『SUITS/スーツ2』第13話完全版
甲斐(織田裕二)は、「幸村・上杉法律事務所」を去ろうとした蟹江(小手伸也)を引き止めた。だが、「幸村・上杉法律事務所」では、ここ数週間の間に8人のパートナーに6人のアソシエイト、11人のパラリーガルが辞めるという危機的状況に追い込まれていた。
一方、大輔(中島裕翔)は、甲斐が雇った元検察官の藤嶋(上白石萌音)に、入所していきなり個室が与えられたことが納得できずにいた。
そんなある日、甲斐と大輔を呼び出したチカ(鈴木保奈美)は、女性社員の昇進差別訴訟を引き継ぐことにしたと告げる。相手は、経協連の理事長を6年務め、内閣府の男女参画委員会の理事にも就任した財界の大物・蓮見昭雄(伊東四朗)が会長を務める「フォルサム食品」だった。
同じころ、真琴(新木優子)は、父親の敬一郎(竹中直人)とランチをともにしていた。そこで真琴は、高得点を獲得したロースクール統一プレテストの成績通知書を敬一郎に見せようとしていたが、その矢先、敬一郎の方から先に東大ロースクールの試験の話を切り出されてしまう。「自分の能力に見切りをつけるのも、社会人に必要なスキルだ」という敬一郎の言葉に失望した真琴は、席を立ってしまう。
ほどなく、甲斐のもとに、「フォルサム食品」側が代理人弁護士を変更したとの連絡が入る。さっそく「幸村・上杉法律事務所」にやってきたその相手とは、何と敬一郎だった。敬一郎は、「フォルサム食品」には女性昇進差別の事実はないとして、以前の代理人が提示した和解金1億円を100万円に下げる、と言い出した上、原告の井口華子(安達祐実)へのヒアリングを要求する。
それを知った真琴は、「フォルサム食品」の訴訟に参加したいと大輔に申し出て、「父を倒したいのなら私を味方につけるべきです」と告げた。
そのころファーム内では、密かに蟹江と藤嶋の争いも勃発していた。藤嶋のオフィスを訪れ、まだ自分に敬意を示していない、と蟹江が言い出したのがきっかけだった。
蟹江から仔馬扱いされた上、自分のオフィスで爪の手入れをしていたことにも腹を立てた藤嶋は、玉井(中村アン)から蟹江に関する情報を入手。初めての案件を手助けしてほしい、と蟹江に申し出た藤嶋は、嘘の裁判期日を教えて恥をかかせた。すると蟹江も、藤嶋の裁判資料を、自分の顔と高名な音楽家を合成したイラスト集にすり替えるという報復に出ていた。
甲斐の了承を得て、一緒に「フォルサム食品」の案件に取り組むことになった大輔と真琴は、井口とともに、「フォルサム食品」の女性社員・本田実花(野村麻純)に会い、証言をしてほしいと頼む。しかし本田は、昇進の見送りが蓮見の指示だったとしたらそれこそ逆らいたくない、と返し、こんなことをしたら未来はない、と井口に忠告して去っていく。
敬一郎による井口へのヒアリングが行われる朝、甲斐から呼び出された真琴は、すぐさま意図を理解し、ヒアリングに同席。それを知った敬一郎は、「娘を呼べば私がヘマをするとでも?」と不快感を顕わにするが、甲斐はあなたの脅しを見て真琴がどう思うのかが心配だ、と返す。
ヒアリングの席で敬一郎は、井口が昇進差別の根拠とした人事評価シートを持ち出し、試験が昇進の基準を下回っていること、コメント欄の「神経質」「気が弱い」といった評価を指摘し、自分の能力不足を補おうとせずに権利だけを主張しているように見える、と言い放つ。転職活動をしていた井口が結局会社を辞めなかったのも、自分に実力がないことを受け入れられず他の分野にチャレンジする勇気もないからだと言う。
そんな敬一郎の言葉が、まるで自分に対して言っているように聞こえる真琴。すると大輔は、次の質問をしようとする敬一郎を制し、ヒアリングを打ち切ってしまう。
真琴は、自分を守ろうとしてヒアリングを打ち切った大輔を非難した。だが大輔は、これは父子の戦いではないのだから、クライアントのことを第一に考えられないのならこの案件に関わるべきではない、と告げる。
大輔と真琴は、井口とともに過去に昇進差別に遭ったと思われる女性たちを訪ね、協力を求めたが無駄足に終わる。その報告を受けた甲斐は、記者会見を開いて被害を明らかにし、世論を味方に付けてはどうかとチカに提案。するとそこに、「フォルサム食品」が、グループ企業の女性の活躍促進に向けた3つの施策を発表したというニュースが入る。敬一郎が先手を打ったのだ。
蓮見と敬一郎に会いに行った甲斐は、これ以上強気に出ると痛い目に遭うと忠告した。しかし敬一郎は、脅しが通用するのは自分が強い時だけだ、というと、自分は同じ相手に二度負ける人間ではない、と返す。
蟹江の妨害に憤慨した藤嶋は、甲斐にクレームを入れる。すると甲斐は、蟹江に苦戦するようではウチでは通用しない、と告げ、彼女に蓮見に関する情報を探るよう命じる。
あくる日、敬一郎はチカを呼び出し、今回の件は自分が勝つが他の道もある、といってファイルを手渡した。それは、敬一郎が代表を務める「セイント法律事務所」と「幸村・上杉法律事務所」の合併話だった。だがチカは、脅しに屈するくらいならファームを潰す方がマシだと言って、徹底的に相手を叩きのめすよう甲斐に指示する。
大輔と真琴は、訴訟を諦めようとしていた井口を励まし、昇進差別に遭った女性社員を探してビラを配り続けた。藤嶋から、蓮見が絡んだ案件は検事総長権限ですべてのデータが削除されていることを知らされた甲斐は、ファイルにあった井口の人事評価シートに目を止める。
裁判所を訪れた蟹江は、金属探知機にひっかかり、警官たちに止められる。蟹江のスーツから次々に出てきたのは、愛用の爪の手入れセットの数々だった。蟹江は、そこで警官たちに抵抗したものとみなされ、公務執行妨害で逮捕されてしまう。しかけたのはもちろん藤嶋だった。
大輔と真琴は、甲斐の助言を受け、「フォルサム食品」の女性社員の人事評価シートを集め始める。それらを比較した大輔は、あることに気づく。
甲斐は、大輔と共に、蓮見がシンポジウムを開く予定になっていたホールを訪れ、敬一郎と対峙する。大輔は、「フォルサム食品」の女性社員126名分の人事評価シートには、「神経質」「気が弱い」「攻撃的」などという限られた文言が組み合わせで使用されていること、そして昇進試験の点数に女性だけ小数点以下が存在することを指摘した。小数点以下が存在するのは、女性社員だけ一律で評価点に0.7を掛けているからだった。
その指摘を受けても、敬一郎は、肝心の原告がひとりもいない、と笑ってみせた。そのとき、ホールの出入り口から、真琴が井口や本田ら、女性社員たちを引き連れて姿を現した。「証拠をつかんだ以上、被害者たちは黙っていません」。真琴は、敬一郎にそう告げた。甲斐は、敬一郎は同じ相手に二度負けないと言ったが、自分は相手が誰であれ一度として負けたことはない、と言うと、「向き合うべきはやる気がある人たちだ」と続けた。
藤嶋は、留置場に入れられた蟹江のもとを訪れた。藤嶋は、自分の案件のために、蟹江が有力な証拠を提出してくれていたことを知り、休戦を申し出る。
別の日、敬一郎に会った真琴は、プレテストで高得点を取ったことを明かし、ことしも東大ロースクール試験を受ける、と宣言する。今度は受かって見せる、という真琴に、敬一郎は、娘の成功を祈らない親はいない、と告げる。
チカは、会見を開き、「フォルサム食品」の女性昇進差別に対する集団訴訟を全面的にバックアップすると発表することにする。そこにやってきた敬一郎は、昇進差別について全面否定するだけでなく、原告女性全員に対して名誉棄損で反訴を起こすと告げる。
しかし、敬一郎自身はこの案件から身を引き、最も信頼する弁護士に任せたという。チカと甲斐は、その弁護士が上杉(吉田鋼太郎)であることを察し…。