9月9日(木)、次世代の書籍、漫画業界を担う作家たちを支援する「第一回 次世代作家 文芸賞」授賞式が都内で開催され、神木隆之介がプレゼンターを務めた。

秋めいたブラウン系チェックのスーツで登壇した神木は、「僕は本や漫画が大好きで、さらに、記念すべき第一回の授賞式に呼んでいただいたのはとても光栄なこと」とプレゼンターに起用された喜びをにじませ、「今日は作家の皆さんとお会いできることを楽しみに来ましたが、(プレゼンターなので)ちゃんとしたい」と笑顔を浮かべた。

神木といえば、漫画やアニメに造詣が深いことでも知られるが、「我々、モノ作りに携わる人間は映画やドラマもそうですし、声で出演させていただいている作品にも原作がある。とても関わりが深い世界で生きてきたので、いつも感謝しながら一読者として楽しませていただいています」とコメント。

個人的に好きなジャンルを問われると、「ジャンルは問わず、ライトノベルやコミックの気になったものを手に取って、幅広く読みます。本屋さんに行ってグルグル回ることが楽しいんですよねぇ」とうれしそうな表情をみせた。

そんな神木は俳優として、原作モノの作品に出演する機会も多いが、どんなふうに原作を読むのかを聞かれると、「原作のどういうところが核として脚本に変換されているか、どういうふうに存在しているかを自分なりに解釈し、『主人公のこの気持ちをもっと大事にしたい』と一読者として、一人の役者として感じたことをスタッフさんに伝えます」。

「プレッシャーはありますけど、そんな部分をそのまま原作ファンの皆さんにお届けできたらいいなという思いで演じています」と説明した。

さらに、「原作ファンの気持ちってすごくよくわかるんですよ。『大好きだからこそここは譲れないんだよな』って。自分の好きな作品が実写化されたときに『うわっ、これやってほしくなかった』とか『このセリフを言ってほしかったのにな』っていうのがあって、まぁ、それはエゴになっちゃうんですけど(苦笑)。作品全体のバランスをみながら、どこを取り入れるかなど葛藤をしています」と、熱い思いを力説。

そして、そんな作品群を世へと送り出すクリエイターを前に、「ここで先生方がご挨拶されているのを聞いていて、『ありがたく読ませていただいています』という気持ちになりました。この作品のこういうところを読んで、自分の人生観が変わったということが僕も読者としてあるので、それを紡げる先生方はすごい」と絶賛した。

また、今後のエンタメ界をどんなふうに盛り上げていきたいかに話がおよぶと、「今の状況下はすごく難しいところではあるんですけど、難しいからこそいろんな方法があって感覚をリセットすることができる。新しい環境だからこそ、こんなアプローチの仕方もあるんだと毎回勉強になっています」。

続けて「僕たちにも作家さんにも、応援してくださる方がいるので、そんな皆さんに元気や喜び、作品のメッセージを伝えていけたら」と意気込んでいた。

最後に、今回の受賞者へ向け、「僕も頑張りますので、これから一緒に新しいエンターテインメントを作っていけたらいいなと思います。一人一人の努力と時間が作品にのっかって、そして、それを楽しんでいる人たちがいるのはとても素敵なこと。一読者として感謝しております」とメッセージを送った。

授賞式後は報道陣向けのフォトセッションが行われ、壇上には受賞者3名と神木が登壇。自身がセンターに立っていることに、神木は「これだと僕も作家さんみたいに見えませんか?」と苦笑いを浮かべ、後半では受賞者と立ち位置をチェンジし、「僕は添え物みたいな感じでいい」と端のほうへ。

神木ならではのユーモアと気遣いに、その場は温かい空気で包まれていた。