気(副腎がん)を患っている患者さんのために何ができるのか、そこが七尾にとっては一番大事なところ。1話から「体に働きかけるのは薬」と言っていますが、それは本当に正しいことというか、彼なりの正義の言葉なんですよね。
1人の患者を救うことよりも…一つの薬が開発されれば、100万、200万という人が救えるかもしれないからこそ、治験に力を注いでいる。その考えを持った七尾が今までどういう人生を生きてきて、患者になった瀬野にどう向き合うのかは、一つ見どころになるかもしれません。
――最後に、最終回の見どころをお聞かせください。
みどりが新天地で、新しい患者とどう向き合っていくのか。みどりも含めて萬津総合病院の面々はどういう2年を過ごしてきたのか。見どころになると思います。
そして、薬が私たちに届くまで、どういう過程を経ているのかという情報・知識も得られると思います。それはこれまでドラマでは描かれなかった部分だと思いますし、作品を楽しみながら、知ってもらえたらいいなと。
あとは、今まで治験はあまり印象のいいものとして描かれてこなかったと思いますが、瀬野を通して、治験自体を知ってもらい、大切さなどが伝わるといいなと思っています。治験を行う過程などを描くのはドラマとしては初めてだと思いますので、注目してください。
最終回も見逃せない!現役薬剤師もうなる“リアリティ”
初めて薬剤師を主人公として描くドラマということで、ドラマ放送前から「薬剤師にスポットが当たってうれしい」「どんなふうに描かれるんだろう」などと、薬剤師をはじめとする医療関係者からの期待値も高かった本作。
放送が始まると、SNS上には「薬剤師って、こんな仕事もしていたんだ?」「薬局での待ち時間が長くてイラついていた自分の態度を見直そうと思った…」と、初めて知る薬剤師の仕事に驚く人が続出。「みどりみたいな人が近くにいたら、入院する時も心強いな」などと、ストーリーに感激する視聴者も多く見られた。
中には、フィクション作品ではあるものの、見慣れない“薬剤師”、しかも1人の患者に多くの時間を費やし、時に医師にまで意見するみどりの姿に「こんな薬剤師いるの?」と疑問を持つ人も。
そこで、医療安全システムデザイナーの古川裕之氏(前山口大学病院薬剤部長)が、現役薬剤師へ「本作をどう受け取っているのか」アンケート調査を実施(328人が回答)。その結果が薬事日報(9月7日付)で公開された。
みどりが行う業務は調剤や服薬指導の他、薬以外のことでも患者の相談に乗るなど多岐に渡っている。その業務を実際の現場で「自身を含めてあなたの近くに一部行っている薬剤師はいるか」という問いに「いる」と回答したのは、なんと、62.2%。6割以上がみどりのような薬剤師が実在するとした。
「現実とかけ離れている」という声も一部あったというが、多くの薬剤師が本作にリアリティを感じているようだ。
そして、「葵みどりのような熱い薬剤師を採用したいし、ドラマのような業務が無理なくできる体制にしたい」(病院・診療所勤務男性)、「みどりのような薬剤師を目指す薬剤師や学生がいたらうれしい」(薬局勤務女性)と、ドラマに触発されていたり、希望を語る声が多かったという。
そんな現役薬剤師をも物語に引き込んできた本作が、どんな最終回を迎えるのか…。期待が高まる。