華やかなビジュアルで、圧倒的存在感をアピール
物語は、「欲望」という電車に乗って、「墓場」という電車に乗り換え、「天国」と呼ばれる猥雑な下町に、ブランチが降り立つ場面からスタート。
トタン屋根の粗末な建物と、干しっぱなしの洗濯物。そして、この街で暮らす粗野な住人たち――そこへ現れたブランチは白いタイトなスーツに大ぶりのハットをかぶり、大量の荷物を持参。街にそぐわない風貌の女性の訪問に、住人たちは皆、興味をしめします。
実家の大農園を失ったことを妹のステラ(清水葉月)に告げ、しばらく、ステラのもとに身を寄せることになったブランチでしたが、ステラの夫・スタンリーは野蛮な人物で、上流階級然とした振る舞いのブランチとは衝突を繰り返すばかり。
ある日、スタンリーの友人、ハロルド・ミッチェル(高橋努)と出会ったブランチは、彼とのめぐり合いに最後の幸福をつかもうと望みを託しますが、ある不幸が起こり、ブランチの精神は壊れてゆくというストーリーです。
そんな主人公・ブランチを沢尻さんは妖艶に、そして、時にはキュートに演じ、4年のブランクをまったく感じさせない堂々の演技で、華やかな容姿がブランチの奔放さをより際立たせます。
さらに、ブランチを演じる沢尻さんは、これまでの映像作品よりもやや高い声色で、何不自由なく育った名家出身の女性ならではの天真爛漫さをアピール。ステラ役の清水さんとの姉妹トークに華を咲かせたり、大きな声で笑いあったり、屈託のない笑顔で作品に彩りを添えます。
一方の伊藤さんも恵まれた体躯を活かし、匂い立つような大人のフェロモンを漂わせながら、荒々しいスタンリーをハイテンションで演じ、巧者ぶりを見せつけました。
また、物語の舞台はアメリカで、役名もすべて、テネシー・ウィリアムズさんが著した戯曲そのままなのですが、本作ではブランチ以外の登場人物がすべて関西弁で話していることも、鄭義信さんならではの遊び心のある演出。
これが意外にもハマっており、この街で暮らす人々の空気に生々しさをプラスしています。
初日を迎えるにあたり、沢尻さんは「素晴らしいキャスト、スタッフの皆さんと一緒に、鄭さんならではの世界観を表現できるように努めてきましたので、お芝居を通してさまざまな感情にひたっっていただけたら嬉しいです」と意気込みを。
公演は2月10日~18日まで東京・新国立劇場 中劇場で上演した後、22日~25日まで大阪・森ノ宮ピロティホールでも上演されます。